近年、激甚化・頻発化する自然災害に備え、企業の事業継続計画(BCP)の重要性が増しています。政府は令和7年度予算においても防災・減災対策を重点項目としており、その一環として中小企業の防災力強化を支援する「防災・減災DX推進補助金」の公募が予定されています。本記事では、この注目の補助金について、専門家が徹底解説します。
防災・減災DX推進補助金の概要
本補助金は、中小企業がデジタル技術(DX)を活用して防災・減災対策を強化し、事業継続力を高めるための取り組みを支援するものです。安否確認システムの導入からBCP策定のコンサルティングまで、幅広い経費が対象となります。
項目 | 内容 |
---|---|
補助金額 | 最大500万円 |
補助率 | 補助対象経費の2/3以内 |
申請期間 | 2025年6月1日~2025年8月31日(予定) |
実施組織 | 経済産業省 中小企業庁 |
対象者 | 全国の中小企業・小規模事業者 |
この補助金の3つの重要ポイント
- BCP策定から設備投資まで幅広くカバー:ソフトウェア導入だけでなく、専門家への相談費用や非常用電源などのハードウェアも対象。
- 最大500万円、補助率2/3の手厚い支援:高額な防災システム導入の初期費用を大幅に軽減できます。
- デジタル活用で企業の防災力を抜本強化:安否確認の迅速化や情報共有の円滑化により、災害時の初動対応能力が飛躍的に向上します。
補助対象となる事業者
以下の要件を満たす中小企業・小規模事業者が対象となります。
- 日本国内に本社及び事業実体を有すること。
- 中小企業基本法に定める中小企業者であること。
- (推奨要件)経済産業大臣から「事業継続力強化計画」の認定を受けていること。
補助対象経費の詳細
補助対象となる経費は、主に以下の通りです。自社の課題解決に最適な組み合わせで申請が可能です。
1. ソフトウェア・システム導入費
安否確認システム、災害情報一元管理ツール、BCP文書管理クラウドサービスなどの購入・開発・利用料。
2. 設備導入費
非常用自家発電装置、無停電電源装置(UPS)、衛星電話、業務用無線機など、災害時の事業継続に不可欠な設備の購入・設置費用。
3. 専門家経費
BCP策定・見直しに関するコンサルティング費用、防災・減災に関する研修の講師謝金、建物の耐震診断費用など。
申請から採択までの流れ
申請は、政府の補助金電子申請システム「jGrants」を利用して行います。事前にGビズIDプライムアカウントの取得が必要です。
- STEP 1: GビズIDプライムの取得
申請には必須です。取得に2〜3週間かかる場合があるため、早めに手続きを行いましょう。 - STEP 2: 事業計画書の作成
公募要領を確認し、自社の課題、導入するシステムや設備、期待される効果などを具体的に記述します。 - STEP 3: jGrantsでの電子申請
必要書類を添付し、申請期間内にjGrantsから電子申請を行います。 - STEP 4: 審査・採択発表
事務局による審査が行われ、採択結果が公式サイトで発表されます。 - STEP 5: 交付申請・事業実施
採択後、交付申請手続きを行い、承認後に事業を開始します。
⚠️ 申請のポイントと注意点
採択の鍵は事業計画書の具体性にあります。なぜそのシステムが必要なのか、導入によって災害時にどのような効果が期待できるのかを、自社の事業内容や立地場所の災害リスクと関連付けて、説得力のあるストーリーで示すことが重要です。単なる設備導入の希望ではなく、「事業継続のための戦略的投資」であることをアピールしましょう。
まとめと公式情報
「防災・減災DX推進補助金」は、企業の防災対策を大きく前進させる絶好の機会です。災害はいつ起こるかわかりません。この機会を活用し、従業員の安全と事業の継続を守るための体制を構築しましょう。
公募開始に向けて、早めの情報収集と準備をお勧めします。最新情報は公式サイトで必ずご確認ください。