「スタートアップ育成5か年計画」最新動向を完全ガイド
政府が強力に推進する「スタートアップ育成5か年計画」。その進捗状況と、令和6年度補正予算・令和7年度当初予算案に盛り込まれた最新の支援策が、2025年1月14日の第7回スタートアップ創出調整連絡会議で経済産業省より発表されました。本記事では、この公式資料を基に、スタートアップ経営者や起業家が今知るべき重要な支援事業、税制改正、関連イベントの全てをプロ級に分かりやすく解説します。
主要施策ハイライト(令和6年度補正・令和7年度当初予算)
今回の発表では、「人材育成」「資金供給」「オープンイノベーション」の3本柱で、多岐にわたる支援策が強化・新設されています。各事業の概要と進捗状況を詳しく見ていきましょう。
1. 人材・ネットワーク構築
事業名 | 概要 | KPI・進捗 |
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スタートアップのグローバル化強化事業 (J-StarX) | 起業家の海外派遣や海外投資家の国内呼び込みを支援。 | 目標: 2027年度迄に1,000人派遣 進捗: 673名派遣済 (2024年12月末) |
未踏事業(横展開含む) | トップランナーがメンターとなり、才能あるIT人材を発掘・育成。 | 目標: 2027年度に年間500人育成 進捗: 555人採択 (2024年度) |
ディープテック・スタートアップの起業・経営人材確保等支援事業 | 技術シーズを持つ研究者等の起業をメンタリング等で支援。 | 目標: 大学発スタートアップ数 5,000社以上 (2027年度) 進捗: 4,288社 |
地域大学のインキュベーション・産学融合拠点の整備事業 | 地域大学のオープンイノベーション拠点を整備。 | 目標: 採択大学等で75件以上の大学発スタートアップ創出 (令和11年度迄) |
2. 資金供給の強化と出口戦略の多様化
事業名 | 概要 | KPI・進捗 |
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ディープテック・スタートアップ支援事業 | 研究開発・事業開発・量産化実証までを幅広く支援。 | 目標: 支援後1年以内の次期資金調達率5〜6割 進捗: 74件採択済 |
創薬ベンチャーエコシステム強化事業 | 認定VCからの出資を要件に、創薬ベンチャーの開発等を支援。 | 目標: 採択件数70件 進捗: 26社採択 (2024年末) |
GX分野のディープテック・スタートアップ支援事業 | GX分野のディープテック企業の研究開発・事業開発を支援。 | 目標: 支援後1年以内の次期資金調達率5割 進捗: 9件採択・支援中 |
AI基盤モデル開発支援 | ロボティクス分野の生成AIに関する基盤モデル等の技術開発を支援。 | 目標: 開発技術の実用化率50%以上 |
医工連携グローバル展開事業 | 中小企業やスタートアップによる革新的な医療機器開発を支援。 | 目標: 支援終了後5年で30%以上が国内上市 |
3. オープンイノベーションの推進
大企業等のスタートアップ連携・調達加速化事業が新規で開始されます。大企業の経営課題をテーマに設定し、その解決に取り組むスタートアップの研究開発を支援することで、調達を見据えた事業計画策定や初期調達が30%以上実施されることを目指します。
【重要改正】エンジェル税制の拡充で投資を加速
スタートアップへの個人からの資金供給を促進するため、エンジェル税制が大幅に拡充されます。これは投資家にとってもスタートアップにとっても大きなニュースです。
エンジェル税制改正のポイント
- 再投資期間の延長: 株式譲渡益が発生した翌年末まで(最大2年間)のスタートアップ投資も税制優遇の対象に!
- 投資検討時間の確保: これまで年内に行う必要があった再投資の検討時間が十分に確保され、より質の高い投資判断が可能になります。
- 適用開始時期: 令和8年(2026年)1月1日以降の再投資で取得した株式が対象となります。
- 健全な利用促進: 制度の濫用を防ぐため、株式取得の翌年末までの保有期間が設定されます(IPOやM&A等を除く)。
注目の関連イベント&その他の重要施策
関連イベント
Global Startup EXPO 2025: 2025年9月17-18日に大阪で開催。世界のトップ投資家やスタートアップが集結する国際イベント。
日本スタートアップ大賞2025: 次世代のロールモデルとなる起業家やスタートアップを表彰。
その他の重要施策
中小機構・JICによる出資: ベンチャーファンドへのLP出資やスタートアップへの直接投資を強化。
公共調達の促進: 創業10年未満の中小企業からの契約比率を3%以上に拡大目標。
スタートアップビザ改正: 外国人起業家の最長在留期間を1年から2年に延長。
オープンイノベーション促進税制: 適用期限を2年間延長し、M&Aを後押し。
まとめ:政府支援を最大限に活用しよう
「スタートアップ育成5か年計画」は、具体的な数値目標と共に着実に進捗しており、今後も新たな支援策が期待されます。自社のステージや事業領域に合った制度を見つけ、積極的に活用することが事業成長の鍵となります。各事業の詳細は公募要領で発表されるため、公式サイトの情報を常にチェックしましょう。