詳細情報
対象となる方
- 公共下水道や農業集落排水の整備区域外にお住まいの個人
- 単独処理浄化槽またはくみ取り槽から、合併処理浄化槽へ転換する方
- 住宅の新築に伴い、合併処理浄化槽を設置する方
- お住まいの市区町村が定める要件(市税の滞納がない等)を満たす方
申請手順
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| STEP 1 | お住まいの市区町村の担当窓口(下水道課等)へ事前相談 |
| STEP 2 | 補助金交付申請書と必要書類(見積書、計画図面等)を提出 |
| STEP 3 | 審査(約2~4週間)→ 交付決定通知書を受領 ※通知前の工事着手は厳禁 |
| STEP 4 | 浄化槽設置工事の実施 |
| STEP 5 | 工事完了後、実績報告書と関係書類(写真、領収書等)を提出 |
| STEP 6 | 自治体による完了検査 → 補助金額の確定 → 補助金振込 |
補助金額・補助率
浄化槽設置整備事業補助金は、浄化槽本体の設置費用に加え、単独処理浄化槽やくみ取り槽からの転換に伴う追加工事費用も補助対象となる場合が多く、手厚い支援が特徴です。補助額は自治体や浄化槽の規模(人槽)によって異なります。
| 補助項目 | 補助上限額(例) | 備考 |
|---|---|---|
| 合併処理浄化槽設置費 | 5人槽: 332,000円 7人槽: 414,000円 10人槽: 548,000円~907,000円 |
住宅の延床面積に応じて人槽が決定されます。 |
| 単独処理浄化槽撤去費 | 最大 120,000円 | 転換時に既設の単独槽を撤去する場合に上乗せ。 |
| くみ取り槽撤去費 | 最大 90,000円 | 転換時に既設のくみ取り槽を撤去する場合に上乗せ。 |
| 宅内配管工事費 | 最大 300,000円 | 転換に伴い、宅内の配管工事が必要な場合に上乗せ。 |
計算例: 既存住宅の単独処理浄化槽から10人槽の合併処理浄化槽へ転換する場合(岩手県平泉町の例)
浄化槽設置費(907,000円) + 単独槽撤去費(120,000円) + 宅内配管費(300,000円) = 最大 1,327,000円 の補助が受けられる可能性があります。
対象者・申請要件
対象となる方
- 申請先の市区町村に住民登録があり、実際に居住している(または居住予定の)方
- 主に居住を目的とした専用住宅(または延床面積の1/2以上が居住用の併用住宅)に浄化槽を設置する方
- 公共下水道、農業集落排水等の事業認可区域外にお住まいの方
- 市税、国民健康保険料、各種使用料等を滞納していない方
対象とならない主なケース
- 販売や賃貸など、営利目的の住宅に設置する場合
- 別荘など、常時居住しない住宅に設置する場合
- 法人名義での申請(自治体により異なる場合があります)
- 既存の合併処理浄化槽の更新や改築(災害復旧等を除く)
- 補助金の交付決定前に工事に着手した場合
補助対象経費
| 経費区分 | 詳細 | 対象可否 |
|---|---|---|
| 浄化槽本体費 | 合併処理浄化槽の購入にかかる費用 | ○ |
| 設置工事費 | 浄化槽の据付、ブロワ設置など本体設置に必要な工事費 | ○ |
| 撤去費(転換時) | 既存の単独処理浄化槽やくみ取り槽の撤去・処分費用 | ○ |
| 宅内配管工事費(転換時) | 便所、台所、風呂等からの排水管やます、放流管の設置費用 | ○ |
| 維持管理費 | 設置後の保守点検、清掃、法定検査の費用 | × |
| 外構工事費 | 駐車場整備や植栽など、浄化槽設置に直接関係しない工事 | × |
重要: 補助金の交付決定通知書を受け取る前に着手した工事(契約・発注を含む)は、すべて補助対象外となります。必ず通知書の日付以降に工事を開始してください。
必要書類一覧
