新潟県津南町が農業の担い手を強力サポート!「畦畔管理支援事業補助金」とは?
新潟県津南町では、農業者の高齢化や担い手不足という深刻な課題に対応するため、「畦畔(けいはん)管理支援事業補助金(つなん農地協働管理モデル)」を実施しています。この制度は、認定農業者が水田の畦畔の草刈り作業を地域住民や非農家の方に委託した場合、その作業労賃の一部を町が補助する画期的な取り組みです。担い手の負担を軽減し、地域全体で農業を支える新しいモデルとして注目されています。
制度のポイント
- 補助額:草刈り作業1時間あたり定額1,500円を補助
- 対象者:津南町内の認定農業者
- 対象作業:認定農業者以外の者(非農家含む)へ委託した水田の畦畔草刈り作業(年3回)
- 申請期限:2025年12月末日まで
- 目的:担い手の労働負担軽減、生産性向上、耕作放棄地の防止、地域協働の促進
なぜ今、この補助金が必要なのか?制度の背景
日本の農業は、従事者の高齢化や後継者不足という大きな課題に直面しています。特に津南町のような中山間地域では、その影響が顕著です。
- 担い手への農地集積と負担増:離農者が増えることで、意欲ある担い手に農地が集まります。しかし、規模が拡大するほど、畦畔の草刈りといった管理作業の負担は増大します。
- 中山間地域の特性:平地に比べて水田一枚あたりの面積が小さく、法面も広いため、畦畔の割合が高くなります。これにより、草刈り作業はさらに過酷なものとなります。
- 生産性への影響:草刈りに時間を取られると、追肥や病害虫管理といった収量に直結する作業が疎かになりがちです。結果として、規模拡大したにもかかわらず生産性が低下するケースも見られます。
- 景観悪化と病害虫の発生:管理が行き届かない畦畔は、景観を損なうだけでなく、カメムシなどの病害虫の温床となり、地域全体の農業に悪影響を及ぼす可能性があります。
このような背景から、津南町は「担い手だけでなく、地域全体で農地を守る」という発想のもと、この「つなん農地協働管理モデル」を創設しました。国の「多面的機能支払交付金」では対象外とされてきた個々の農家の畦畔管理を直接支援する、全国的にも珍しい取り組みです。
補助金の詳細をチェック!対象者・補助額・条件
この補助金を活用するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。以下で詳しく解説します。
補助対象となる方
補助の対象となるのは、以下のすべてを満たす認定農業者です。
- 自らが耕作する水田の畦畔草刈りの一部を、認定農業者以外の方(非農家も含む)に委託し、その内容を書面(契約書など)で確認できること。
- 委託する草刈り作業が、年3回実施される内容であること。
- 作業時間と実施状況を作業日誌などで記録し、報告できること。
補助対象経費と補助額
補助の対象となるのは、委託した草刈り作業にかかる労賃です。
- 補助対象経費:認定農業者以外の者が実施した畦畔の草刈り作業労賃
- 補助金額:作業1時間あたり定額1,500円
※補助金額の計算において、100円未満は切り捨てとなります。
申請手続きの完全ガイド
申請は年に一度、年度末にまとめて行います。計画的に準備を進めましょう。
申請期間
2025年12月末日まで
※申請は交付申請書兼実績報告書として提出するため、当該年度の作業が完了してから申請することになります。
申請に必要な書類一覧
申請には以下の書類が必要です。様式は津南町の公式ウェブサイトからダウンロードできます。
- 交付申請書兼実績報告書(様式第1号)
- 畦畔管理支援事業実施状況報告書(別紙)
- 委託内容が確認できる書類の写し(例:作業受委託契約書など)
申請の流れ
- 作業の委託契約:草刈り作業を委託する方と「作業受委託契約書」などを取り交わします。
- 作業の実施と記録:契約に基づき、年3回の草刈り作業を実施してもらいます。作業日、作業時間、内容などを「実施状況報告書」に正確に記録します。
- 申請書類の準備:上記の必要書類一式を準備します。
- 書類の提出:申請期間内に、津南町役場の農林振興課へ書類を提出します。
よくある質問(Q&A)
- Q. 草刈りをお願いする相手(受託者)に何か資格は必要ですか?
- A. 特別な資格は必要ありません。認定農業者以外の方であれば、地域の元気な高齢者や非農家の方など、どなたでも受託者になることができます。これが「地域協働モデル」の大きな特徴です。
- Q. 契約書は町の様式を使わなければいけませんか?
- A. 町のウェブサイトに参考様式がありますが、必須ではありません。委託者、受託者、作業内容、期間、報酬などが明確に記載されていれば、任意の様式でも問題ありません。
- Q. 自分の親族に作業を委託しても対象になりますか?
- A. 制度の趣旨は、担い手以外の多様な者の協力を得ることです。生計を同一にする親族への委託が対象となるかについては、事前に農林振興課へご確認ください。
まとめ:地域で支える新しい農業の形へ
津南町の「畦畔管理支援事業補助金」は、単なる金銭的な支援にとどまりません。農業の担い手が本来の生産活動に集中できる環境を整えるとともに、「9割の非担い手が1割の担い手を応援する」という地域ぐるみの協力体制を構築することを目的としています。
この取り組みが、美しい農村景観の維持、耕作放棄地の発生防止、そして何よりも津南町の農業の持続的な発展に繋がることが期待されます。対象となる認定農業者の方は、ぜひこの制度の活用をご検討ください。
お問い合わせ先
津南町 農林振興課 農林班
〒949-8292 新潟県中魚沼郡津南町大字下船渡戊585番地
Tel:025-765-3115
Fax:025-765-4625
公式ウェブサイトはこちら
対象者・対象事業
自らが耕作する水田の畦畔に係る草刈りの一部を認定農業者以外の者(非農家を含む)に委託する、津南町内の認定農業者
必要書類(詳細)
・交付申請書兼実績報告書(様式第1号)
・畦畔管理支援事業実施状況報告書(別紙)
・委託内容が確認できる書類(作業受委託契約書等)の写し
対象経費(詳細)
認定農業者が認定農業者以外の者(非農家を含む)に委託した、水田の畦畔の草刈り作業に係る労賃。