詳細情報
愛知県内で建設業を営む事業者の皆様へ朗報です。人手不足や働き方改革、生産性向上といった業界共通の課題解決に向け、DX(デジタルトランスフォーメーション)化を強力に後押しする「建設業DX推進支援事業費補助金」が2025年度も公募を開始しました。この補助金の最大の特徴は、国の「IT導入補助金」に採択された事業に対して、愛知県が独自に最大50万円を上乗せ支援する点です。つまり、国の支援と合わせて、より少ない自己負担でDXツールやシステムの導入が可能になります。この記事では、制度の概要から対象者の詳細な条件、申請方法、採択されるためのポイントまで、専門家が徹底的に解説します。この機会を最大限に活用し、貴社の事業を次のステージへと進めましょう。
この補助金のポイント
- 国のIT導入補助金(通常枠)に採択された事業が対象
- IT導入補助金の自己負担額の2分の1、最大50万円を上乗せ補助
- 愛知県発注の一般土木工事の受注実績がある事業者が対象
- 申請期間は2025年12月31日まで、予算上限に達し次第終了の可能性あり
- 申請はメールによる電子申請のみ
愛知県建設業DX推進支援事業費補助金とは?
本補助金は、愛知県が建設業界の深刻な担い手不足や高齢化といった課題に対応するため、働き方改革と生産性向上を目的として設立した制度です。少ない人数でも安全かつ快適に働ける、生産性の高い建設業の実現を目指し、DX化に取り組む県内事業者を資金面で支援します。
制度の基本情報
| 正式名称 | 2025年度 建設業DX推進支援事業費補助金 |
|---|---|
| 実施機関 | 愛知県 |
| 申請期間 | 2025年5月14日(水) ~ 2025年12月31日(水) |
| 公式サイト | 愛知県公式ページ |
補助金額と補助率を徹底解説
この補助金の計算方法は少し特徴的です。国のIT導入補助金を活用した上で、さらに自己負担分を軽減する仕組みになっています。計算方法を正しく理解し、最大限に活用しましょう。
補助金額は最大50万円
補助上限額は50万円です。
補助率と計算方法
補助金の額は、以下の計算式で算出されます。
(IT導入補助金の補助対象経費 ー IT導入補助金の交付額) × 1/2
※千円未満は切り捨て。上限50万円。
簡単に言うと、「IT導入補助金を利用した後の自己負担額」のさらに半分を愛知県が補助してくれる、という非常に手厚い内容です。
具体的な計算例
具体的なケースで見てみましょう。(※IT導入補助金の補助率を1/2と仮定)
【ケース1】補助対象経費(税抜)が180万円のシステムを導入する場合
- IT導入補助金の交付額:180万円 × 1/2 = 90万円
- IT導入補助金利用後の自己負担額:180万円 – 90万円 = 90万円
- 愛知県の補助金額:90万円 × 1/2 = 45万円
- 最終的な自己負担額:90万円 – 45万円 = 45万円
【ケース2】補助対象経費(税抜)が250万円のシステムを導入する場合
- IT導入補助金の交付額:250万円 × 1/2 = 125万円
- IT導入補助金利用後の自己負担額:250万円 – 125万円 = 125万円
- 愛知県の補助金額(計算上):125万円 × 1/2 = 62.5万円
- 愛知県の補助金額(上限適用):50万円
- 最終的な自己負担額:125万円 – 50万円 = 75万円
あなたは対象?補助対象者の4つの必須条件
本補助金を申請するには、以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。申請前に必ず自社が該当するか確認してください。
条件1:IT導入補助金(通常枠)の採択
申請する年度において、経済産業省中小企業庁の「サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金(通常枠)」に基づき、補助金確定通知書を受けていることが大前提となります。他の枠(インボイス枠、セキュリティ対策推進枠など)は対象外ですのでご注意ください。
条件2:愛知県発注の一般土木工事の受注実績
愛知県建設局および都市・交通局が発注した一般土木工事について、申請する前年度までの過去3年間のうちに受注実績があることが必要です。
条件3:入札参加者格付の総合点数
申請する年度において、一般土木工事の入札参加者格付基準の総合点数が1150点未満の事業者である必要があります。
条件4:暴力団排除条例の遵守
愛知県暴力団排除条例に規定する暴力団員または暴力団と密接な関係を有する者でないことが条件です。
何に使える?補助対象となる経費・ならない経費
補助金の対象となる経費は、基本的にIT導入補助金の対象経費に準じます。働き方改革や生産性向上を目的としたシステム導入に関連する費用が対象です。
補助対象となる経費の具体例
- 工事写真管理システム
- 出来形管理システム
- 工程管理システム
- 勤怠管理システム
- 発注管理システム
- システム導入に付随するクラウド使用料
- 導入設定料、保守サポート料
- 導入コンサルティング料 など
補助対象外となる経費の注意点
以下の経費は対象外となるため、注意が必要です。
- パソコン、タブレット端末、スマートフォンなど汎用性のあるハードウェア購入費
- 消費税及び地方消費税
- 補助金の交付決定前に契約・発注した経費
申請から受給までの5ステップ完全ガイド
