近年、地震や台風などの大規模災害が頻発し、事業継続計画(BCP)におけるエネルギー供給の確保は喫緊の課題です。この記事では、災害時でも事業を継続し、地域社会の防災拠点としての役割を果たすための強力な支援策となる「災害時の強靭性向上に資する天然ガス利用設備導入支援事業費補助金」について、対象者や補助額、申請方法をプロが徹底解説します。
災害時の強靭性向上補助金とは?
この補助金は、災害による停電時でも電力や空調を確保できる「停電対応型の天然ガス利用設備」の導入を支援するものです。平常時はエネルギーコストの削減や環境負荷の低減に貢献し、非常時には防災拠点として機能することを目指します。執行団体は一般社団法人 都市ガス振興センターです。
この補助金の3つの主要ポイント
- 災害に強いインフラ構築: 停電時でも稼働するCGSやGHPを導入し、事業継続性を高めます。
- 手厚い補助: 補助率は最大1/2、補助上限額は最大3億6,000万円と、大規模な設備投資を強力に後押しします。
- 環境への貢献: クリーンな天然ガスを利用することで、CO2排出量を削減し、環境経営にも繋がります。
補助金の詳細情報
補助金の具体的な内容を、以下の表にまとめました。申請を検討する際の基本情報としてご確認ください。
項目 | 内容 |
---|---|
補助対象設備 | 停電対応型CGS(コージェネレーションシステム) 停電対応型GHP(ガスエンジン・ヒートポンプ・エアコン) |
対象事業者 | 指定避難所や防災拠点など、災害時に地域貢献する施設を運営する全業種の事業者(家庭用は除く) |
補助率 | 1/3以内 または 1/2以内 ※地震対象エリア・大都市等で中圧ガス導管供給の場合は1/2 |
補助上限額 | 設備や条件により変動 CGS: 最大3億6,000万円 GHP: 最大1億円 |
補助対象経費 | 設計費、既存設備撤去費(更新目的は除く)、新規設備機器費、設置工事費、敷地内ガス管敷設費 |
公募期間 | 年度内に複数回実施される傾向があります。最新情報は公式サイトで必ずご確認ください。 |
対象となる施設の要件
補助対象となるには、設備を設置する施設が以下のいずれかに該当する必要があります。
- 国や地方公共団体の防災計画で指定された避難所(福祉避難所含む)
- 災害時に活動拠点となる地方公共団体施設などの中核施設
- 自治体と協定を締結している協定避難所、帰宅困難者受入施設など
⚠️ 注意事項
設備の更新も対象となりますが、その際の既存設備の撤去費用は補助対象外です。また、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)関連の補助金など、他の国庫補助金との併用は原則としてできませんのでご注意ください。
申請から補助金受領までの流れ
申請は、原則として電子申請システム「jGrants(Jグランツ)」を利用して行います。大まかな流れは以下の通りです。
- 1交付申請: jGrantsにて必要書類を提出します。
- 2交付決定: 審査後、都市ガス振興センターから交付決定通知が届きます。
- 3事業開始: 交付決定後に、設備の発注・契約を行います。(交付決定前の契約は対象外)
- 4実績報告: 事業完了後、支払いを終えてから30日以内に実績報告書を提出します。
- 5確定検査・金額確定: センターによる検査後、補助金額が確定します。
- 6補助金受領: 精算払請求を行い、補助金が振り込まれます。
まとめ:災害に強い社会を築くために
「災害時の強靭性向上に資する天然ガス利用設備導入支援事業費補助金」は、企業のBCP対策を強化し、地域全体の防災力向上に貢献する非常に有益な制度です。初期投資の負担を大幅に軽減しながら、平時の省エネと非常時のエネルギー確保を両立できます。
公募は複数回に分けて行われることが多いため、タイミングを逃さないよう、公式サイトの情報を定期的にチェックすることが重要です。この機会に、補助金を活用した災害対策を検討してみてはいかがでしょうか。
お問い合わせ先
一般社団法人 都市ガス振興センター
「強靭性向上補助金」に関して
事業部 事業グループ
TEL:03-6435-7692
「レジリエンス強化補助金」に関して
事業部 保安対策支援グループ
TEL:03-6435-7693
受付時間:9:00~12:00、13:00~17:20(土日祝、5/1、12/29~1/4を除く)