詳細情報
愛知県内の病院、診療所、薬局の皆様へ朗報です。医療DXの重要な柱である「電子処方箋」の導入を力強く後押しする「令和7年度愛知県電子処方箋活用普及促進事業費補助金」が公募されています。この補助金は、国の補助金に上乗せで活用できるのが最大の魅力で、導入にかかる経済的負担を大幅に軽減できます。大規模病院であれば最大100.3万円、診療所や薬局でも最大13.8万円の補助が受けられます。申請期間は2025年8月1日から12月26日までと限られています。この記事では、補助金の概要から複雑な申請手順、採択されるための重要なポイントまで、どこよりも分かりやすく徹底的に解説します。この機会を逃さず、患者サービスの向上と業務効率化を実現しましょう。
この補助金のポイント
- 愛知県内の保険医療機関・保険薬局が対象
- 国の補助金(ICT基金)に上乗せで受給可能
- 補助額は施設規模に応じて最大100.3万円
- 申請には国の補助金の交付決定が必須条件
- 申請はjGrantsによる電子申請のみ
① 補助金の概要
まずは、この補助金がどのような制度なのか、全体像を把握しましょう。
正式名称
令和7年度愛知県電子処方箋活用普及促進事業費補助金
実施組織
愛知県(担当:保健医療局 生活衛生部 医薬安全課)
目的・背景
この補助金は、国が進める医療DXの一環として、電子処方箋の普及を促進することを目的としています。電子処方箋は、患者の過去の薬剤情報を医療機関や薬局間で共有し、重複投薬や併用禁忌薬のチェックを容易にすることで、医療の質の向上と安全性の確保に貢献します。愛知県では、国の補助制度と連携し、県独自の補助金を上乗せすることで、県内医療機関・薬局の導入を強力に支援しています。
② 補助金額・補助率
補助金額は、医療機関の種別(規模)と導入する事業内容によって細かく設定されています。ご自身の施設がどれに該当するか、しっかり確認しましょう。
重要:補助額は、「実際に支払った経費」と「補助事業費上限額」のうち、いずれか低い方の金額に補助率を乗じて算出されます。その算出額と「補助限度額」を比較し、いずれか低い方が最終的な補助金額となります。
大規模病院(病床数200床以上)
補助対象事業 | 補助事業費上限額 | 補助率 | 補助限度額 |
---|---|---|---|
(1)電子処方箋導入費用 | 486.6万円 | 1/6 | 81.1万円 |
(2)電子処方箋新機能導入費用 | 135.6万円 | 1/6 | 22.6万円 |
(3)(1)・(2)同時導入費用 | 602.2万円 | 1/6 | 100.3万円 |
病院(病床数200床未満)
補助対象事業 | 補助事業費上限額 | 補助率 | 補助限度額 |
---|---|---|---|
(1)電子処方箋導入費用 | 325.9万円 | 1/6 | 54.3万円 |
(2)電子処方箋新機能導入費用 | 100万円 | 1/6 | 16.7万円 |
(3)(1)・(2)同時導入費用 | 405.9万円 | 1/6 | 67.6万円 |
診療所
補助対象事業 | 補助事業費上限額 | 補助率 | 補助限度額 |
---|---|---|---|
(1)電子処方箋導入費用 | 38.7万円 | 1/4 | 9.7万円 |
(2)電子処方箋新機能導入費用 | 24.5万円 | 1/4 | 6.1万円 |
(3)(1)・(2)同時導入費用 | 54.2万円 | 1/4 | 13.5万円 |
薬局
補助対象事業 | 補助事業費上限額 | 補助率 | 補助限度額 |
---|---|---|---|
(1)電子処方箋導入費用 | 38.7万円 | 1/4 | 9.7万円 |
(2)電子処方箋新機能導入費用 | 25.6万円 | 1/4 | 6.4万円 |
(3)(1)・(2)同時導入費用 | 55.3万円 | 1/4 | 13.8万円 |
③ 対象者・条件
補助金を受け取るためには、いくつかの重要な条件をクリアする必要があります。申請前に必ず確認してください。
対象となる事業者
- 愛知県内に開設する医療機関及び薬局
- 具体的には、健康保険法第63条第3項各号に定める病院、診療所、保険薬局に限ります。
満たすべき補助条件
以下の2つの条件を両方満たしている必要があります。
- 令和7年9月30日までに電子処方箋管理サービスの整備を完了していること。
- 社会保険診療報酬支払基金から、国の補助金「ICT基金(電子処方箋)」の交付決定通知を既に受けていること。
昨年度(令和6年度)の補助金を受給した方へ:
原則として、昨年度の県補助金を受けた事業者は対象外です。ただし、以下のケースは例外的に対象となります。
・ケース1:昨年度「初期導入」の補助のみを受け、今年度新たに「新機能追加」を申請する場合。
・ケース2:昨年度「新機能追加」の補助のみを受け、今年度新たに「初期導入」を申請する場合。
④ 補助対象経費
どのような費用が補助の対象になるのかを具体的に見ていきましょう。
対象となる事業(経費)
- 電子処方箋の初期導入に要する費用:システム改修費、導入にかかる作業費、関連機器の購入費など。
- 電子処方箋の新機能追加に要する費用:「リフィル処方箋」「口頭同意による重複投薬等チェック結果の閲覧」「マイナンバーカード署名」などの機能を追加するための費用。
- 初期導入と新機能追加の同時導入に要する費用:上記の2つを同時に導入する場合の費用。
対象外となる経費
注意点として、「院内処方機能」に関する費用は補助対象外となりますので、見積もりや請求書の内容をよく確認してください。
⑤ 申請方法・手順
申請は複数のステップを踏む必要があり、時間もかかります。全体の流れを把握し、計画的に進めることが成功の鍵です。
申請期間
2025年8月1日(金曜日)から2025年12月26日(金曜日)まで
申請までの6ステップ
