詳細情報
この記事のポイント
- 愛知県内の災害・感染症医療業務従事者派遣協定を締結した医療機関が対象
- 災害・感染症対応に必要な設備の購入費用を補助
- 補助率は1/3、上限額は設備により異なり最大3,168万5,000円
- 申請には県からの通知が必要で、公募期間は限定的
- 申請から実績報告までの具体的な手順と必要書類を徹底解説
はじめに:愛知県の医療体制強化を支援する重要な補助金
愛知県内で医療活動に従事されている皆様、大規模な災害や新たな感染症のパンデミックに備え、万全の体制を整えていますか?いつ起こるかわからない非常事態において、迅速かつ円滑な医療活動を継続するためには、事前の設備投資が不可欠です。しかし、そのための設備投資は決して軽い負担ではありません。
そこで活用したいのが、愛知県が実施する「愛知県災害・感染症医療業務従事者派遣設備整備事業費補助金」です。この制度は、愛知県と「災害・感染症医療業務従事者派遣に関する協定」を締結している医療機関を対象に、災害時などに必要な設備の購入費用の一部を補助するものです。この記事では、補助金の概要から申請方法、採択されるためのポイントまで、担当者の方が知りたい情報を網羅的に解説します。貴院のBCP(事業継続計画)強化と地域医療への貢献のために、ぜひ本補助金の活用をご検討ください。
補助金の概要
まずは、本補助金の基本的な情報を確認しましょう。どのような目的で、誰が、どのような医療機関を対象としているのかを正確に理解することが、申請の第一歩です。
正式名称
愛知県災害・感染症医療業務従事者派遣設備整備事業費補助金
実施組織
愛知県(担当課:保健医療局 健康医務部 医務課 看護対策グループ)
目的・背景
この補助金は、災害や感染症が発生した際に、医療従事者が円滑に医療活動を行える体制を確保することを目的としています。具体的には、医療チームの派遣に必要な通信機器、衛生用品、医薬品の保管設備などを整備するための購入費用を支援することで、愛知県全体の災害・感染症対応能力の向上を図ります。
重要:この補助金は、広く一般に公募されるものではなく、既に対象となる事業者(医療機関)宛に愛知県から直接通知が送付される形式をとっています。通知を受け取った医療機関が申請対象となります。
補助金額・補助率
補助金の活用を検討する上で最も重要なのが、補助される金額と補助率です。本補助金の算出方法は少し複雑なため、ここで詳しく解説します。
補助率と上限額
- 補助率:原則として対象経費の 1/3
- 上限金額:最大 3,168万5,000円 / 1施設あたり(ただし、対象となる設備の種類によって個別の基準額が定められています)
交付額の算出方法
補助金の交付額は、以下の手順で算出されます。
- 設備の種類ごとに、「県の定める基準額」と「実際の購入費用(対象経費)」を比較し、少ない方の額を選びます。
- 上記で選んだ額と、「総事業費から寄付金などを除いた額」を比較し、少ない方の額を補助対象額とします。
- この補助対象額に、補助率1/3を乗じたものが交付額となります。(1,000円未満は切り捨て)
補助対象設備と基準額の例
補助対象となる設備と基準額は、交付要綱の「別表」に詳細が記載されています。以下に一部を抜粋して紹介します。(※金額はあくまで例であり、年度によって変更される可能性があります。必ず最新の要綱をご確認ください。)
| 種目 | 基準額 | 補助率 |
|---|---|---|
| 衛星電話 | 300,000円 | 1/3 |
| ポータブル電源 | 200,000円 | |
| 簡易ベッド | 50,000円 | |
| 個人防護具セット | 20,000円 |
対象者・条件
本補助金の最も重要な要件は、対象となる医療機関の条件です。以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 愛知県内に所在する医療機関であること。
- 愛知県知事と「災害・感染症医療業務従事者派遣に関する協定」を締結していること。
- 上記協定を締結した施設のうち、知事が適当と認めた施設であること。
- 愛知県から本補助金に関する交付申請の通知を直接受け取っていること。
つまり、協定を締結していても、県からの通知がなければ申請はできません。ご自身の施設が対象かどうか不明な場合は、愛知県医務課の担当グループへお問い合わせください。
補助対象経費
補助の対象となるのは、災害・感染症医療業務従事者を派遣する際に必要となる設備の購入費用です。具体的には、交付要綱の別表に定められたものが対象となります。
対象となる経費の例
- 情報通信機器:衛星電話、トランシーバーなど
- 電源関連:ポータブル電源、発電機など
- 衛生・防護用品:個人防護具(PPE)、消毒液、簡易トイレなど
- 資機材:テント、簡易ベッド、担架、医薬品保冷庫など
- その他:派遣チームの活動に必要な備品・消耗品など
対象外となる経費
- 土地・建物の取得費、造成費
- 既存設備の撤去費用
- 職員の人件費、旅費
- 消費税及び地方消費税
- その他、本事業の目的に合致しないと判断される経費
申請方法・手順
申請は、定められた期間内に必要書類を提出することで行います。ここでは、令和7年度の例を基に、申請から補助金交付までの流れをステップバイステップで解説します。
申請期限(令和7年度の例):2025年11月21日(金曜日)まで
※年度によってスケジュールは異なります。必ず愛知県からの通知及び公式サイトで最新情報をご確認ください。
Step 1: 愛知県からの通知受領と書類の準備
