東京都内で食品小売店を経営されている皆様、日々発生する食品ロスにお悩みではありませんか?売れ残りや賞味期限切れによる廃棄は、環境への負荷だけでなく、経営上の大きな損失にも繋がります。そんな課題を解決するため、東京都が強力な支援策を開始しました。それが「小売ロス削減総合対策」です。この制度を活用すれば、需要予測システムの導入や急速冷凍機の設置など、食品ロス削減に向けた取り組みに対して最大1,500万円という手厚い補助が受けられます。この記事では、食品ロスという経営課題をチャンスに変える「小売ロス削減総合対策」について、対象者や対象経費、申請方法から採択のポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。ぜひ最後までお読みいただき、貴社の持続可能な成長にお役立てください。

小売ロス削減総合対策とは?

「小売ロス削減総合対策」は、東京都が「ゼロエミッション東京」の実現とサーキュラーエコノミー(循環型経済)への移行を推進するために実施する補助金制度です。都内の中小小売事業者が行う食品ロス削減の取り組みを経済的に支援し、環境負荷の低減と事業の持続可能性向上を両立させることを目的としています。

制度の概要

  • 正式名称: 小売ロス削減総合対策
  • 実施組織: 東京都、公益財団法人東京都環境公社
  • 目的・背景: 食品小売業における食品ロスを削減するため、需要予測システムの導入や急速冷凍機の設置、フードバンクへの寄贈支援など、多岐にわたる対策費用を補助し、サーキュラーエコノミーの実現を目指す。
  • 対象者: 都内で店舗を運営する食品小売事業者(中小企業、中小企業団体、個人事業主)

補助金額・補助率

本補助金は、取り組み内容に応じて8つのメニューが用意されており、それぞれ補助上限額が異なります。事業者全体の合計交付額の上限は1,500万円と非常に高額です。補助率は原則1/2ですが、フードバンクへの輸送費支援は全額(10/10)補助となります。

【重要ポイント】
複数のメニューを組み合わせて申請することも可能です。例えば、「急速冷凍機の導入(上限300万円)」と「需要予測システムの導入(上限250万円)」を同時に申請し、合計550万円の補助を受けるといった活用ができます。

No. 補助対象事業(メニュー) 1店舗あたり補助上限額 補助率
1 食品ロス発生抑制システム導入支援(需要予測、ダイナミックプライシング等) 250万円 1/2
2 量り売り用機器の導入支援 150万円 1/2
3 急速冷凍機の導入支援 300万円 1/2
4 ロングライフ製品の販売促進支援 50万円 1/2
5 フードバンクへの寄贈に係る輸送費支援 14.4万円 10/10
6 コンポスト設備の導入支援 100万円 1/2
7 食品廃棄物のリサイクル支援 100万円 1/2
8 小売ロス削減を目的とした事業者提案に対する支援 250万円 1/2

対象者・条件

本補助金の対象となるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。申請前に必ずご確認ください。

申請者の主な要件

  • 都内で店舗を運営する食品小売事業者であること。
  • 以下のいずれかに該当すること。
    • 中小企業: 資本金5千万円以下 または 常時使用する従業員50人以下
    • 中小企業団体
    • 個人事業主
  • 補助対象経費について、国や他の団体から補助金等を受けていないこと。
  • 暴力団関係者でなく、税金の滞納がないこと。
  • 「賞味期限前食品の廃棄ゼロ行動宣言」に賛同し、都のホームページ等での情報発信に協力できること。

補助対象事業の主な要件

  • 都内における食品ロスの削減または食品リサイクルの取組であること。
  • 導入する機器等は、原則として未使用品であること。(メニューによる)
  • フードバンクへの寄贈支援(メニュー5)を利用する場合、事前にフードバンクと協定を締結する必要があること。
  • 事業者提案(メニュー8)を行う場合、原則としてヘルプデスクへの事前相談が必要であること。

補助対象経費

補助対象となる経費は、メニューごとに細かく定められています。ここでは代表的なものを紹介します。詳細は必ず公募要項(申請の手引き)をご確認ください。

メニュー別の対象経費例

  • メニュー1(システム導入): システム・アプリの購入費、初期費用、月額利用料など
  • メニュー2, 3, 6(機器導入): 機器本体の購入費、運搬費、据付費、調整費、消耗品費、維持管理費など
  • メニュー4(販売促進): 広告料、チラシ・パンフレット等の印刷製本費、Webサイト制作の外注費など
  • メニュー5(輸送費支援): フードバンクへの寄贈に係る輸送費(原則として宅配便)
  • メニュー7(リサイクル支援): 焼却費用に対する食品リサイクル費用の差額分

補助対象外となる経費

以下の経費は補助の対象となりませんのでご注意ください。

  • 人件費(補助人件費を除く)
  • 消費税及び地方消費税
  • 領収書等で支払いが確認できない経費
  • 補助事業期間外に発生した経費
  • 公的資金の用途として社会通念上、不適切と認められる経費