申請手続きは、公募要領をよく確認し、不備のないように進めることが重要です。審査は申請書の受付順に行われるため、早めの準備と提出を心がけましょう。
ステップ1:IT導入補助金の交付決定を受ける
まず、国のIT導入補助金(通常枠)に申請し、「交付決定通知書」を入手します。これが本補助金申請のスタートラインです。
ステップ2:必要書類の準備
公式サイトから申請様式をダウンロードし、以下の書類を準備します。
- 建設業DX推進支援事業費補助金交付申請書(様式1、申立書、補助事業説明書)
- 愛知県発注の一般土木工事の受注実績が確認できる書類(過去3年以内)
- 一般土木工事の入札参加資格者格付基準の総合点数が1150点未満であることを確認できる書類
- 申請当該年度のIT導入補助金(通常枠)の交付決定通知書の写し
- 金額の算出根拠書類(見積書、カタログ等)
- その他知事が必要と認める書類
ステップ3:申請書類の作成と提出
準備した書類を電子データで作成し、指定のメールアドレスに送信します。
提出先メールアドレス: kensetsu-dxhojo@pref.aichi.lg.jp
メール件名: 「【建設業DX推進支援事業費補助金】申請書類の提出(御社名)」
注意点: 添付ファイルの合計容量は15MB以下にしてください。超える場合は複数回に分けて送信します。
ステップ4:交付決定と事業実施
申請書類の審査後、愛知県から「補助金交付決定通知書」が届きます。必ずこの通知書を受け取ってから、システムの契約・発注・支払い等を行ってください。交付決定前の経費は補助対象外となります。
ステップ5:実績報告と補助金の受給
事業が完了したら、完了日から30日以内、または2026年3月19日のいずれか早い日までに「補助事業実績報告書」を提出します。この際、IT導入補助金の「補助金確定通知書」の写しも必要です。報告書の内容が審査され、補助金額が確定した後、請求書を提出し、指定口座に補助金が振り込まれます(精算払い)。
採択率を上げるための3つの重要ポイント
ポイント1:IT導入補助金の申請内容との整合性
本補助金はIT導入補助金への上乗せ支援であるため、事業の目的や内容はIT導入補助金で申請したものと一致している必要があります。補助事業説明書には、IT導入補助金の計画を基に、DX化によって自社の生産性や働き方がどのように改善されるかを具体的に記述しましょう。
ポイント2:書類の不備をなくす【最重要】
公募要領には「提出された申請書類に不備がある場合、申請は受理されません」と明記されています。些細な記入漏れや添付書類の不足でチャンスを逃すことがないよう、提出前に複数人でダブルチェックを行うことを強く推奨します。特に、対象者要件を証明する書類(工事実績、格付点数など)は間違いのないように準備しましょう。
ポイント3:早めの申請を心がける
本補助金は「当該年度の予算の範囲内において実施し、補助金交付申請書の受付順に審査事務を行います」とされています。これは事実上の先着順を意味します。申請期間の終盤になると予算が上限に達している可能性があるため、IT導入補助金の交付決定を受けたら、速やかに申請準備に取り掛かりましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. IT導入補助金のどの枠が対象ですか?
A1. 公募要領に明記されている通り、「通常枠」のみが対象です。インボイス枠やセキュリティ対策推進枠などは対象外となります。
Q2. 申請前にシステムを導入してしまいました。対象になりますか?
A2. 対象になりません。必ず愛知県からの「補助金交付決定通知書」を受け取った後に、契約・発注・支払い等を行う必要があります。
Q3. パソコンやタブレットの購入費用は対象ですか?
A3. 対象外です。公募要領にて「汎用性があり、目的外使用となる機械装置(パソコン、タブレット端末等)の購入経費は対象外とする」と定められています。
Q4. 申請は郵送でも可能ですか?
A4. いいえ、指定されたメールアドレスへの電子申請のみ受け付けています。郵送や持参での申請はできません。
Q5. 過去にこの補助金を受けたことがありますが、再度申請できますか?
A5. いいえ、補助金の交付は1社につき1回限りと定められています。
まとめ:建設業の未来を拓くDX化へ、今こそ行動を
愛知県の「建設業DX推進支援事業費補助金」は、国のIT導入補助金と組み合わせることで、DX化への投資負担を大幅に軽減できる絶好の機会です。最後に重要なポイントを再確認しましょう。
- IT導入補助金(通常枠)とのセット活用が必須。
- 自己負担額の1/2、最大50万円が補助される。
- 愛知県の工事実績など、4つの対象者要件をクリアする必要がある。
- 申請は2025年12月31日までだが、予算がなくなり次第終了の可能性があるため、早めの行動が鍵。
人手不足が加速する中、デジタル技術の活用はもはや避けては通れない道です。この手厚い支援制度を活用し、生産性と競争力を高め、持続可能な事業基盤を構築しましょう。まずは公式サイトで公募要領を熟読し、自社が対象となるか確認することから始めてみてください。
お問い合わせ先
愛知県建設局土木部 建設企画課 土木技術グループ
〒460-8501 愛知県名古屋市中区三の丸三丁目1番2号(本庁舎6階北側)
Tel:052-954-6507
メール:kensetsu-dxhojo@pref.aichi.lg.jp