建築業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を力強く推進する国土交通省の補助金「建築GX・DX推進事業」をご存知でしょうか?この事業は、好評だった「建築BIM加速化事業」の後継事業として、2025年度も継続されます。本記事では、BIM導入を目指す事業者様必見の「建築GX・DX推進事業」について、補助額や対象経費、申請スケジュールまでプロが徹底解説します。
この補助金のポイント
- 最大9,500万円の大型補助!
- BIM関連費用(ソフト、人件費等)の1/2を補助!
- プロジェクト要件が緩和され、BIMモデラー費用も対象に!
- 申請はオンライン(jGrants)で完結!
建築GX・DX推進事業とは?
本事業は、建築物のライフサイクル全体でのCO2排出量を削減する「建築GX(グリーン・トランスフォーメーション)」と、BIM(Building Information Modeling)活用による生産性向上を目指す「建築DX」を同時に推進することを目的としています。具体的には、複数の事業者が連携してBIMデータを活用する新築プロジェクトに対し、設計費や建設工事費に含まれるBIM関連費用の一部を国が補助する制度です。
補助金の詳細
補助対象者
一定の要件を満たす建築物を整備する新築プロジェクトにおいて、複数の事業者(設計事業者、施工事業者など)が連携して建築BIMデータの作成・活用を行う場合に、その代表となる事業者が対象となります。
補助対象経費
BIMの導入・活用にかかる幅広い費用が対象となります。特に今年度から導入初期のBIMモデラー人件費が追加され、より活用しやすくなりました。
- BIMソフトウェア利用費(購入、サブスクリプション、レンタル)
- BIMソフトウェア関連費(PCリース料、ARゴーグル料等)
- CDE(共通データ環境)環境構築費、利用費
- BIMコーディネーター、BIMマネジャーの人件費
- BIM講習の実施費用
- BIMモデラーの人件費
- LCA(ライフサイクルアセスメント)算定に要する費用
補助額と補助率
補助率は、対象経費の1/2です。補助上限額はプロジェクトの延べ面積に応じて変動します。
延べ面積 | 設計費(上限) | 建設工事費(上限) |
---|---|---|
10,000㎡未満 | 2,500万円 | 4,000万円 |
10,000㎡以上 30,000㎡未満 | 3,000万円 | 5,000万円 |
30,000㎡以上 | 3,500万円 | 5,500万円 |
【追加補助】LCA算定でさらに最大500万円!
BIMを活用したLCA(ライフサイクルアセスメント)算定を合わせて実施する場合、上記に加えて最大500万円が追加で補助されます。これにより、総額の補助上限は最大9,500万円となります。
申請スケジュール
令和6年度補正予算と令和7年度予算で公募期間が分かれています。対象となる経費の期間が異なるためご注意ください。
令和6年度補正(※令和6年度中の経費が必要) | |
---|---|
代表事業者登録 | 2025年2月18日(火)~ 2025年3月31日(月) |
交付申請 | 2025年2月27日(木)~ 2025年6月30日(月) |
令和7年度(※令和6年度中の経費は対象外) | |
代表事業者登録 | 2025年4月1日(火)~ 2025年12月31日(水) |
交付申請 | 2025年4月上旬 ~ 2025年9月30日(火) |
申請から交付までの流れ
申請は、政府の補助金電子申請システム「jGrants」を利用して行います。
- 【事前準備】gBizIDプライムの取得
jGrantsの利用には「gBizIDプライム」アカウントが必要です。取得には2〜3週間かかる場合があるため、早めに申請しましょう。 - 代表事業者登録
公募期間内に、公式サイトから代表事業者としての登録を行います。 - 交付申請(jGrants)
登録後、jGrantsを通じてプロジェクトの詳細や経費などを入力し、交付申請を行います。 - 事業実施
交付決定後、申請内容に基づきBIM関連の事業を実施します。 - 完了実績報告
事業完了後、成果や経費の証憑をまとめてjGrantsで報告します。 - 補助金交付
報告内容が審査され、問題がなければ補助金額が確定し、交付されます。
【重要】gBizIDの事前取得を!
申請の第一歩であるgBizIDプライムアカウントの取得には時間がかかります。公募開始後に慌てないよう、今のうちから準備を進めておくことを強くお勧めします。
まとめ
「建築GX・DX推進事業」は、BIM導入の初期コストを大幅に軽減し、企業の競争力強化と業界全体の生産性向上に貢献する非常に価値のある補助金です。要件緩和により、これまで導入が難しかった中小規模のプロジェクトにも活用の道が拓かれました。この機会を最大限に活用し、BIMによる建築プロセスの革新を目指しましょう。
公式サイト・お問い合わせ
本事業の詳細、募集要領、最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
お問い合わせ先: 建築GX・DX推進事業 実施支援室