国土交通省が推進する「建築BIM加速化事業」は、建設業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を強力に後押しする補助金制度です。本記事では、令和6年度(2024年度)の最新情報を基に、補助金の概要、対象者、申請方法、スケジュールまで、専門家が分かりやすく徹底解説します。
建築BIM加速化事業とは?
建築BIM加速化事業は、建築物の設計から施工、維持管理までのプロセスでBIM(Building Information Modeling)の活用を促進するための補助金です。複数の事業者が連携してBIMデータを活用することで、生産性向上や業務効率化を図るプロジェクトを支援します。官民連携で建設業界全体のDXを加速させることが大きな目的です。
この補助金の重要ポイント
- 高額な補助上限: プロジェクト規模に応じて、最大で数千万円単位の補助が受けられます。
- 幅広い対象経費: BIMソフトウェアやPCの導入費用だけでなく、専門人材の人件費や講習費用も対象です。
- 連携が必須: 元請事業者と協力事業者(下請等)が連携してBIMを導入・活用することが申請の前提条件です。
補助金の詳細情報
本事業の具体的な内容を、以下の表で分かりやすくまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
補助対象者 | 元請事業者(建築士事務所、建設業者等)と、少なくとも1者以上の協力事業者(下請等)が連携するグループ。 |
補助対象プロジェクト | 一定の要件(耐火建築物、省エネ基準適合など)を満たす建築物の新築・改修プロジェクト。 |
補助対象経費 | BIMソフトウェア利用費、PC・ARゴーグル等リース料、CDE環境構築費、BIMコーディネーター・マネジャー・モデラー人件費、BIM講習費など。 |
補助限度額 | 建築物の延床面積に応じて変動。詳細は下記参照。 |
補助限度額(延床面積別)
延べ面積 | 設計費(上限) | 建設工事費(上限) |
---|---|---|
10,000㎡未満 | 2,500万円 | 4,000万円 |
10,000㎡以上 30,000㎡未満 | 3,000万円 | 5,000万円 |
30,000㎡以上 | 3,500万円 | 5,500万円 |
申請スケジュールと手続きの流れ
申請は電子申請システム「jGrants」を利用します。手続きは大きく分けて4つのステップで進みます。
申請期間
- 代表事業者登録期間: 2024年1月22日 ~ 2024年12月31日
- 交付申請期間: 2024年4月1日 ~ 2024年12月31日
※予算の上限に達し次第、受付が終了となる可能性があるため、早めの申請が推奨されます。
申請の4ステップ
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1
事前準備 (gBizIDの取得)jGrantsでの申請には「gBizIDプライム」または「gBizIDメンバー」のアカウントが必須です。取得には数週間かかる場合があるため、早めに手続きを開始してください。
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2
代表事業者の登録元請事業者が代表となり、実施支援室へ事業者登録を行います。この段階で、活用を検討しているプロジェクトの候補や補助金の見込額を記載します。
-
3
交付申請事業者登録完了後、プロジェクトごとにjGrantsで交付申請を行います。協力事業者分の情報も代表事業者が取りまとめて申請します。
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4
事業実施と実績報告交付決定後、プロジェクトを実施します。事業完了後、BIMモデルの作成状況や経費の実績をjGrantsで報告し、審査を経て補助金額が確定・支払われます。
申請時の注意点
代表事業者の登録が完了しても、補助金の交付が保証されるわけではありません。プロジェクトごとの交付申請が審査され、交付決定を受ける必要があります。また、補助対象経費の考え方(備品の残存価値控除など)が複雑なため、募集要領やマニュアルを熟読することが不可欠です。
まとめ
建築BIM加速化事業は、建設業界のDXを推進する上で非常に強力な支援策です。高額な補助を受けられる一方で、連携体制の構築や複雑な要件への対応など、計画的な準備が求められます。この機会にBIM導入を検討している事業者は、ぜひ本補助金の活用を目指してみてはいかがでしょうか。