はじめに:電気代高騰・脱炭素化時代の必須戦略「省エネ補助金」
昨今の電気代高騰や脱炭素社会への移行は、多くの事業者にとって喫緊の課題です。設備更新によるエネルギー効率の改善は、コスト削減と環境貢献を両立する重要な一手となります。そこで注目したいのが、国が主導する「令和6年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業」をはじめとする、大規模な省エネ補助金です。本記事では、これらの補助金を最大限に活用するための情報を、専門家の視点から分かりやすく解説します。
この記事でわかること
- 令和6年度補正予算で利用できる主要な省エネ補助金の概要
- 自社に合った補助金の見つけ方(設備単位型 vs 工場・事業場型)
- 申請から補助金受給までの具体的な流れ
- 専門家が教える採択率を高めるための重要ポイント
【概要比較】令和6年度補正予算の主要な省エネ補助金
令和6年度補正予算では、事業者の規模や目的に応じて複数の省エネ補助金が用意されています。ここでは代表的な2つの事業を比較してみましょう。
項目 | ①省エネルギー投資促進支援事業 (設備単位型) |
②省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業 (工場・事業場型) |
---|---|---|
通称 | 設備単位型 | 工場・事業場型 / オーダーメイド型 |
対象者 | 指定の省エネ設備を導入する事業者 | 工場・事業場全体で大幅な省エネを目指す事業者 |
補助対象 | 予め定められた高効率な設備(空調、照明、ボイラ等)の更新 | 事業者が自由設計する省エネ設備・システムの導入 |
補助上限額 | 1億円 | 単年度事業: 15億円 複数年度事業: 20億円/年度 |
補助率 | 中小企業: 1/2以内 大企業: 1/3以内 など |
中小企業: 1/2以内 大企業: 1/3以内 など |
公募期間(目安) | 複数回実施(例: 3次公募 2025/8/13~9/24) | 単年度: ~2025/10/31 複数年度: ~2026/1/13 |
※上記は過去の公募情報や公表資料に基づく目安です。最新かつ正確な情報は必ず公式サイトの公募要領をご確認ください。
補助対象となる設備例
本補助金では、幅広い省エネルギー設備が対象となります。特に「設備単位型」では、以下の設備が指定されています。
- 高効率空調:事務所、店舗、工場などで使用する業務用エアコンなど
- 産業ヒートポンプ:製造プロセスの加熱・冷却に使用
- 業務用給湯器:温浴施設や宿泊施設、病院などで使用
- 高性能ボイラ:蒸気や温水を供給する産業用ボイラ
- 高効率コージェネレーション:電気と熱を同時に作り出すシステム
- 変圧器:電力損失の少ない高効率な変圧器
- 冷凍冷蔵設備:食品工場や倉庫、スーパーマーケットなどで使用
- 産業用モータ:工場の生産ラインなどで使用される動力源
- LED照明器具:工場や倉庫、オフィスビルなどの照明
申請から交付までの流れ【7ステップ】
補助金の申請は計画的に進めることが重要です。一般的な流れを把握しておきましょう。
- 公募要領の確認:公式サイトで最新の公募要領を熟読し、要件を理解します。
- 共同申請者(エネマネ事業者)の選定:必要に応じて、エネルギー管理支援サービス事業者(エネマネ事業者)と連携します。
- 申請書類の準備:事業計画書、省エネ計算書、見積書など、膨大な書類を準備します。
- 電子申請:原則として、電子申請システム(jGrantsなど)を利用して申請します。
- 審査・交付決定:事務局による審査が行われ、採択されると交付決定通知が届きます。(注意:交付決定前に発注・契約した設備は補助対象外です)
- 事業実施・実績報告:計画通りに設備を導入し、完了後に実績報告書を提出します。
- 補助金額の確定・支払い:報告書の内容が検査され、補助金額が確定した後に、指定口座に振り込まれます。
採択率を高める3つの重要ポイント
人気の補助金は競争率も高くなります。審査で高く評価されるためには、以下のポイントを押さえることが不可欠です。
ポイント1:省エネルギー効果の客観的な数値化
「どれだけエネルギー使用量が削減できるか」「費用対効果はどれくらいか」を、具体的な計算根拠に基づいて示すことが最も重要です。SIIが提供する省エネ計算プログラムなどを活用し、説得力のあるデータを作成しましょう。
ポイント2:事業の実現可能性と具体性
導入設備の選定理由、導入スケジュール、資金計画、投資回収計画などを具体的に記述し、計画が「絵に描いた餅」ではないことをアピールします。体制図や工程表を添付するのも有効です。
ポイント3:専門家(エネマネ事業者)との連携
特に大規模な「工場・事業場型」では、エネルギー管理の専門家であるエネマネ事業者との連携が採択の鍵を握ります。専門的な知見を活かして、より質の高い事業計画書を作成することが可能です。
税務上の注意点:圧縮記帳について
本補助金は、法人税法上の「圧縮記帳」の適用が認められています。補助金を受け取った年度の課税所得を圧縮できる税務上の特例ですが、適用には専門的な知識が必要です。必ず税理士等の専門家にご相談ください。
まとめと公式情報
令和6年度補正予算の省エネ補助金は、企業の競争力強化と脱炭素経営を力強く後押しする制度です。自社の状況に合わせて適切な事業を選択し、計画的に申請準備を進めることが成功の鍵となります。公募期間は限られていますので、早めの情報収集と準備に着手しましょう。
詳細な公募要領や最新情報は、必ず公式サイトでご確認ください。
お問い合わせ先
一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)
(Ⅲ)設備単位型: 0570-039-930
(A)先進事業: 03-5565-3840
(B)オーダーメイド型事業: 03-5565-4463
受付時間: 平日10:00~12:00、13:00~17:00(土日祝除く)
※事業ごとに窓口が異なりますのでご注意ください。