必要書類は自治体によって異なります。申請前に必ず公式サイトで確認するか、担当窓口へお問い合わせください。以下は一般的な例です。
| 提出タイミング | 主な書類 |
|---|---|
| 申請時 |
|
| 完了報告時 |
|
審査基準・採択のポイント
本補助金は、事業計画の優劣を競う競争的資金とは異なり、要件を満たしていれば原則として交付されます。ただし、年度予算の上限があるため、先着順となることがほとんどです。そのため、以下のポイントを押さえることが重要です。
交付決定を受けるための重要ポイント
- 早めの行動: 新年度が始まったら速やかに自治体の情報を確認し、早めに申請手続きを進めることが最も重要です。予算がなくなり次第、受付は終了します。
- 事前相談の徹底: 申請前に必ず自治体の担当窓口に相談し、自宅が補助対象区域に含まれるか、計画している工事が補助対象となるかを確認してください。
- 交付決定前の着工厳禁: 繰り返しになりますが、交付決定通知書を受け取る前のいかなる契約・発注・工事も補助対象外となります。工事業者にもこの点を明確に伝えてください。
- 書類の正確な準備: 申請書類に不備があると、審査が遅れ、その間に予算が上限に達してしまうリスクがあります。記載例を参考に、漏れや誤りがないように準備しましょう。
よくある質問
Q1: 申請はいつから始まりますか?
A: 多くの自治体で、新年度が始まる4月上旬から受付を開始します。自治体の広報誌やウェブサイトで告知されますので、3月頃から情報を確認することをお勧めします。
Q2: 補助金はいつもらえますか?
A: 補助金は、工事完了後の実績報告と完了検査が終了し、補助金交付請求書を提出してから振り込まれます。通常、請求から1ヶ月から2ヶ月程度かかります。工事費用は一旦全額立て替える必要があります。
Q3: どの工事業者に頼んでもよいですか?
A: 自治体によっては、浄化槽設置工事の登録業者や指定業者による施工を補助の条件としている場合があります。申請前に自治体の担当窓口にご確認ください。
Q4: 設置後の維持管理(保守点検・清掃・法定検査)は義務ですか?
A: はい、浄化槽法により、管理者(設置者)には定期的な保守点検、清掃、法定検査の実施が義務付けられています。これらを怠ると浄化槽の機能が低下し、罰則の対象となる場合もあります。
制度の概要・背景
この補助金制度は、環境省の「循環型社会形成推進交付金」などを財源として、各市区町村が実施しています。日本の汚水処理人口普及率は全体で93.3%(令和5年度末)に達していますが、人口5万人未満の市町村では84.0%にとどまり、依然として約830万人が生活排水を適切に処理できていない状況です。
特に、し尿のみを処理する単独処理浄化槽や、処理機能のないくみ取り槽からの生活雑排水(台所、風呂、洗濯など)が、河川や湖沼の水質汚濁の大きな原因となっています。本補助金は、これらの旧式設備から、し尿と生活雑排水を併せて処理できる「合併処理浄化槽」への転換を促進し、地域の水環境を保全することを主な目的としています。また、災害時のインフラ強靭化の観点からも、浄化槽の整備が推進されています。
まとめ・お問い合わせ先
浄化槽設置整備事業補助金は、水環境の保全に貢献しながら、浄化槽設置にかかる経済的負担を大幅に軽減できる非常に有効な制度です。補助を受けるためには、自治体ごとのルールを遵守し、計画的に手続きを進めることが不可欠です。申請をご検討の方は、まずはお住まいの市区町村の担当窓口へ相談することから始めてください。
お問い合わせ先
申請窓口: お住まいの市区町村の浄化槽担当部署
(例:下水道課、環境課、都市整備課、建設水道課など)
国の担当機関: 環境省 環境再生・資源循環局 廃棄物適正処理推進課 浄化槽推進室
電話: 03-5501-3155(代表)
公式サイト: https://www.env.go.jp/recycle/jokaso/grant/