はじめに:脱炭素と資源循環の追い風に乗るチャンス
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、国は脱炭素化とサーキュラーエコノミー(循環経済)への移行を強力に推進しています。その一環として、令和6年度補正予算で「プラスチック資源・金属資源等のバリューチェーン脱炭素化のための高度化設備導入等促進事業」が発表されました。この補助金は、プラスチックや金属のリサイクル、再生可能資源由来素材の活用など、資源循環のバリューチェーン全体で脱炭素化に貢献する設備投資を支援するものです。本記事では、この注目の補助金について、専門家が分かりやすく徹底解説します。
この補助金のポイント
- プラスチックや金属のリサイクル高度化設備が対象
- バイオマスプラスチックなど再生可能資源由来素材の製造設備も支援
- 補助率は最大1/2と手厚い支援
- 企業のGX(グリーン・トランスフォーメーション)を加速させる絶好の機会
補助金の概要
本事業の全体像を把握するために、まずは基本的な情報を表で確認しましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
正式名称 | プラスチック資源・金属資源等のバリューチェーン脱炭素化のための高度化設備導入等促進事業(令和6年度補正予算) |
目的 | プラスチック資源・金属資源等の脱炭素型有効活用設備等の導入支援による循環経済への移行推進 |
予算額 | 1,700百万円(令和6年度補正予算) |
対象者 | 民間事業者・団体等 |
補助率 | 1/3 または 1/2 |
実施期間 | 令和6年度 |
執行団体 | 公益財団法人廃棄物・3R研究財団 |
補助対象となる事業内容
この補助金は、大きく分けて2つの事業区分があります。自社の取り組みがどちらに該当するか確認しましょう。
① 省CO2型プラスチック資源循環設備への補助
プラスチックの資源循環プロセス全体を通して、省CO2に貢献する設備導入を支援します。具体的には以下のような取り組みが対象です。
- リサイクル設備導入: 回収したプラスチックを効率的にリサイクルするための高度選別機、洗浄機、再生ペレット製造機などの導入。
- 再生可能資源由来素材の製造設備導入: 化石資源由来のプラスチックを代替するバイオマスプラスチック等の製造設備の導入。
- リユース設備導入: トナー容器など、繰り返し使用できるプラスチック製品のリユースに必要な洗浄・検査・修理設備の導入。
② 金属・再エネ関連製品・ベース素材等の省CO2型資源循環高度化設備への補助
いわゆる「都市鉱山」からの資源回収や、今後大量廃棄が見込まれる製品のリサイクルを促進する設備導入を支援します。
- 有用金属リサイクル設備: 廃棄された電子機器などからレアメタル等を回収・精製するための設備導入。
- 再エネ関連製品リサイクル設備: 使用済みの太陽光パネルやリチウムイオン蓄電池などを適切に処理し、資源を再利用するための設備導入。
💡 採択の鍵は「CO2削減効果」
この補助金はエネルギー対策特別会計を財源としており、導入する設備によってどれだけCO2排出量を削減できるかが審査の重要なポイントとなります。申請時には、削減量の具体的な算定根拠を明確に示す必要があります。
申請プロセスとスケジュール
一般的な補助金の申請から事業開始までの流れは以下の通りです。公募開始から締切まで期間が短い場合が多いため、事前の準備が成功の鍵を握ります。
- STEP 1: 公募情報の確認
執行団体のウェブサイトで公募要領が公開されます。対象事業、要件、スケジュールなどの詳細を熟読します。 - STEP 2: 事業計画の策定と書類準備
事業目的、導入設備の仕様、CO2削減効果、資金計画などを盛り込んだ事業計画書を作成します。同時に、導入設備の見積書などを取得します。 - STEP 3: 申請手続き
多くの場合、補助金申請システム「jGrants」での電子申請となります。gBizIDプライムアカウントが必要になるため、未取得の場合は早めに準備しましょう。 - STEP 4: 審査・採択
提出された書類に基づき審査が行われます。必要に応じてヒアリングが実施されることもあります。 - STEP 5: 交付決定・事業開始
採択後、交付申請手続きを経て正式に交付が決定されます。交付決定日より前に発注・契約した経費は補助対象外となるため、注意が必要です。
まとめ:未来への投資を補助金で加速させよう
「プラスチック資源・金属資源等のバリューチェーン脱炭素化のための高度化設備導入等促進事業」は、企業の環境貢献と事業成長を両立させる強力な支援策です。この機会を最大限に活用し、脱炭素社会の実現に向けた一歩を踏み出しましょう。公募情報はこれから公開されますが、今から情報収集と事業計画の検討を始めることを強くお勧めします。