岐阜県内でデジタル技術を活用して地域課題の解決を目指す法人や団体の皆様へ。岐阜県が実施する「令和6年度 ぎふ地域DX推進補助金(法人等向け)」は、そんな先進的な取り組みを強力に後押しする制度です。この記事では、補助金の概要から対象事業、申請方法、採択されるためのポイントまで、専門家が分かりやすく解説します。(※令和6年度の公募は終了しました。来年度の参考にしてください。)
この記事でわかること
- ぎふ地域DX推進補助金の全体像と目的
- 補助対象となる2つの事業タイプと具体例
- 補助金額、補助率、対象経費の詳細
- 申請に必要な条件と具体的な申請手順
ぎふ地域DX推進補助金(法人等向け)とは?
この補助金は、岐阜県内の法人などがデジタル技術(AI、IoT、5Gなど)を活用して、県内市町村が抱える医療、公共交通、観光といった地域課題の解決に貢献する事業を支援するものです。地域社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進することを目的としています。
補助金の概要(令和6年度)
項目 | 内容 |
---|---|
補助上限額 | ①デジタル技術活用事業: 1,000万円 ②デジタル人材育成事業: 100万円 |
補助率 | 補助対象経費の2分の1以内 |
公募期間 | 令和6年4月3日(水) ~ 4月26日(金) 17:15 (※終了) |
対象者 | 岐阜県内に本社や本部機能を有する法人等 |
実施主体 | 岐阜県 デジタル戦略推進課 |
補助対象となる2つの事業
本補助金には、目的別に2つの事業区分が設けられています。
1. デジタル技術活用事業(上限1,000万円)
県内市町村と連携し、デジタル技術を用いて地域課題を解決するための製品やサービスの開発・実証・導入を行う事業です。
事業の具体例
- AIを活用した観光客の周遊ルート最適化システムの開発
- 遠隔医療を支援するプラットフォームの導入実証
- IoTセンサーによる中山間地域の鳥獣被害対策システムの構築
- ビッグデータを活用した公共交通のデマンド予測と効率的な運行計画の策定
2. デジタル人材育成事業(上限100万円)
地域課題解決に貢献できるデジタル人材を育成するための研修や講座などを企画・提供、または活用する事業です。
事業の具体例
- 地域の高齢者向けスマートフォン・タブレット活用講座の開催
- 自治体職員向けのデータ分析スキル向上研修の企画・実施
- 地域の事業者を対象としたECサイト構築・運用セミナーの提供
重要なポイント
特に「デジタル技術活用事業」では、県内市町村との連携が必須条件となります。事業計画段階から、どの市町村の、どのような課題を解決するのかを明確にし、連携体制を構築しておくことが採択の鍵となります。
補助対象経費
補助金の対象となる経費は以下の通りです。事業内容に合わせて適切に計上しましょう。
- 機械装置費: ハードウェア購入費など(※補助額全体の1/2以内)
- システム開発等委託費: ソフトウェア開発や改修の外注費
- 専門家依頼経費: コンサルタントや技術指導者への謝金・旅費
- クラウド利用費: サーバーや特定サービスの利用料
- 賃借費: 機器のリース・レンタル料
- 諸経費: 資料購入費、通信運搬費など
- 産業財産権取得費: 特許等の出願・登録費用
- 研修費: (デジタル人材育成事業のみ)講師謝金、教材作成費など
申請方法と流れ
申請は、国の補助金電子申請システム「jGrants」を利用して行います。手続きをスムーズに進めるため、事前に流れを把握しておきましょう。
- GビズIDの取得
申請には「GビズIDプライム」アカウントが必須です。取得に2〜3週間かかる場合があるため、最優先で準備しましょう。 - 必要書類の準備
県の公式サイトから募集要領や様式(事業実施提案書、事業実施計画書など)をダウンロードし、事業内容を具体的に記入します。 - jGrantsでの電子申請
公募期間内に、jGrantsにログインし、必要事項の入力と準備した書類のアップロードを行います。 - 審査・採択決定
提出された書類をもとに審査が行われ、採択事業者が決定・通知されます。 - 交付申請・事業開始
採択決定後、正式な交付申請手続きを行い、承認後に事業を開始します。
注意点
- 国や他の地方公共団体から同様の補助金を受けている事業は対象外です。
- 申請期限を過ぎると一切受け付けられません。時間に余裕を持った準備が不可欠です。
- ハードウェア(機械装置費)が補助額全体の半分を超えないように経費を計画する必要があります。
過去の採択・活用事例
本補助金(旧称含む)は、実際に地域の課題解決に活用されています。例えば、令和5年度には岐阜市で以下の事業が実施されました。
事例:通学路の交通事故発生リスク分析事業(岐阜市)
市内の道路における事故発生リスクをビッグデータとAIで解析。潜在的な危険箇所を地図上で「見える化」しました。この客観的データを地域の住民が参加するワークショップで活用し、より実態に即した効果的な交通安全対策の議論につなげました。
まとめ
「ぎふ地域DX推進補助金」は、岐阜県内の地域課題を自社のデジタル技術で解決したいと考える企業にとって、非常に魅力的な制度です。上限1,000万円という手厚い支援を活用し、事業の成長と地域貢献を両立させることが可能です。
令和6年度の募集は終了しましたが、来年度以降も同様の事業が公募される可能性があります。今回の内容を参考に、今から市町村との連携や事業計画の構想を進めておくことが、次回のチャンスを掴むための鍵となるでしょう。