はじめに：環境省の脱炭素・GX推進支援策をフル活用しよう
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、国は脱炭素化やグリーン・トランスフォーメーション（GX）を強力に推進しています。その中核を担う環境省は、令和6年度補正予算および令和7年度予算において、事業者、地方公共団体、そして個人を対象とした多岐にわたる補助金・助成金制度を用意しています。
この記事では、これらの膨大な支援事業を網羅的に整理し、目的別に分かりやすく解説します。自社の事業や計画に合致する最適な支援策を見つけ、脱炭素経営と事業成長を加速させるための一助としてご活用ください。
【令和6年度補正予算】注目の支援事業
まずは、即効性の高い施策が盛り込まれた令和6年度補正予算の主要な事業をご紹介します。
地域脱炭素推進交付金
| 事業名 |
地域脱炭素推進交付金（地域脱炭素移行・再エネ推進交付金、特定地域脱炭素移行加速化交付金） |
| 予算額 |
365億円 |
| 対象者 |
地方公共団体等 |
| 事業概要 |
脱炭素先行地域づくりや、再エネ発電設備の導入、民間裨益型自営線マイクログリッド等事業を行う意欲的な地方公共団体を支援します。 |
住宅の省エネ・省CO2化支援事業
ポイント：個人・住宅所有者向けの大規模支援！
家庭部門のエネルギー消費削減は脱炭素化の鍵です。特に「断熱窓への改修」は予算規模が大きく、注目度の高い事業です。
| 事業名 |
予算額 |
対象者 |
| 断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業 |
1,350億円 |
住宅の所有者等 |
| 既存住宅の断熱リフォーム支援事業 |
9.4億円 |
住宅所有者等 |
| 脱炭素志向型住宅の導入支援事業 |
500億円 |
民間事業者・団体 |
業務用建築物・工場等の脱炭素化支援
| 事業名 |
業務用建築物の脱炭素改修加速化事業 |
| 予算額 |
111.75億円 |
| 事業概要 |
既存業務用施設の外皮の高断熱化及び高効率空調機器等の導入を支援します。 |
| 事業名 |
建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業 |
| 予算額 |
48億円 |
| 事業概要 |
新築・既存建築物のZEB化、サステナブル倉庫モデルの促進など、業務用施設の省CO2化を幅広く支援します。 |
| 事業名 |
脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業（SHIFT事業） |
| 予算額 |
30億円 |
| 事業概要 |
中小企業等を対象に、電化・燃料転換・熱回収等による大幅なCO2削減設備導入を支援します。 |
その他注目事業（令和6年度補正予算）
- 民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業 (70億円): 自家消費型・地産地消型の再エネ導入を促進。ストレージパリティ達成を目指します。
- 商用車等の電動化促進事業 (400億円): トラック・タクシー・バスや建設機械の電動化（BEV, PHEV, FCV等）を支援します。
- プラスチック資源・金属資源等のバリューチェーン脱炭素化のための高度化設備導入等促進事業 (17億円): リサイクル設備やバイオマスプラスチック製造設備の導入を支援します。
【令和7年度予算】継続・新規事業の展望
令和7年度予算では、これまでの支援策を継続・拡充するとともに、新たな技術の社会実装を後押しする新規事業が盛り込まれています。
新規事業：ペロブスカイト太陽電池の社会実装支援
大注目！次世代太陽電池の導入を支援
軽量で柔軟性が高く、従来設置が難しかった場所にも導入可能な「ペロブスカイト太陽電池」の社会実装モデル創出に向けた導入支援事業が新規で開始されます。国内市場の立ち上げを強力に後押しする注目の制度です。
| 事業名 |
ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業 |
| 予算額 |
50.2億円（新規） |
| 対象者 |
地方公共団体、民間事業者・団体 |
| 補助率 |
2/3、3/4 |
継続・拡充される主要事業
| 事業分野 |
主な事業名 |
ポイント |
| 地域・計画策定 |
地域脱炭素推進交付金 |
脱炭素先行地域づくり等を継続支援（予算額 385億円） |
| 住宅関連 |
戸建住宅ZEH化等支援事業 / 集合住宅の省CO2化促進事業 |
新築ZEHや断熱リフォームを継続的に支援 |
| 企業・工場 |
Scope3排出量削減のための企業間連携による省CO2設備投資促進事業 |
バリューチェーン全体での脱炭素化を支援（新規・予算額 20億円） |
| 国民運動 |
「デコ活」推進事業 |
脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動を推進 |
まとめ：自社に最適な補助金を見つけるために
環境省の補助金・助成金は、対象者や支援内容が非常に多岐にわたります。成功の鍵は、自社の事業計画や脱炭素化の目標と、各事業の目的を正確にマッチングさせることです。
- 目的の明確化: 「自家消費の再エネを導入したい」「工場の省エネ改修を行いたい」「ZEB認証の建物を建てたい」など、具体的な目的を定めましょう。
- 公募情報の定期的なチェック: 各事業の公募開始時期や締切は異なります。公式サイトや執行団体のウェブサイトを定期的に確認することが重要です。
- 専門家への相談: 申請書類の作成や事業計画の策定は複雑な場合があります。必要に応じて、行政書士やコンサルタントなどの専門家に相談することも有効な手段です。
本記事で紹介した事業は一部です。詳細な要件や最新情報は、必ず各事業の公式サイトや公募要領でご確認ください。これらの支援制度を最大限に活用し、持続可能な社会の実現とビジネスの成長を両立させましょう。
