はじめに:脱炭素社会実現に向けた国の強力な後押し
2050年のカーボンニュートラル実現に向け、国はGX(グリーン・トランスフォーメーション)を強力に推進しています。その中核となるのが、環境省が主導する多種多様な補助金・交付金制度です。この記事では、令和5年度補正予算および令和6年度当初予算に計上された、脱炭素・再生可能エネルギー関連の主要な支援事業を網羅的に解説します。地方公共団体、民間事業者、そして個人住宅所有者まで、幅広い対象者向けの情報をまとめていますので、ぜひご活用ください。
この記事でわかること
- 環境省が実施する脱炭素・再エネ関連の主要な補助金・交付金の全体像
- 地方公共団体、民間企業、個人がそれぞれ活用できる支援制度の詳細
- 各事業の目的、対象者、補助率、予算規模などの基本情報
- 自社の取り組みや計画に合致する補助金を見つけるためのヒント
令和5年度補正予算 主要事業一覧
令和5年度補正予算では、足元のエネルギー価格高騰対策と中長期的な脱炭素化を両立させるための事業が重点的に盛り込まれています。
1. 地域脱炭素移行・再エネ推進交付金
意欲的な脱炭素の取組を行う地方公共団体を支援し、地域全体での再エネ・省エネ・蓄エネの需要創出と投資拡大を推進します。
項目 | 内容 |
---|---|
事業金額 | 135億円 |
対象者 | 地方公共団体 |
交付率 | 原則2/3(財政力指数により一部3/4) |
主な支援内容
- 脱炭素先行地域づくり事業:再エネ設備、蓄電池、自営線等の基盤インフラ導入を支援。
- 重点対策加速化事業:地域共生再エネ導入や住宅の省エネ性能向上などを複合的に支援。
2. 断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業
くらし分野のGXを加速させるため、即効性の高い断熱窓へのリフォームを強力に推進します。
項目 | 内容 |
---|---|
事業金額 | 1,350億円 |
対象者 | 住宅の所有者等 |
補助額 | 工事内容に応じて定額(補助率1/2相当等) |
対象工事
窓(ガラス・サッシ)の断熱改修工事で、一定の省エネ基準(熱貫流率Uw値1.9以下等)を満たすもの。
3. 商用車の電動化促進事業
運輸部門の脱炭素化を目指し、トラック・タクシー・バスなどの商用車の電動化(BEV, PHEV, FCV)と充電設備の導入を支援します。
項目 | 内容 |
---|---|
事業金額 | 409億円 |
対象者 | 地方公共団体、民間事業者・団体等 |
補助率 | 2/3、1/4等 |
その他の令和5年度補正予算事業
上記以外にも、多様な事業が展開されています。詳細は公式サイトをご確認ください。
- 地域脱炭素実現に向けた再エネの最大限導入のための計画づくり支援事業
- 民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業
- 工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)
- プラスチック資源・金属資源等の脱炭素型有効活用設備等導入促進事業 など
令和6年度予算 主要事業一覧
令和6年度予算では、これまでの取り組みを継続・発展させるとともに、新たな重点分野への支援が盛り込まれています。
1. 地域脱炭素推進交付金
令和5年度補正予算の「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」を継続・拡充し、新たにGX関連の特定地域脱炭素移行加速化交付金を加えて、地方公共団体の取り組みを支援します。
項目 | 内容 |
---|---|
事業金額 | 425.2億円 |
対象者 | 地方公共団体等 |
実施期間 | 令和4年度~令和12年度 |
2. 民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業
民間企業による自家消費型・地産地消型の再エネ導入を促進し、再エネの主力電源化と災害時のレジリエンス強化を両立させます。
項目 | 内容 |
---|---|
事業金額 | 40億円 |
対象者 | 民間事業者・団体等 |
主な事業メニュー
- ストレージパリティ達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
- ソーラーカーポートや営農型太陽光など新たな手法による再エネ導入促進事業
- データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業 など
3. 戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業
戸建住宅のZEH(ゼッチ)、ZEH+化、および既存住宅の高断熱化リフォームを支援し、家庭部門の省エネ・省CO2化を推進します。
項目 | 内容 |
---|---|
事業金額 | 75.5億円 |
対象者 | 住宅取得者等 |
補助額(例) | ZEH:55万円/戸、ZEH+:100万円/戸 |
まとめ
環境省が提供する補助金・交付金は、日本の脱炭素化を加速させるための重要なツールです。今回ご紹介した事業はほんの一部であり、他にも多くの支援制度が存在します。
成功のポイント
- 早期の情報収集:公募期間は限られています。公式サイトを定期的にチェックし、早めに準備を始めましょう。
- 事業計画の具体性:申請には、具体的で実現可能性の高い事業計画が不可欠です。自社の強みや地域の特性を活かした計画を練りましょう。
- 専門家の活用:申請書類の作成や手続きが複雑な場合もあります。必要に応じて、コンサルタントや行政書士などの専門家の力を借りることも有効です。
これらの支援制度を最大限に活用し、持続可能な社会の実現と自社の成長を両立させましょう。