東京都台東区では、区内の中小企業や個人事業主が不測の事態に備え、事業を継続するための「事業継続計画(BCP)」を策定する際の専門家コンサルティング費用を最大10万円補助します。この記事では、制度の概要から申請のポイントまで、専門家が分かりやすく解説します。
助成金の概要
| 職場環境等向上支援事業助成金(BCP策定支援) | |
|---|---|
| 助成額 | 最大10万円 |
| 補助率 | 対象経費の1/2以内 |
| 申請期間 | 2025年4月1日〜(予算上限に達し次第終了) |
| 対象事業者 | 台東区内に主たる事業所を有する中小企業・個人事業主 |
| 対象経費 | 外部の専門家へ支払うBCP策定に係るコンサルティング費用(委託費) |
| 実施機関 | 公益財団法人 台東区産業振興事業団 |
なぜ今、台東区でBCP策定が重要なのか?
災害大国である日本では、いつどこで大規模な自然災害が発生してもおかしくありません。特に台東区では、「台東区国土強靭化地域計画」において、以下のようなリスクが指摘されています。
台東区が抱える主な災害リスク
- 地震・火災:首都直下地震の切迫。特に根岸・谷中地域などでは、木造建築物密集地での建物倒壊や火災延焼のリスクが高いとされています。
- 水害:荒川が氾濫した場合、区の広範囲で長期間の浸水が想定されており、最も深い場所では5m程度の浸水深となる可能性があります。
- 帰宅困難者:上野や浅草などの観光地に多くの人が集まるため、災害発生時には大量の帰宅困難者が発生するリスクがあります。
これらの事態が発生すると、サプライチェーンの寸断や企業の生産力低下に直結し、事業の存続が危ぶまれます。BCPを策定することは、こうしたリスクから従業員、顧客、そして事業そのものを守るための重要な経営戦略です。
助成金の詳細
対象となる事業者
以下の条件をすべて満たす事業者が対象です。
- 台東区内に主たる事業所を有する中小企業または個人事業主であること。
- 前年度の法人事業税・法人都民税(個人事業主の場合は個人事業税・住民税)を滞納していないこと。
対象経費と補助額
本助成金は、外部の専門家(中小企業診断士、コンサルタント等)を活用してBCPを策定する際のコンサルティング費用(委託費)が対象です。
補助率:対象経費の1/2以内
上限額:10万円
【計算例】
コンサルティング費用が25万円の場合
25万円 × 1/2 = 12.5万円
→ 上限額が適用され、10万円が助成されます。
申請手続きの流れ
申請は以下のステップで進みます。事前に公式サイトで最新情報をご確認ください。
- 1事前相談(推奨)
まずは台東区産業振興事業団に相談し、制度内容や要件を確認しましょう。 - 2申請書類の準備
公式サイトから申請書をダウンロードし、事業計画書や見積書など必要書類を揃えます。 - 3申請
準備した書類を窓口または郵送で提出します。 - 4審査・交付決定
審査が行われ、採択されると交付決定通知書が送付されます。 - 5事業の実施・報告
交付決定後に専門家と契約し、BCP策定を進めます。事業完了後、実績報告書を提出します。 - 6助成金の交付
報告書の内容が確定した後、指定の口座に助成金が振り込まれます。
まとめ
「職場環境等向上支援事業助成金」は、BCP策定という重要な経営課題に取り組むための、またとない機会です。専門家の知見を活用することで、自社に最適化された実効性の高い計画を策定できます。
この助成金を活用して、企業のレジリエンス(強靭性)を高め、いかなる事態にも揺るがない持続可能な事業基盤を築きましょう。
お問い合わせ先
公益財団法人台東区産業振興事業団 経営支援課
電話:03-5829-4124
対象者・対象事業
台東区内に主たる事業所を有する中小企業または個人事業主で、前年度の税金を滞納していない者。
必要書類(詳細)
助成金交付申請書、事業計画書、BCP策定に係る経費の見積書の写し、履歴事項全部証明書(法人の場合)または開業届の写し(個人事業主の場合)、前年度の法人事業税・法人都民税の納税証明書(個人事業主の場合は個人事業税・住民税の納税証明書)など。詳細は公式の募集要項をご確認ください。
対象経費(詳細)
外部の専門家(中小企業診断士、コンサルタント等)へ支払うBCP策定に係るコンサルティング費用(委託費)
対象者・対象事業
台東区内に主たる事業所を有する中小企業または個人事業主で、前年度の税金を滞納していない者。