大規模な自然災害が発生した際にも、被災情報や避難情報といった重要な情報を国民へ確実に届け続けることは、放送事業者の重要な使命です。総務省の「地上基幹放送等に関する耐災害性強化支援事業」は、放送局の設備強靱化を支援し、災害時の放送継続能力を高めることを目的とした補助金です。
事業の概要
本事業は、放送局や中継局などが災害によって機能停止に陥る事態を防ぐため、停電対策や設備の二重化(予備設備の整備)、耐震対策などにかかる費用の一部を国が補助するものです。これにより、災害時における情報ライフラインの確保を目指します。
項目 | 内容 |
---|---|
事業名 | 地上基幹放送等に関する耐災害性強化支援事業 |
実施機関 | 総務省 |
対象事業者 | 地方公共団体、民間テレビ・ラジオ放送事業者 等 |
補助率 | 地方公共団体等: 1/2、地上基幹放送事業者等: 1/3 (※条件により変動あり) |
公募期間(目安) | 例年、複数回の締切が設定されます。(例:3月、5月、7月頃) ※詳細は必ず公式サイトでご確認ください。 |
補助対象となる事業者
本事業の対象となるのは、以下の事業者です。
- 都道府県、市町村(複数の自治体による連携主体を含む)
- 地上基幹放送事業者等(民間テレビ・ラジオ事業者など。連携主体を含む)
- 一般社団法人等
補助対象事業と補助率
補助対象となる主な事業内容
災害時における放送継続を目的とした、以下の設備整備が補助対象となります。
- 停電対策: 長時間稼働が可能な自家発電設備や大容量蓄電池、電源切替器などの整備。
- 予備設備の整備: 演奏所や送信所における放送設備の二重化、予備送信アンテナの設置など。
- 耐震対策(拡充): 能登半島地震の教訓を踏まえ、中継局の局舎や鉄塔などの耐震補強工事。
補助率の詳細
補助率は事業主体や地域条件によって異なります。
事業主体 | 補助率 |
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地方公共団体 等 | 1/2 |
地上基幹放送事業者 等 | 1/3 |
【特例措置】 受信障害対策用中継局に係る事業を、条件不利地域かつ財政力指数0.5以下の市町村が実施する場合の補助率: 2/3 |
⚠️ 注意事項
本事業は国の予算成立が前提となります。また、公募期間や内容が変更になる可能性があるため、申請を検討される際は、必ず総務省の公式発表をご確認ください。予算額に達した場合、期間内でも公募が終了することがありますので、早めの準備・申請をおすすめします。
申請のプロセス
申請から補助金交付までの一般的な流れは以下の通りです。
- 1公募開始・情報収集
総務省のウェブサイトで公募要領や関連書類を確認します。 - 2申請書類の作成・提出
事業計画書、経費の見積書など、指定された書類を作成し、管轄の総合通信局等へ提出します。jGrantsによる電子申請も可能です。 - 3審査・交付決定
提出された書類に基づき審査が行われ、採択されると交付決定通知が届きます。 - 4事業の実施
交付決定後、計画に沿って設備の整備等、事業を開始します。 - 5実績報告・補助金交付
事業完了後、実績報告書を提出します。検査を経て補助金額が確定し、支払われます。
まとめ
「地上基幹放送等に関する耐災害性強化支援事業」は、災害時における国民の安全・安心を守るための重要な制度です。放送設備の強靱化は、地域住民への迅速かつ正確な情報提供に直結します。対象となる放送事業者や地方公共団体の皆様は、ぜひ本事業の活用をご検討ください。