この記事のポイント
- 2050年カーボンニュートラル実現に向けた、業務用ビルの省エネ・脱炭素化を支援する重要補助金
- 新築・改修を問わず、設計費・設備費・工事費などが補助対象
- 申請には専門家である「ZEBプランナー」との連携が必須
- 過去の採択率は70%以上と高く、計画をしっかり立てれば採択の可能性大
令和7年度 ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業とは?
ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業は、業務用ビル等において、エネルギー消費量を大幅に削減し、再生可能エネルギーの導入によってエネルギー収支をゼロにすることを目指す建築物(ZEB)の実現を支援する補助金です。快適な室内環境を保ちながら、建物の運用段階でのエネルギー消費量を極限まで減らすための先進的な技術や設備の導入を促進し、脱炭素社会の実現に貢献することを目的としています。
新築ビルの建設はもちろん、既存ビルの大規模改修も対象となり、企業の環境経営(ESG)や不動産価値の向上にも直結する重要な制度です。
補助金の概要
本事業の主要な情報を表にまとめました。申請を検討する際の基本情報としてご確認ください。
項目 | 内容 |
---|---|
事業名 | 令和7年度 ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業 |
実施団体 | 一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII) |
対象者 | 業務用ビル等の建築主、所有者、テナント事業者など(ZEBプランナーの関与が必須) |
対象事業 | ZEBの実現に資する省エネルギー建築物の新築、増築、改築、改修事業 |
補助率 | 補助対象経費の最大2/3以内(ZEBの種類や建物の用途・規模により変動) |
補助対象経費 | 設計費、設備費、工事費、事務費など |
ZEBの種類と省エネ基準
補助対象となるZEBは、省エネルギー性能に応じて以下の4つに分類されます。
- 『ZEB』:省エネ(50%以上)+創エネで、エネルギー消費量を100%以上削減
- Nearly ZEB:省エネ(50%以上)+創エネで、エネルギー消費量を75%以上削減
- ZEB Ready:省エネのみで、エネルギー消費量を50%以上削減
- ZEB Oriented:延べ面積10,000㎡以上の建物で、省エネのみでエネルギー消費量を30%~40%以上削減
公募スケジュール
【ご注意】令和7年度の公募は既に終了しています。以下の情報は来年度以降の申請に向けた参考としてご活用ください。
公募回 | 公募期間 | 交付決定時期(予定) |
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一次公募 | 2025年6月11日(水)~2025年7月9日(水)17:00 | 2025年8月下旬 |
二次公募 | 2025年9月5日(金)~2025年9月26日(金)17:00 | 2025年11月中旬 |
申請の4ステップ
申請は専門的な知識を要するため、計画的に進めることが重要です。大まかな流れは以下の通りです。
- ZEBプランナーの選定と相談
事業計画の策定から申請支援までを行うパートナー「ZEBプランナー」を選定します。SIIの公式サイトで登録プランナーの一覧を確認できます。 - GビズIDプライムアカウントの取得
申請は電子申請システム「jGrants」で行うため、「GビズIDプライムアカウント」が必須です。取得には2週間程度かかる場合があるため、早めに手続きを行いましょう。 - 事業計画の策定と申請書類の準備
ZEBプランナーと協力し、省エネ計算や導入設備の選定など、詳細な事業計画を策定します。公募要領に基づき、交付申請書などの必要書類一式を準備します。 - jGrantsによる電子申請
準備した書類をjGrantsシステムにアップロードし、公募期間内に申請を完了させます。
採択率と採択されるためのポイント
本事業は、要件をしっかり満たした計画であれば、比較的高い採択率を誇ります。令和4年度から令和7年度のデータを見ると、採択率は70%~100%と非常に高い水準で推移しています。採択を勝ち取るためには、以下の点が重要です。
採択の重要ポイント
- 信頼できるZEBプランナーとの連携: 経験豊富で実績のあるZEBプランナーと緊密に連携し、質の高い事業計画書を作成することが最も重要です。
- 費用対効果と先進性: 年間一次エネルギー消費削減率だけでなく、投資に対する省エネ効果(費用対効果)や、先進的な技術(WEBPRO未評価技術など)の導入計画が審査で高く評価されます。
- 計画の具体性と実現可能性: 絵に描いた餅で終わらない、具体的で実現可能なスケジュール、資金計画、施工計画を提示することが求められます。
まとめ
「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業」は、建物の脱炭素化を目指す事業者にとって非常に強力な支援策です。補助額が大きい一方で、専門的な計画が必要となるため、信頼できるZEBプランナーとの早期の連携が成功のカギとなります。
公募期間は限られていますので、来年度以降の申請を目指す事業者は、今から情報収集と準備を開始することをおすすめします。本事業を活用し、環境性能と経済性を両立した次世代のビルを実現しましょう。