2024年9月2日、環境省は「工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)」の令和6年度三次・四次公募を開始しました。この事業は、工場のCO2排出量削減に向けた設備投資を強力に後押しするもので、最大5億円という大規模な補助が受けられる注目の制度です。本記事では、このSHIFT事業の最新公募内容をプロの視点から徹底解説します。
令和6年度SHIFT事業とは?
SHIFT事業は、工場や事業場における脱炭素化の先導的な事例を創出し、その知見を広く共有することで、日本の中長期的な温室効果ガス削減目標の達成に貢献することを目的としています。単なる設備更新だけでなく、意欲的なCO2削減計画に基づく取り組みを総合的に支援する点が大きな特徴です。光熱費削減はもちろん、企業価値の向上にも繋がる重要な取り組みを国がサポートします。
この補助金のメリット
- 大規模な資金調達: 最大5億円の補助により、高額な脱炭素化設備の導入が現実的に。
- 多様な事業メニュー: 中小企業向けから大規模な電化・燃料転換まで、企業の規模や目標に応じた支援が用意されています。
- 企業価値向上: 脱炭素経営を推進することで、取引先からの信頼獲得やESG評価の向上に繋がります。
【三次・四次公募】補助対象事業の概要
今回の三次・四次公募では、主に「省CO2型設備更新支援」と「企業間連携先進モデル支援」が対象となります。各事業の詳細は以下の通りです。
事業区分 | 主な要件 | 補助率 | 補助上限額 |
---|---|---|---|
A. 標準事業 | 工場単位でCO2排出量15%以上削減、または主要システム系統で30%以上削減する設備更新 | 1/3 | 1億円 |
B. 大規模電化・燃料転換事業 | 主要システム系統で「電化・燃料転換」「4,000t-CO2/年以上削減」「30%以上削減」を全て満たす設備更新 | 1/3 | 5億円 |
C. 中小企業事業 | 中小企業等による設備更新(年間CO2削減量×法定耐用年数×7,700円/t-CO2、または補助対象経費の1/2のいずれか低い額) | 1/2 等 | 0.5億円 |
企業間連携先進モデル支援 | Scope3削減のため、サプライヤー等のCO2排出量削減に向けた設備更新を促進する取組 | 1/3, 1/2 | 5億円 |
⚠️ 三次・四次公募の重要ポイント
- 「CO2削減計画策定支援」の公募はありません。設備更新がメインとなります。
- 応募対象は単年度事業のみです。複数年度にわたる事業は応募できません。
補助対象となる設備と経費
補助対象となる主な設備
- 高効率な産業・業務用設備機器(空調、給湯器、コージェネ、冷凍冷蔵機器など)
- 生産設備
- 低炭素燃料供給設備、受変電設備(主設備に付帯する場合)
- 再生可能エネルギー発電設備(100%自家消費など条件あり)
補助対象外となる主な経費
- 交付決定日前に発注・契約した経費
- 照明、蓄電池、車両
- 既存設備の撤去・廃棄費
- 応募申請に係る費用、振込手数料
申請スケジュールとプロセス
公募期間
公募開始日は同じですが、締切が2回設定されています。予算は各回で同程度が予定されています。
公募開始 | 令和6年9月2日(月) |
三次公募締切 | 令和6年9月24日(火) 12:00必着 |
四次公募締切 | 令和6年10月15日(火) 12:00必着 |
※三次公募で不採択となった場合、希望すれば自動的に四次公募で再審査されます。
申請から補助金交付までの流れ
- 公募要領の確認・申請書類の準備
- jGrantsまたは郵送にて応募申請
- 審査・採択結果の公表
- 交付申請・交付決定 (この日以降に発注・契約が可能)
- 補助事業の実施(設備導入工事など)
- 事業完了・完了実績報告書の提出
- 検査・補助金額の確定・補助金の交付
まとめ:脱炭素化への大きな一歩を
環境省のSHIFT事業は、脱炭素化という社会的な要請に応えつつ、企業の競争力を高めるための絶好の機会です。特に今回の三次・四次公募は、具体的な設備投資を検討している企業にとって見逃せないチャンスとなります。申請にはCO2削減量の算定など専門的な知識が必要となるため、早めに準備を開始し、専門家の支援も視野に入れることをお勧めします。この機会を最大限に活用し、持続可能な未来への投資を実現しましょう。