J-Partnership補助金とは?新興国での社会課題解決を支援
J-Partnership補助金(正式名称:技術協力活用型・新興国市場開拓事業費補助金)は、経済産業省が実施する、新興国・開発途上国が抱える社会課題の解決に繋がるビジネスを支援する制度です。日本企業が持つ優れた技術やサービスを活用し、現地のパートナーと共同で製品開発や実証実験を行う際の経費を最大1,000万円まで補助します。資金援助だけでなく、専門家による伴走支援も受けられるため、海外展開を目指す企業にとって非常に魅力的な補助金です。
この補助金のポイント
- ✔補助上限額1,000万円:製品開発や実証実験の費用を強力にサポート。
- ✔最大2/3の補助率:中小企業は経費の2/3が補助対象。
- ✔手厚い伴走支援:経産省や関係機関が現地調査やネットワーク構築を後押し。
- ✔J-Startup企業は優遇:審査で一定の優遇措置あり。
補助金の詳細情報
制度概要
補助金名 | 令和7年度 技術協力活用型・新興国市場開拓事業費補助金(社会課題解決型国際共同開発事業) 通称:J-Partnership 製品・サービス開発等支援事業補助金 |
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目的 | 開発途上国の社会課題解決に繋がる製品・サービスの開発等に取り組む日本企業を支援し、新興国市場における日本企業のプレゼンスを獲得すること。 |
補助上限額 | 1,000万円 |
補助率 | 中堅・中小企業:2/3以内 大企業:1/3以内 |
実施機関 | 経済産業省(J-Partnership事務局) |
対象となる事業者と事業
対象事業者
日本国内に本社を有する民間企業等(単体または複数)が対象です。特に、以下のような熱意ある企業が求められています。
- Innovation: 新興国の社会課題を解決し、新たな産業を創造する企業
- Scale-up: 現地パートナーと共に事業を拡大できるビジネスプランを持つ企業
- Challenge: グローバルな事業展開に強い熱意を持つ企業
対象事業の要件
以下の要件をすべて満たす事業が対象となります。
- 現地の企業・大学・研究機関・NGO等と共同で、社会課題を解決する製品・サービスの開発や実証・評価に取り組むこと。
- 補助事業終了後、2年以内に事業化を目指す具体的なビジネスプランであること。
対象地域
対象となる国は、OECDの「援助受取国・地域リスト(DACリスト)」に掲載されている新興国・開発途上国(ただし、ASEAN、モンゴル、中国を除く)です。特に、以下の地域でのビジネスアイデアが重点的に募集されています。
- アフリカ: エチオピア、ケニア、ルワンダ、ナイジェリア、ガーナ、セネガル、南アフリカ、チュニジア
- アジア: インド
- 中南米
申請スケジュールと手続き
令和7年度の公募はすでに終了しております。
以下は参考情報です。令和8年度の公募は例年4月頃に開始される見込みですので、公式サイトを定期的にご確認ください。
申請プロセス
申請は、政府の補助金申請システム「Jグランツ」を利用して行います。事前に「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要ですので、早めに準備を進めましょう。
- 1GビズIDの取得
申請に必須の「GビズIDプライムアカウント」を取得します。取得には2〜3週間かかる場合があるため、公募開始前に済ませておくとスムーズです。 - 2公募要領の確認・書類準備
公式サイトで公開される公募要領を熟読し、事業計画書などの必要書類を準備します。 - 3Jグランツで申請
公募期間内にJグランツにログインし、必要事項を入力して書類をアップロードし、申請を完了させます。 - 4審査・採択
審査委員会による審査が行われ、採択事業者が決定・公表されます。
過去の採択事例紹介
本事業では、これまで多くの革新的なプロジェクトが採択されています。ここでは、その一部をご紹介します。
【事例】SORA Technology 株式会社(令和4年度採択)
対象国:シエラレオネ共和国
事業内容:ドローン空撮とAI技術を組み合わせ、マラリアを媒介する蚊の繁殖域を超効率的に発見・管理するサービス「SORA Malaria Control」の開発実証。現地の深刻なマラリア問題を解決し、SDGsの目標達成にも貢献する画期的な取り組みです。
【事例】AA Health Dynamics株式会社(令和5年度採択)
対象国:ケニア共和国、南アフリカ共和国
事業内容:医療教育プラットフォーム「MedicScan」と連携し、アフリカの医師の技術力向上と医療機器不足の解消を目指す技能研修兼サブスクリプション型検診センターを構築。現地の医療水準向上に直接的に貢献します。
採択企業一覧(一部)
各年度で多様な分野の企業が採択されています。
年度 | 会社名 | 対象国 | 事業概要 |
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令和7年度 | おかもとポンプ株式会社 | ケニア | 手押しポンプのソーラーハイブリッド化による給水改善 |
令和6年度 | WASSHA株式会社 | モザンビーク等 | 低所得者層向けバッテリーレンタルビジネス |
令和5年度 | 株式会社Connect-Afya | ケニア | 病理診断の迅速化によるがん診断体制の構築 |
令和4年度 | 株式会社Dots for | セネガル | 無線技術による農村デジタル化サービス「d.CONNECT」 |
まとめ:次年度の公募に向けて準備を始めよう
J-Partnership補助金は、新興国・開発途上国でのビジネス展開を考えている企業にとって、資金面と事業推進面の両方から強力なサポートとなる制度です。社会課題の解決に貢献しながら自社の成長を目指せる、非常に意義深い補助金と言えるでしょう。
令和7年度の公募は終了しましたが、来年度の公募に向けて、今から情報収集や現地パートナー探し、事業計画の策定を進めてみてはいかがでしょうか。