以下の流れで準備を進めてください。特に、GビズIDの取得や国の補助金申請には時間がかかるため、並行して早めに着手することが重要です。
- 【STEP 1】GビズIDの取得
申請は国の電子申請システム「jGrants」で行うため、GビズIDが必須です。「gBizIDプライム」または「gBizIDメンバー」を取得してください。取得には2~3週間かかるため、他の手続きと並行して、遅くとも11月中には申請を完了させましょう。 - 【STEP 2】システム事業者への発注
電子処方箋システムに対応するベンダーへ連絡し、導入や改修を発注します。対応に時間がかかる場合があるため、こちらも早めに相談を開始してください。 - 【STEP 3】電子処方箋の運用開始(導入完了)
システムの導入・改修を完了させ、実際に電子処方箋が利用できる状態にします。この導入完了が、国の補助金申請の前提となります。 - 【STEP 4】国の補助金(ICT基金)を申請
社会保険診療報酬支払基金へ、国の補助金「ICT基金(電子処方箋)」を申請します。申請から交付決定まで1~2か月程度かかります。 - 【STEP 5】国の補助金の交付決定通知を受領
支払基金から交付決定通知書が届きます。この通知書が、愛知県の補助金申請に必要不可欠な書類となります。 - 【STEP 6】愛知県へ補助金交付申請
ようやく愛知県への申請です。jGrantsシステムを使い、期間内(~12/26)に申請を完了させます。紙での申請は受け付けていません。
必要書類
jGrantsでの申請時に、主に以下の書類が必要となります。詳細は公式サイトの「jGrants入力マニュアル」を必ずご確認ください。
- 交付申請書(jGrants上で作成)
- 経費精算書(公式サイトから指定様式のExcelファイルをダウンロードして作成)
- 社会保険診療報酬支払基金からの補助金交付決定通知書の写し
- 導入費用の内訳がわかる書類(見積書、請求書、領収書など)
- その他、マニュアルで指定された書類
⑥ 採択のポイント
この補助金は、事業計画の優劣を競うものではなく、要件を満たしていれば原則として採択されます。したがって、採択のポイントは「いかにミスなく、期限内に手続きを完了させるか」に尽きます。
採択に向けた3つの鉄則
- 徹底したスケジュール管理:GビズID取得(2-3週間)、システム導入(1-2ヶ月)、国の補助金審査(1-2ヶ月)と、各ステップで時間がかかります。申請締切から逆算し、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。
- 国の補助金交付決定を最優先:愛知県の補助金は、国の補助金の交付決定が大前提です。何よりも先に国の補助金申請を完了させ、交付決定通知書を確保することが重要です。
- マニュアルの熟読と正確な書類作成:申請はすべてjGrantsで行われます。公式サイトにある「jGrants入力マニュアル」や「経費精算書」の作成マニュアルを隅々まで読み込み、入力ミスや添付書類の漏れがないように細心の注意を払いましょう。
よくある不採択理由
- 申請期間を過ぎてしまった。
- 国の補助金の交付決定を受ける前に申請してしまった。
- GビズIDの取得が間に合わなかった、またはアカウントの種類を間違えた(gBizIDエントリーは不可)。
- 経費精算書などの必要書類に不備があった。
- 補助対象外の経費(院内処方機能など)を含めて申請してしまった。
⑦ よくある質問(FAQ)
Q1: 国の補助金と愛知県の補助金は両方もらえますか?
A1: はい、両方受給できます。この補助金は、国の補助金(ICT基金)の交付決定を受けていることが申請の必須条件となっており、国の補助金に上乗せする形で支給される制度です。
Q2: 申請はいつからいつまでですか?
A2: 令和7年度の申請期間は、2025年8月1日(金曜日)から2025年12月26日(金曜日)までです。期限厳守ですのでご注意ください。
Q3: GビズIDを持っていませんが、申請できますか?
A3: いいえ、できません。申請には「gBizIDプライム」または「gBizIDメンバー」のアカウントが必須です。ID取得には2~3週間程度かかりますので、申請を検討している場合は、まずGビズIDの取得手続きを始めることを強くお勧めします。
Q4: 昨年度(令和6年度)に補助金をもらいましたが、今年も申請できますか?
A4: 原則として対象外ですが、例外があります。昨年度「初期導入費用」の補助のみを受けた施設が、今年度「新機能導入費用」を申請する場合などは対象となります。詳しくは本文の「対象者・条件」の項目をご確認ください。
Q5: 問い合わせはどこにすればよいですか?
A5: この補助金事業専用のコールセンターが設置されています。ご不明な点はこちらにお問い合わせください。
愛知県電子処方箋活用普及促進事業費補助金コールセンター
・Tel:052-559-4169
・E-mail: aichi-denshishohousen@global-cast.jp
・受付時間:平日(月~金)午後1時~午後5時
⑧ まとめ・行動喚起
「令和7年度愛知県電子処方箋活用普及促進事業費補助金」は、愛知県内の医療機関・薬局が電子処方箋を導入する絶好の機会です。国の補助金と合わせて活用することで、コストを抑えながら医療DXを推進できます。
今すぐやるべきこと
- GビズIDを持っていない場合は、今すぐ申請する。
- システムベンダーに連絡し、導入の見積もりとスケジュールを確認する。
- 国の補助金(ICT基金)の申請準備を始める。
- 愛知県の公式サイトで最新情報とマニュアルを確認する。
申請プロセスは複雑で時間がかかりますが、計画的に進めれば確実に補助を受けることができます。患者のため、そして自院・自局の未来のために、ぜひこの制度をご活用ください。ご不明な点は、早めに専用コールセンターへ相談しましょう。