詳細情報
「急な用事ができたけど、子どもの介護があって外出できない…」「少しだけ自分の時間がほしい…」在宅で障害のあるご家族を介護されている方なら、一度はそう感じたことがあるのではないでしょうか。東京都杉並区では、そんな介護者の「もしも」の時や「休息」を支えるための大切な制度「日帰りショートステイ(地域生活支援事業)」を実施しています。この制度は、介護者が病気や冠婚葬祭、あるいはリフレッシュしたい時に、日中、障害のあるご家族を施設で預かってもらえるサービスです。この記事では、杉並区の日帰りショートステイについて、対象者や利用方法、費用などを誰にでも分かりやすく徹底解説します。ご自身やご家族のために、この制度を最大限に活用する方法を知り、心身の負担を軽減するための一歩を踏み出しましょう。
この記事のポイント
- 杉並区が実施する障害者(児)向けの日中一時預かりサービス
- 保護者・家族の病気、冠婚葬祭、休息(レスパイト)などが利用理由
- 対象者は杉並区在住の0歳から65歳未満で各種手帳をお持ちの方など
- 利用者負担は原則3%。非課税・生活保護世帯は無料!
- 利用方法や対象施設、申請窓口まで詳しく解説
杉並区の日帰りショートステイ(地域生活支援事業)とは?
杉並区の日帰りショートステイは、障害者総合支援法に基づく「地域生活支援事業」の一つです。在宅で生活する障害のある方(障害者・障害児)を日常的に介護しているご家族が、様々な理由で一時的に介護が困難になった場合に、日帰りで施設に預け、生活の援助を受けられるサービスです。介護者の心身の負担を軽減し、地域で安心して暮らし続けることを目的としています。
制度の目的:介護者の「もしも」と「休息(レスパイト)」を支える
この制度の大きな目的は、介護者の負担軽減、いわゆる「レスパイトケア」です。レスパイト(respite)とは、「休息」「息抜き」を意味します。日々の介護から一時的に解放される時間を持つことで、介護者が心身ともにリフレッシュし、再び穏やかな気持ちで介護に向き合えるよう支援します。
- 緊急時:保護者や家族の病気、出産、事故など
- 社会的理由:冠婚葬祭、学校行事への参加、就労など
- 私的理由:休息、リフレッシュ、自己啓発、買い物など
上記のように、緊急時はもちろん、介護者の休息といった理由でも利用できるのが大きな特徴です。
実施主体
この事業の実施主体は杉並区です。そのため、利用対象者は原則として杉並区にお住まいの方となります。
対象者・利用条件について
このサービスを利用するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。ご自身やお子様が対象になるか、しっかりと確認しましょう。
対象となる方
杉並区に在住している満0歳から65歳未満の在宅の方で、以下のいずれかに当てはまる方が対象です。
- 身体障害者手帳をお持ちの方
- 愛の手帳をお持ちの方
- 精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方
- 手帳を所持していない5歳以下の療育を必要とする未就学児
- 高次脳機能障害者(児)
- 治療方法が確立していない難病など、その他の特殊の疾病の方
利用できないケース
一方で、以下のような場合はサービスの利用ができないことがありますのでご注意ください。
【注意】利用対象外となる場合
- 病気などのため、専門医療機関への入院加療が必要な方
- インフルエンザなど、他の利用者に感染する可能性のある伝染病疾患にかかっている方
- その他、施設での受け入れにおいて介護が著しく困難と認められる方
費用と利用日数
サービスの利用にあたって気になるのが費用と利用できる日数です。負担が少なく、計画的に利用できる仕組みになっています。
利用者負担額
利用時間に応じて利用者負担額がかかりますが、所得に応じて負担が大きく軽減されます。
| 世帯の課税状況 | 利用者負担額 |
|---|---|
| 課税世帯 | 原則として、かかった費用の3% |
| 非課税世帯 | 無料 |
| 生活保護世帯 | 無料 |
※具体的な費用は利用する施設や時間によって異なりますので、契約時に必ずご確認ください。
利用日数と時間の換算方法
利用できる日数は、1ヶ月に3日までです。この日数は、介護給付費で定められている宿泊を伴う「短期入所(ショートステイ)」とは別に利用することができます。
日数のカウントは、利用時間に応じて以下のように換算されます。
| 利用時間 | 換算される日数 |
|---|---|
| 4時間まで | 0.25日 |
| 4時間以上8時間まで | 0.5日 |
| 8時間以上 | 0.75日 |
