【東京都】生産性向上・職場環境整備等支援事業のご案内

東京都では、人材確保が課題となっている医療機関を対象に、業務の生産性向上と職員の処遇改善を支援する補助金制度を実施します。ICT機器の導入やタスクシフト、さらなる賃上げにかかる費用が最大で「許可病床数×4万円」(無床診療所等は一律18万円)、補助率10/10で支給されます。本記事では、この魅力的な補助金の概要から複雑な申請手続きまで、専門家が分かりやすく徹底解説します。

補助金の概要(早わかり一覧表)

項目内容
事業名東京都生産性向上・職場環境等整備支援事業補助金
目的限られた人員で効率的に業務を行う環境を整備し、生産性向上と職員の処遇改善につなげる。
対象者令和7年3月31日時点でベースアップ評価料を届け出ている都内の病院、診療所(医科・歯科)、訪問看護ステーション
支給額【病院・有床診療所】許可病床数 × 4万円
※4床以下の場合は一律18万円
【無床診療所・訪問看護ステーション】1施設 × 18万円
補助率10分の10(自己負担なし)
申請受付期間令和7年8月4日(月)~ 令和7年12月31日(水)
対象事業期間令和6年4月1日 ~ 令和8年3月31日

重要ポイント

  • 令和7年3月31日までのベースアップ評価料の届出が必須条件です。
  • 補助率は10/10のため、対象経費は全額補助されます。
  • 審査は月毎に実施されるため、早期の申請で支給時期も早まります。
  • 令和6年4月1日以降に実施した事業も遡って対象になります。

対象となる取り組み(対象経費)

本補助金は、以下の3つの取り組み(複数選択可)にかかる経費が対象となります。

1. ICT機器等の導入による業務効率化

業務の効率化に繋がるICT機器やソフトウェアの導入費用が対象です。

  • タブレット端末、インカム、WEB会議設備
  • 離床センサー、監視カメラ、床ふきロボット
  • 業務効率化に資するソフトウェア(AI問診、勤怠管理システム等)
  • 上記を利用するためのWi-Fi環境整備費用 など

2. タスクシフト/シェアによる業務効率化

医師や看護師等の負担を軽減するための、新たな職員配置にかかる人件費が対象です。

  • 医師事務作業補助者、看護補助者等の新規雇用
  • 歯科医師事務作業補助者、歯科衛生士、助手等の新規配置
  • 人材派遣や業務委託の経費 など

3. 給付金を活用した更なる賃上げ

既に雇用している職員の処遇改善を目的とした賃金改善費用が対象です。

  • ベースアップ評価料による賃上げとは別枠でのベースアップ、手当、一時金の支給
  • 賃上げに伴い増加する法定福利費の事業主負担分 など

申請の流れとスケジュール

申請方法は「jGrants(電子申請)」と「郵送申請」の2種類があります。また、支払いタイミングによって「確定払い」と「概算払い」に分かれます。都は手続きが簡便な「確定払い」を推奨しています。

【推奨】確定払い(事業費の支払いが完了してから申請)

手続きが最もシンプルで、精算や返金のリスクがありません。

  1. 申請: jGrantsまたは郵送で「交付申請書」と「実績報告書」を同時に提出します。
  2. 交付決定: 申請月の翌月に交付が決定されます。
  3. 入金: 交付決定の翌月(申請月の翌々月)に額が確定し、補助金が振り込まれます。

(例)8月申請 → 9月交付決定 → 10月入金

確定払い(申請後に事業費を支払い)

申請時点では支払いが未了の場合の方式です。

  1. 申請: jGrantsまたは郵送で「交付申請書」を提出します。
  2. 交付決定: 申請月の翌月に交付が決定されます。
  3. 事業実施・支払: 事業を行い、経費の支払いを完了させます。
  4. 実績報告: 支払完了後、「実績報告書」を提出します。
  5. 入金: 実績報告の翌月に額が確定し、補助金が振り込まれます。

(例)8月申請 → 9月交付決定 → 11月支払・実績報告 → 12月入金

概算払い(事業費の支払い前に申請・受給)

先に補助金を受け取れますが、後の精算手続きが必須です。

  1. 申請: jGrantsまたは郵送で「交付申請書」を提出します。
  2. 交付決定: 申請月の翌月に交付が決定されます。
  3. 入金: 交付決定の翌月(申請月の翌々月)に補助金が振り込まれます。
  4. 事業実施・支払: 事業を行い、経費の支払いを完了させます。
  5. 実績報告・精算: 支払完了後、「実績報告書」と「精算書」を提出します。実績額が申請額を下回った場合は差額を返還する必要があります。

(例)8月申請 → 9月交付決定 → 10月入金 → 12月支払・実績報告 → 1月額確定・精算

申請方法の詳細

  • A. jGrantsで申請する方法
    国の電子申請システム「jGrants」を利用します。事前にGビズIDプライムアカウントの取得が必要です。公式サイトの申請ページから手続きを進めてください。
  • B. 郵送で申請する方法

    1. 公式サイトの「WEB事前受付フォーム」に情報を入力・送信します。
    2. 入力内容が反映された申請様式がメールで送られてきます。
    3. 様式を印刷・押印し、必要書類を添えて事務局へ郵送します。

    【書類提出先】
    〒137-8691 新東京郵便局私書箱106号
    東京都生産性向上・職場環境等整備支援事業補助金事務局 宛

よくある質問(Q&A)

全体について

Q. 令和6年4月1日より前に実施した取組は対象になりますか?
A. 対象になりません。令和6年4月1日以降に実施した取組が対象です。ただし、国の交付決定前に実施したものでも、この期間内であれば対象となります。
Q. 領収書などの証拠書類は提出が必要ですか?
A. 原則として、申請時や実績報告時の添付は不要です。ただし、補助金の額が確定した年度の終了後5年間は、いつでも提出できるよう施設側で保管する義務があります。

ICT機器等の導入について

Q. Wi-Fiの整備費用は対象になりますか?
A. はい、業務効率化に資するICT機器を利用するためのインフラ整備(Wi-Fiなど)も対象になります。ただし、患者向けのWi-Fi設置は対象外です。
Q. 機器の導入費用が支給額に満たない場合はどうすればよいですか?
A. 実際の費用が支給額を下回る場合は、その差額を返還する必要があります。しかし、「更なる賃上げ」として職員へ一時金を支給するなど、他の対象経費と組み合わせて支給額以上の取組とすることが可能です。

賃上げについて

Q. 「更なる賃上げ」として一時金を支払うことも対象ですか?
A. はい、一時金の支払いも対象です。ただし、ベースアップ評価料による賃上げ分をこの補助金で補填することはできません。あくまで、ベースアップ評価料とは別に、更なる賃上げを行う取組が対象です。
Q. 賃上げの対象となる職種に制限はありますか?
A. 医師・歯科医師を除く医療従事者(看護師、薬剤師、技師、事務職員など)が対象です。ただし、40歳未満の若手医師・若手歯科医師は対象に含めることができます。

お問い合わせ先

東京都生産性向上・職場環境等整備支援事業補助金 コールセンター

電話番号: 0570-018-085

受付時間: 平日 9:00 ~ 17:00

メール: tokyo_productivity@jtb.com

※コールセンター、申請受付及び審査業務は株式会社JTBに委託されています。