経済産業省が推進する「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」は、女性の健康課題をテクノロジーで解決する「フェムテック」を活用し、働く女性が直面する課題の解決を目指す注目の制度です。令和7年度(2025年度)の公募も開始され、多くの事業者の関心を集めています。
この記事では、フェムテック補助金の目的から、最新の公募概要、申請方法、さらには採択率を高めるためのポイントまで、専門家が徹底的に解説します。
この記事でわかること
- フェムテック補助金の目的と全体像
- 2025年度(令和7年度)の公募要件とスケジュール
- 補助対象となる事業内容と対象経費
- 申請から採択までの具体的な流れ
- 過去の採択事例と採択率を高めるヒント
経済産業省「フェムテック補助金」とは?
本補助金は、働く女性が妊娠・出産、更年期といったライフイベントによって望まない離職をすることなく、いきいきと活躍し続けられる社会の実現を目的としています。女性特有の健康課題を個人だけの問題とせず、企業や社会全体で解決するアプローチを支援するものです。
フェムテック(Femtech)は、Female(女性)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、月経、不妊治療、産後ケア、更年期など、女性の健康課題を解決する製品やサービスを指します。この補助金は、こうしたフェムテックの社会実装を加速させ、企業の生産性向上や人材の多様性確保(ダイバーシティ経営)につなげることを目指しています。
事業の3つの柱
- 気づきと理解の促進: 女性自身や周囲の人々が健康課題に関心を持ち、正しく理解することを支援します。
- 企業・自治体との連携: フェムテック企業と導入企業、自治体等が連携し、実社会での課題解決モデルを構築します。
- 働き方の改革: フェムテックをきっかけに、誰もが働きやすい環境づくりと多様な働き方を考え、組織全体のウェルビーイング向上を目指します。
【2025年度】令和7年公募の概要
令和7年度の公募概要を以下の表にまとめました。申請を検討されている方は必ず公式サイトの公募要領をご確認ください。
項目 | 内容 |
---|---|
公募期間 | 2025年4月14日 ~ 2025年6月上旬(予定) |
補助金額 | 上限 400万円~500万円 |
補助率 | 補助対象経費の 1/2 ~ 2/3 以内 |
対象事業者 | フェムテック企業、導入企業、医療機関、自治体等が連携した共同事業体(コンソーシアム) |
採択予定件数 | 全国で15件程度(令和6年度実績: 13件) |
申請方法 | 電子申請(詳細は公募要領参照) |
⚠️ 注意事項
本事業では、申請時点で実証フィールド(導入企業や自治体など)が決定している必要があります。また、アロマやサプリメント、吸水ショーツといった「フェムケア製品」のみの利活用事業は対象外となるためご注意ください。
申請から採択までの流れ
申請プロセスは以下のステップで進みます。特に「連携体の構築」が重要なポイントです。
- 公募要領の確認と説明会参加: 公式サイトから最新の公募要領をダウンロードし、事業内容を正確に理解します。オンラインで開催される公募説明会への参加が推奨されます。
- 連携体(コンソーシアム)の構築: 自社のフェムテックサービスを実証導入してくれる企業や自治体、連携する医療機関など、実証フィールドとなるパートナーを見つけ、連携体制を構築します。
- 事業計画書の作成: 連携体で解決したい社会課題、実証事業の具体的な内容、目標(KPI)、スケジュール、経費計画などを詳細に記載した事業計画書を作成します。
- 電子申請: 指定された申請システムを利用し、期間内に必要書類を提出します。
- 審査・採択: 外部有識者による審査委員会で事業計画が審査され、採択事業が決定・公表されます。
採択率と過去の採択事例
採択率と申請難易度
令和6年度の実績では、41件の応募に対し13件が採択され、採択率は約31.7%でした。連携体の事前構築や、社会課題解決への貢献度を示す質の高い事業計画が求められるため、申請難易度は比較的高めと言えます。
過去の採択事例(一部抜粋)
過去には多様なテーマの事業が採択されています。自社の事業計画を策定する際の参考にしてください。
- 【更年期】(PGV株式会社): 更年期障害による睡眠課題の健康改善プロジェクト
- 【月経・PMS】(大阪ヒートクール株式会社): 教育機関・自治体に向けた生理痛体験研修プログラムの開発
- 【妊娠・不妊】(伊藤忠商事株式会社): フェムテックデバイスの普及による妊活支援と医療介入の早期化を目指す事業
- 【産後ケア】(株式会社ポーラ): 顔分析技術による産後ケアアプリを用いた、育休復帰に向けた心身リカバリーの実証
- 【ヘルスリテラシー】(ライオン株式会社): 「考え方のくせ」を変えるプログラムで女性特有の不調との付き合い方をサポート
まとめと公式情報
経済産業省のフェムテック補助金は、資金調達だけでなく、自社サービスの社会的な価値を証明し、導入実績を作る絶好の機会です。社会課題解決への強い意志と、実現性の高い事業計画、そして強力な連携体制が採択の鍵となります。
本事業に関する最新情報や公募要領、過去の報告書などは、必ず公式サイトでご確認ください。
お問い合わせ先
令和7年度「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」事務局
(株式会社朝日広告社、執行協力:株式会社エヌ・ティ・ティデータ経営研究所)
E-mail: meti_femtech@m.asakonet.co.jp