申請から利用までの流れ
サービスの利用方法は、一般的な補助金申請とは少し異なります。施設との直接契約が基本となります。
- 施設への問い合わせ・相談:まずは利用したい施設に直接連絡し、サービス内容や空き状況などを確認します。
- 施設との契約:利用したい施設が決まったら、その施設と直接利用契約を結びます。契約方法の詳細は各施設にお問い合わせください。
- 区への申請:施設との契約後、お住まいの地域や年齢に応じた杉並区の窓口で利用申請を行います。
- 利用開始:申請が受理されると、サービスの利用を開始できます。
申請窓口
申請窓口は対象者の年齢によって異なります。
- 学齢期以降の方:障害者施策課 障害福祉サービス係
- 未就学児の方:障害者施策課 児童発達相談係、または障害者施策課 こども発達センター(※こども発達センターは通所中または過去に通所していた方のみ)
利用できる施設一覧
杉並区の事業ですが、区外の施設も利用可能です。各施設で特色や受け入れ体制が異なりますので、直接お問い合わせください。
東京家庭学校 光ホーム
住所:杉並区高井戸東2-2-4
電話:03-3333-8628
クローバー / マルコ(社会福祉法人 いたるセンター)
住所:杉並区天沼1-15-18
電話:03-3398-2241
発達支援つむぎ荻窪ルーム / 阿佐ヶ谷ルーム(社会福祉法人 どろんこ会)
荻窪:杉並区荻窪5-27-6 中島第一ビル6階 / 電話:03-6383-6060
阿佐ヶ谷:杉並区成田東4-36-15 協同組合杉並工場協会ビル3階 / 電話:03-6383-1304
重症心身障害児療育相談センターあけぼの学園
住所:世田谷区三宿2-30-9
電話:03-3413-6781
大沢にじの里(社会福祉法人 にじの会)
住所:三鷹市大沢1-6-3
電話:0422-39-2411
よくある質問(FAQ)
Q1. 宿泊はできますか?
A1. いいえ、この制度は「日帰り」の利用に限られます。宿泊を伴うサービスが必要な場合は、別途「短期入所(ショートステイ)」の利用をご検討ください。日帰りショートステイと短期入所は併用が可能です。
Q2. 介護保険のショートステイとの違いは何ですか?
A2. 介護保険のショートステイは主に65歳以上の高齢者が対象ですが、この事業は65歳未満の障害者(児)が対象です。また、根拠となる法律が異なり(介護保険法と障害者総合支援法)、利用できる日数やサービス内容も異なります。
Q3. 申請に必要なものは何ですか?
A3. 申請には、身体障害者手帳、愛の手帳、精神障害者保健福祉手帳など、対象者であることを証明する書類が必要です。また、世帯の課税状況を確認するための書類(課税証明書など)が必要になる場合があります。詳しくは申請窓口でご確認ください。
Q4. 緊急時でもすぐに利用できますか?
A4. 利用には施設との事前契約が必要です。そのため、全くの未登録状態から緊急で即日利用するのは難しい場合があります。いざという時に備え、事前に施設を見学し、契約だけでも済ませておくことをお勧めします。
Q5. 理由が「休息」や「買い物」でも利用できますか?
A5. はい、利用できます。この制度は介護者の休息(レスパイトケア)を大きな目的としていますので、リフレッシュや私的な用事でも気兼ねなくご利用いただけます。
まとめ:一人で抱え込まず、地域の支援を活用しよう
杉並区の日帰りショートステイは、在宅で障害のあるご家族を介護する方々にとって、非常に心強いセーフティネットです。介護は長期戦であり、介護者自身の心と体の健康を保つことが、結果的に質の高い介護につながります。
重要ポイントの再確認
- 目的:介護者の病気・冠婚葬祭・休息(レスパイト)など、幅広い理由で利用可能。
- 対象:杉並区在住の0歳~65歳未満の障害者(児)。
- 費用:利用者負担は原則3%。非課税・生活保護世帯は無料。
- 日数:月3日まで(宿泊の短期入所とは別枠)。
- 手続き:まずは利用したい施設へ直接連絡・契約から。
「少し疲れたな」「自分の病院に行きたいな」と感じたとき、この制度があることを思い出してください。まずは利用できる施設に問い合わせてみたり、区の窓口に相談してみることから始めてみましょう。地域の支援を上手に活用し、ご家族とご自身の豊かな生活を守っていきましょう。
お問い合わせ先
保健福祉部 障害者施策課
障害福祉サービス係(学齢期以降)
〒166-8570 東京都杉並区阿佐谷南1丁目15番1号
電話番号:03-3312-2111
児童発達相談係(未就学児)
〒167-0032 東京都杉並区天沼3丁目19番16号 ウェルファーム杉並複合施設棟4階
電話番号:03-5335-7634