詳細情報
建物の省エネ化・脱炭素化を進めたい事業者様へ朗報です。2024年度(令和6年度)の「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」の公募が開始されました。新築・既存を問わず、業務用建築物のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化を強力に支援する補助金で、最大5億円、補助率は最大2/3と非常に手厚い内容です。公募期間は2024年7月10日(水)17時までと迫っています。本記事で制度の全貌を分かりやすく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
令和6年度「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」とは?
本事業は、環境省が主導する二酸化炭素排出抑制対策事業の一環です。2050年のカーボンニュートラル実現に向け、特にCO2排出量に大きな影響を与える業務用建築物において、年間の一次エネルギー消費量が実質ゼロとなるZEB(ゼブ)の普及を加速させることを目的としています。
具体的には、ZEBの実現に不可欠な省エネ性能の高い設備(高効率空調、高性能断熱材など)や再生可能エネルギー設備の導入にかかる費用の一部を補助します。
補助金のポイント
- 高額な補助上限:最大で5億円
- 高い補助率:対象経費の最大3分の2を補助
- 幅広い対象:新築・既存の業務用建築物が対象
- 多様な申請者:民間企業、個人事業主、学校法人、医療法人、地方公共団体など
- 短い公募期間:申請締切は2024年7月10日(水) 17時必着
補助対象事業の詳細
本公募では、主に以下の2つの事業が対象となります。
- 新築建築物のZEB普及促進支援事業
これから建設する業務用建築物をZEB化するための設備導入を支援します。 - 既存建築物のZEB普及促進支援事業
すでに存在する業務用建築物を改修し、ZEB化するための設備導入を支援します。
対象となる申請者
以下の法人・団体などが申請可能です。
- 民間企業、個人事業主
- 独立行政法人、地方独立行政法人
- 国立大学法人、公立大学法人、学校法人
- 社会福祉法人、医療法人
- 一般社団法人・財団法人、公益社団法人・財団法人
- 地方公共団体(都道府県、政令市、中核市、施行時特例市を除く)
補助対象となる経費
ZEB化を実現するために必要な設備費、工事費、事務費などが幅広く対象となります。
【主な対象設備・工事の例】
- 断熱関連: 高性能断熱材、Low-E複層ガラス、高性能窓など
- 空調設備: 高効率なヒートポンプ、業務用エアコン、全熱交換器、VAVユニットなど
- 給湯設備: ヒートポンプ式給湯器、排熱回収型ボイラなど
- 再生可能エネルギー設備: 太陽光発電設備(自家消費が原則)など
- 蓄電システム: 創蓄連携システム
- エネルギー管理: BEMS(ビル・エネルギー・マネジメント・システム)、各種センサー、制御機器
- その他: 第三者認証(BELS)の取得費用など
※照明機器、既存設備の撤去費、設計費などは対象外となるためご注意ください。詳細は公募要領をご確認ください。
補助率と補助上限額【重要】
補助率は、建物の延べ面積、新築か既存か、そして達成するZEBランクによって細かく設定されています。非常に重要な部分ですので、以下の表でご確認ください。
| 延べ面積 | 新築建築物 | 既存建築物 | ||
|---|---|---|---|---|
| ZEBランク | 補助率 | ZEBランク | 補助率 | |
| 2,000㎡未満 | 『ZEB』 | 2/3 | 『ZEB』 | 1/2 |
| Nearly ZEB | 2/3 | Nearly ZEB | 1/3 | |
| ZEB Ready | 2/3 | 対象外 | 対象外 | |
| 上限額:各3億円(2,000㎡未満の既存建築物は民間事業者の場合) | ||||
| 2,000㎡以上 10,000㎡未満 |
『ZEB』 | 2/3 | 『ZEB』 | 1/2 |
| Nearly ZEB | 2/3 | Nearly ZEB | 1/3 | |
| ZEB Ready | 2/3 | ZEB Ready | 1/4 | |
| 上限額:新築5億円、既存3億円(地方公共団体のみ対象) | ||||
| 10,000㎡以上 | 『ZEB』 | 2/3 | 『ZEB』 | 1/2 |
| Nearly ZEB | 2/3 | Nearly ZEB | 1/3 | |
| ZEB Ready | 2/3 | ZEB Ready | 1/4 | |
| ZEB Oriented | 2/3 | ZEB Oriented | 1/4 | |
| 上限額:各5億円(地方公共団体のみ対象) | ||||
※民間事業者が申請できるのは、新築10,000㎡未満、既存2,000㎡未満の建築物に限られます。それ以上の規模は地方公共団体のみ対象です。
申請の重要要件と採択率アップのポイント
本補助金を申請するには、いくつかの重要な要件を満たす必要があります。また、採択の可能性を高めるための加点措置も設けられています。
必須の申請要件
- ZEBプランナーの関与:設計やコンサルティング等でZEBプランナーとして登録されている事業者が関与することが必須です。
- ZEBリーディング・オーナーへの登録:申請者(建築主)がZEBリーディング・オーナーへ登録することが必須です。
- BELS認証の取得:建築物の省エネ性能を評価する第三者認証「BELS」を取得する必要があります。
- BEMSの導入:エネルギー使用量を計測・管理・制御するためのBEMSを導入し、エネルギー管理体制を整備する必要があります。
- 事業開始時期:契約・発注は必ず交付決定後に行う必要があります。交付決定前の契約は補助対象外となります。
審査での加点・優遇措置
以下の項目に該当する場合、審査で有利になる可能性があります。
- 木材の利用:建築物木材利用促進協定に基づき木材を用いる事業や、CLT等の新たな木質材料を用いる事業は優先採択枠が設けられます。
- 災害レジリエンス:ハザードマップの浸水想定区域外であることや、停電時にも機能する再エネ・蓄電池を導入する事業は加点対象です。
- 再エネ100%:電力調達も含めて再生可能エネルギー100%での運用を目指す事業。
- 建材一体型太陽電池の導入。
- 「デコ活」への参画:脱炭素につながる国民運動「デコ活」応援団への参画や宣言を行っている場合。
申請手続きとスケジュール
公募期間:2024年6月3日(月) ~ 2024年7月10日(水) 17時必着
申請方法:
- 申請書類の電子データを指定のメールアドレスに送付します。
- 送付した電子データ一式を保存した電子媒体(CD-R等)を郵送します。
※メールと郵送の両方が必要です。締切日時が厳格ですので、余裕を持った申請を心がけてください。
交付決定:2024年8月上旬頃から順次
事業完了期限:原則として2025年1月31日(金)まで
まとめ
「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」は、建物の脱炭素化を目指す事業者にとって、初期投資の負担を大幅に軽減できる絶好の機会です。補助額・補助率ともに非常に魅力的ですが、その分、ZEBに関する専門的な知見や詳細な計画が求められます。
公募締切まで時間が限られています。申請を検討される事業者は、ZEBプランナーへの相談を含め、速やかに準備を開始することをお勧めします。この機会を最大限に活用し、環境性能と企業価値を両立する建築物を実現しましょう。