はじめに:その技術やブランド、助成金で守りませんか?
新製品開発や海外展開を進める中小企業にとって、特許権や商標権などの「知的財産権」は、企業の競争力を支える重要な経営資源です。しかし、特に海外での権利取得には高額な費用がかかり、大きな負担となることも少なくありません。
ご安心ください!国や地方自治体は、中小企業の知的財産活動を支援するため、様々な助成金・補助金制度を用意しています。本記事では、全国で活用できる主要な制度から、各地域の独自制度まで、プロの視点で網羅的に解説します。
【全国対象】まずは押さえたい!主要な知的財産助成金
まずは、地域を問わず全国の中小企業が利用できる、特許庁やジェトロなどが実施する代表的な支援事業をご紹介します。
中小企業等外国出願支援事業
海外展開を目指す中小企業にとって最も代表的な補助金です。外国への特許、実用新案、意匠、商標などの出願にかかる費用の一部を補助してくれます。
項目 | 内容 |
---|---|
実施主体 | 特許庁(窓口は各都道府県の中小企業支援センター等) |
補助対象経費 | 外国特許庁への出願料、国内・現地代理人費用、翻訳費用など |
補助率 | 1/2以内 |
補助上限額 | 1企業あたり最大300万円(複数案件の場合) ・特許:150万円 ・実用新案・意匠・商標:60万円 ・冒認対策商標:30万円 |
中小企業等海外侵害対策支援事業
海外での模倣品被害や権利侵害への対策を支援する事業です。高額になりがちな訴訟費用や調査費用を補助することで、中小企業の権利行使を後押しします。
- 模倣品対策支援:海外での模倣品製造元や流通経路の調査、行政・刑事摘発にかかる費用を補助(補助率2/3、上限400万円)。
- 防衛型侵害対策支援(訴訟費用補助):海外で特許権・意匠権・商標権の侵害警告を受けた際の訴訟費用等を補助(補助率2/3、上限500万円)。
- 海外知財訴訟費用保険への補助:中小企業が海外での知財訴訟に備えて保険に加入する際の掛金を補助(補助率1/2)。
【地域別】あなたの会社が使える!都道府県・市区町村の助成金
国の制度に加えて、多くの都道府県や市区町村が独自の知的財産支援制度を設けています。ここでは、各地域ごとの制度の一部を抜粋してご紹介します。お住まいの地域の制度をぜひご確認ください。
💡 ポイント:国の制度と自治体の制度は、併用できる場合があります。両方の情報をチェックし、最大限の支援を受けましょう!
関東エリアの例
- 東京都:外国特許出願費用助成事業
- 神奈川県横浜市:知的財産活動助成金
- 千葉県千葉市:中小企業等外国出願支援事業
- 埼玉県:中小企業等外国出願支援事業補助金
- 東京都葛飾区:知的所有権取得費補助事業
近畿エリアの例
- 大阪府:中小企業等外国出願支援事業
- 京都府:中小企業等外国出願支援事業
- 兵庫県神戸市:知的財産出願支援補助金
- 滋賀県:中小企業等海外展開支援事業費補助金
東海エリアの例
- 愛知県:外国出願補助金
- 静岡県静岡市:特許・実用新案登録出願に対する助成
- 岐阜県大垣市:知的財産権取得支援
- 三重県:外国出願補助金
※上記は一例です。北海道から沖縄まで、全国の自治体で同様の制度が実施されています。最新の情報は各自治体のウェブサイトや、地域の「知財総合支援窓口」でご確認ください。
申請の基本的な流れと成功のポイント
助成金の申請は、正しい手順とポイントを押さえることが採択への近道です。
申請の6ステップ
- 1公募情報の確認
- 2事業計画の策定・出願準備
- 3必要書類の準備
- 4申請手続き(電子・郵送)
- 5審査・採択通知
- 6事業実施・実績報告・補助金受領
採択率を上げる3つのポイント
- 公募要領を徹底的に読み込む:
対象経費や要件など、細かいルールを正確に理解することが大前提です。 - 事業の優位性を明確に伝える:
申請書では、なぜその国で権利を取得する必要があるのか、権利取得が事業にどう貢献するのかを具体的かつ論理的に説明しましょう。 - 専門家と連携する:
出願手続きは弁理士、事業計画は中小企業診断士など、専門家の助言を得ることで、申請書の質が格段に向上します。
まとめ:専門家を活用して、賢く権利を取得・保護しよう
知的財産に関する助成金は、中小企業の成長と海外展開を力強くサポートする制度です。しかし、多くの制度は公募期間が短く、申請書類の準備にも時間がかかります。日頃から情報収集を怠らず、計画的に準備を進めることが重要です。
自社で使える助成金が分からない、申請書の書き方が難しい…
そんな時は、専門家にご相談ください!