対象となる医療機関には、愛知県医務課から交付申請に関する通知が送付されます。通知を受け取ったら、愛知県の公式サイトにアクセスし、申請に必要な様式をダウンロードします。
Step 2: 必要書類の作成
以下の書類を作成します。公式サイトには記入例も用意されているため、参考にしながら正確に記入してください。
- 交付申請書(別紙様式1)
- 事業計画書(別紙様式1-1):購入する設備の詳細や活用計画を記載します。
- 所要額調書(別紙様式1-2):経費の内訳を記載します。
- 歳入歳出予算書
- その他添付書類:見積書、カタログなど、様式1に記載されている書類。
- 愛知県受取人届出書:初めて補助金を受ける場合や、登録内容に変更がある場合のみ提出。
Step 3: 申請書の提出
作成した書類一式(1部)を、期限内に下記の提出先へ郵送または持参します。
提出先:
〒460-8501 名古屋市中区三の丸3-1-2
愛知県 保健医療局 健康医務部 医務課 看護対策グループ
Step 4: 交付決定・事業実施
申請内容が審査され、適当と認められると「交付決定通知書」が送付されます。この通知を受け取った後に、設備の購入・発注を行ってください。交付決定前に発注・購入したものは補助対象外となるため、絶対に注意してください。
Step 5: 実績報告
事業(設備の購入)が完了したら、完了した日から30日以内、または翌年度の4月5日のいずれか早い日までに実績報告書を提出します。実績報告にも専用の様式(別紙様式2など)がありますので、領収書や納品書などの証拠書類を添えて提出します。
Step 6: 補助金額の確定・交付
実績報告書の内容が審査され、補助金額が最終的に確定します。その後、指定した口座に補助金が振り込まれます。これは「精算払い」と呼ばれる方式で、先に事業者が全額を支出し、後から補助金が交付される流れとなります。
採択のポイント
本補助金は対象者が限定されていますが、予算の範囲内で交付されるため、申請内容が適切でなければ採択されない可能性もあります。以下のポイントを押さえて、確実な採択を目指しましょう。
- 書類の正確性:記入漏れや計算ミスがないよう、記入例を参考に何度も確認しましょう。特に金額の整合性は重要です。
- 事業計画の具体性:「事業計画書(別紙様式1-1)」において、なぜその設備が必要なのか、災害・感染症発生時にどのように活用するのかを具体的に記述しましょう。「派遣チームの通信手段確保のため」「避難所での衛生環境維持のため」など、目的と設備を明確に関連付けることが重要です。
- 経費の妥当性:購入する設備が事業目的に対して過剰でないか、価格は適正か(相見積もりの取得が望ましい)など、経費の妥当性も審査の対象となります。
- 期限の厳守:申請期限は絶対です。余裕を持ったスケジュールで準備を進め、早めに提出することを心がけましょう。
よくある質問(FAQ)
- Q1. 愛知県と協定を締結していませんが、今から申請できますか?
- A1. この補助金は、既に協定を締結している施設の中から、県が対象と認めた施設に個別に通知を送る形式です。そのため、通知を受け取っていない場合は原則として申請できません。協定の締結については、別途、愛知県医務課へお問い合わせください。
- Q2. 補助金はいつもらえますか?
- A2. 補助金は、事業完了後の実績報告を行い、県による審査・額の確定を経てから交付されます(精算払い)。事業実施中は一時的に全額を立て替える必要がありますので、資金計画にご注意ください。
- Q3. 交付決定前に購入した設備も対象になりますか?
- A3. いいえ、対象になりません。必ず県の「交付決定通知書」を受け取った日付以降に契約・発注・購入したものが補助対象となります。フライングは絶対におやめください。
- Q4. 消費税の扱いはどうなりますか?
- A4. 補助対象経費に消費税は含まれません。また、補助事業完了後に消費税の申告により仕入控除税額が確定した場合は、県への報告が必要です。その結果、補助金の一部を返還しなければならない場合があります。
- Q5. 申請内容に変更があった場合はどうすればよいですか?
- A5. 交付決定を受けた補助金額や事業内容に変更が生じる場合は、速やかに「変更交付申請書」を提出し、県の承認を得る必要があります。また、法人の代表者や所在地が変更になった場合も「変更届」の提出が必要です。
まとめ・お問い合わせ先
今回は、「愛知県災害・感染症医療業務従事者派遣設備整備事業費補助金」について詳しく解説しました。最後に重要なポイントを再確認しましょう。
本補助金の重要ポイント
- 対象者:愛知県と派遣協定を締結し、県から通知を受けた医療機関限定。
- 対象経費:災害・感染症対応に必要な設備の購入費用。
- 補助額:補助率1/3、上限は設備により異なる。
- 手続き:交付決定後の事業着手が鉄則。事業完了後の実績報告が必要。
- 注意点:申請期間が限られているため、通知を受けたら速やかに準備を開始する。
この補助金は、貴院の災害対応能力を向上させ、地域医療に貢献するための大きなチャンスです。対象となる医療機関の方は、ぜひこの機会を最大限に活用してください。不明な点があれば、下記の担当窓口へ早めに相談することをお勧めします。
お問い合わせ先
- 担当部署:愛知県 保健医療局 健康医務部 医務課 看護対策グループ
- 所在地:〒460-8501 名古屋市中区三の丸3-1-2
- 電話番号:052-954-6276
- 公式サイト:愛知県災害・感染症医療業務従事者派遣設備整備事業費補助金について