申請方法・手順

申請は先着順で受け付けられ、予算がなくなり次第終了となります。早めの準備と申請が重要です。

申請受付期間: 令和6年5月30日(木)~ 令和7年12月31日(水)まで
※予算の上限に達した場合、期間内でも受付を終了することがあります。

申請ステップ

  1. 事前準備: 公式サイトから「公募要項(申請の手引き)」を熟読し、自社の取り組みが対象になるか確認します。メニュー8(事業者提案)の場合は、ヘルプデスクへの事前相談が原則必要です。
  2. 必要書類の作成: 公式サイトから申請様式をダウンロードし、必要事項を記入します。見積書など、添付書類も準備します。
  3. 申請: 準備した書類一式を、以下のいずれかの方法で提出します。
    • 電子メール申請: info-kourisogo@tokyokankyo.jp
    • 持込み・郵送申請: 〒130-0022 東京都墨田区江東橋4-26-5 東京トラフィック錦糸町ビル5階 公益財団法人東京都環境公社 環境共生部 東京サーキュラーエコノミー推進センター 行動変容支援チーム 小売ロス削減総合対策担当宛(※郵送は簡易書留など記録が残る方法で)
  4. 審査・交付決定: 東京都環境公社による書類審査が行われ、交付が決定されると「交付決定通知書」が届きます。事業の開始(契約・発注)は必ず交付決定後に行ってください。
  5. 事業実施: 計画に沿って事業を実施します。
  6. 実績報告・補助金請求: 事業完了後、実績報告書と請求書を提出します。
  7. 補助金の交付: 実績報告書の内容が確定した後、補助金が振り込まれます。

採択のポイント

この補助金は先着順であるため、迅速かつ正確な申請が採択の鍵となります。以下のポイントを押さえて準備を進めましょう。

1. とにかく早く申請する(先着順)

最も重要なポイントです。公募期間は長いですが、予算には限りがあります。補助金の活用を決めたら、すぐに書類準備に取り掛かり、一日でも早く申請することを目指しましょう。

2. 申請書類の不備をなくす

書類に不備があると、修正に時間がかかり、その間に予算が上限に達してしまう可能性があります。公募要項や記入例をよく読み、提出前に複数人でダブルチェックすることをお勧めします。不明点があれば、ヘルプデスクに問い合わせて解消しておきましょう。

3. 採択事例を参考にする

公式サイトでは、既に交付が決定した事業者の事例が公開されています。特にメニュー3「急速冷凍機の導入支援」の採択事例が非常に多く、飲食店や水産加工品店などが活用し、冷凍食品販売による販路拡大やロス削減に成功しています。

  • 株式会社塚田水産: 急速冷凍機を導入し、魚肉練り製品等の冷凍食品販売に活用。
  • 株式会社アークビルサービス: もつ鍋セット等を急速冷凍し、味の劣化を防ぎながらロスを削減。
  • 有限会社Smile Maker: コインロッカー型無人販売機を導入し、パンの廃棄を削減(メニュー8の事業者提案)。

これらの事例から、どのような取り組みが評価されるのか、自社の計画にどう活かせるかのヒントを得ることができます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 個人事業主の小さな飲食店でも申請できますか?

A1. はい、対象です。都内で店舗を運営する個人事業主の食品小売事業者であれば申請可能です。実際に多くの飲食店が採択されています。

Q2. 複数の店舗で申請したいのですが、上限額はどうなりますか?

A2. 補助上限額は「1店舗あたり」で設定されていますが、事業者全体での合計交付額の上限は1,500万円となります。複数の店舗で申請する場合でも、合計額が1,500万円を超えることはできません。

Q3. 中古の急速冷凍機は対象になりますか?

A3. いいえ、原則として対象外です。メニュー2, 3, 6で導入する機器は「未使用品」であることが要件となっています。

Q4. 「賞味期限前食品の廃棄ゼロ行動宣言」とは何ですか?

A4. これは、東京都食品ロス削減パートナーシップ会議で採択された宣言で、納品期限の緩和など商慣習の見直しに取り組むものです。本補助金の申請には、この宣言への賛同が必須条件となります。詳細は東京都のウェブサイトで確認できます。

Q5. フードバンクへの寄贈は、どの団体でも対象になりますか?

A5. 東京都が公開している「フードバンク一覧」に掲載されている団体などが対象となります。また、申請前に寄贈先のフードバンクと協定を締結し、申請時にその協定書の写しを提出する必要があります。

まとめ・行動喚起

東京都の「小売ロス削減総合対策」は、食品ロスという社会課題の解決に貢献しながら、最大1,500万円という手厚い支援を受けて自社の経営改善や新たな事業展開を図れる、またとないチャンスです。急速冷凍機で新たな商品を開発したり、需要予測システムで廃棄コストを大幅に削減したりと、活用の可能性は無限大です。

この補助金は先着順です。関心を持たれた方は、今すぐ下記の公式サイトで詳細を確認し、申請準備を始めることを強くお勧めします。不明な点があれば、遠慮なくヘルプデスクに相談してみましょう。

お問い合わせ先・公式サイト

公益財団法人東京都環境公社 環境共生部
東京サーキュラーエコノミー推進センター 行動変容支援チーム
小売ロス削減総合対策ヘルプデスク