詳細情報
対象となる方
- 公共下水道の整備区域外にお住まいで、単独処理浄化槽またはくみ取り便槽を使用している方
- 既存の単独処理浄化槽等を撤去し、環境配慮型の合併処理浄化槽へ転換する個人住宅の所有者
- 市町村税等を滞納しておらず、工事着工前に補助金の交付申請を行う方(新築・建替は原則対象外)
申請手順
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| STEP 1 | お住まいの市区町村の担当窓口(環境課等)へ事前相談・対象確認 |
| STEP 2 | 【工事着工前】に補助金交付申請書と必要書類を提出 |
| STEP 3 | 審査(約2~4週間)を経て、交付決定通知書を受領 |
| STEP 4 | 浄化槽設置工事の実施 → 工事完了後に実績報告書を提出 → 補助金振込 |
補助金額・補助率
浄化槽設置費補助金は、国の「循環型社会形成推進交付金」等を財源として、各市区町村が実施しています。そのため、補助金額はお住まいの自治体によって異なります。補助額は主に「浄化槽本体の設置費」「既存槽の撤去費」「宅内配管工事費」の3つの区分の合計で構成されます。
以下に、令和7年度(2025年度)のいくつかの自治体の例を記載します。お住まいの地域の正確な金額は、必ず市区町村の担当窓口にご確認ください。
| 自治体例 | 5人槽の補助上限額(合計) | 備考 |
|---|---|---|
| 栃木県佐野市 | 最大 752,000円 | 設置費33.2万 + 単独槽撤去12万 + 配管30万 |
| 茨城県北茨城市 | 最大 714,000円 | 設置費29.4万 + 単独槽撤去12万 + 配管30万 |
| 徳島県徳島市 | 最大 978,000円 | 特定既存単独処理浄化槽からの転換の場合。設置費55.8万 + 撤去12万 + 配管30万。 |
特に、国の支援が強化されている「特定既存単独処理浄化槽(※)」からの転換については、補助額が手厚くなる傾向があります。
※特定既存単独処理浄化槽とは、破損や機能低下により、放置すれば衛生上・環境保全上の支障が生じるおそれのある浄化槽を指します。
対象者・申請要件
対象となる方
- 対象地域内において、自らが居住する住宅の単独処理浄化槽またはくみ取り便槽を、合併処理浄化槽に転換する個人。
- 申請先の市区町村に住民登録があり、市町村税等を滞納していないこと。
- 浄化槽法に基づく法定検査を受検し、適正な維持管理を行うことを誓約できること。
対象となる地域・建物
- 公共下水道の事業計画区域および漁業集落排水施設の処理区域などを除く地域。
- 専用住宅(延床面積の2分の1以上を居住の用に供する併用住宅を含む)。
- 建売住宅、貸家、別荘等は補助対象外となる場合があります。
対象とならない工事
- 住宅の新築や建替に伴う浄化槽の設置(一部自治体で例外あり)。
- 既に合併処理浄化槽が設置されている住宅での入れ替え工事。
- 補助金の交付決定前に着手した工事。
補助対象経費
| 経費区分 | 詳細 | 対象可否 |
|---|---|---|
| 浄化槽本体設置費 | 環境配慮型合併処理浄化槽の本体購入費および設置工事費(掘削、基礎工事等) | ○ |
| 既存槽撤去費 | 既存の単独処理浄化槽またはくみ取り便槽の撤去・処分に要する費用 | ○ |
| 宅内配管工事費 | トイレ、台所、風呂等からの排水を浄化槽に接続するための配管工事費 | ○ |
| 住宅リフォーム費 | トイレの便器交換や内装工事など、浄化槽設置に直接関係しない費用 | × |
| 外構工事費 | 浄化槽設置後の駐車場整備や植栽などの費用 | × |
重要: 補助金の交付決定通知書を受け取る前に契約・着工した工事は、すべて補助対象外となります。必ず通知書の日付以降に工事を開始してください。
必要書類一覧
提出書類は自治体によって異なります。申請前に必ずお住まいの市区町村の公式ウェブサイトや手引きをご確認ください。以下は一般的な提出書類の例です。
| No. | 書類名 | 備考 |
|---|---|---|
| 1 | 補助金交付申請書 | 市区町村の指定様式 |
| 2 | 設置場所の案内図・配置配管図 | 工事施工業者が作成 |
| 3 | 工事費見積書の写し | 経費の内訳が明記されたもの |
| 4 | 浄化槽設置届出書の写し | 保健所等への届出書類 |
| 5 | 住民票・市町村税の納税証明書 | 発行日から3ヶ月以内など有効期限あり |
| 6 | 誓約書・承諾書 | 建物の所有者が異なる場合など |
審査基準・採択のポイント
本補助金は、事業計画の優劣を競う競争的資金とは異なり、定められた要件を満たしていれば原則として交付されます。したがって、審査のポイントは「要件を正確に満たしているか」「手続きを正しく踏んでいるか」に集約されます。
交付を受けるための重要ポイント
- 事前相談の徹底: 申請前に必ず市区町村の担当窓口に相談し、自宅が補助対象地域か、計画している工事が対象になるかを確認する。
- 工事着工前の申請: 何度も強調しますが、交付決定前の工事着手は絶対に行わない。これが最も多い不交付理由です。
- 予算と申請時期の確認: 補助金には年度ごとの予算枠があり、先着順で受付を終了する自治体が多いです。年度の早い時期に申請を検討することが望ましいです。
- 信頼できる施工業者の選定: 補助金申請手続きに慣れている業者を選ぶとスムーズです。複数の業者から見積もりを取り、工事内容と費用を比較検討することをお勧めします。
よくある質問
Q1: 住宅の新築や建て替えは補助金の対象になりますか?
A: 多くの自治体では、新築や建て替えに伴う浄化槽設置は補助対象外です。これは、補助金が既存の不適切な汚水処理施設(単独処理浄化槽等)からの転換を促進することを目的としているためです。ただし、徳島市の「改築時転換」のように、特定の条件下で対象となる制度を設けている場合もありますので、自治体にご確認ください。
Q2: 補助金はいつ受け取れますか?
A: 補助金は、工事完了後に実績報告書を提出し、自治体による完了検査を受けた後、指定の口座に振り込まれます。工事費用の支払いは一旦ご自身で全額立て替える必要がありますので、資金計画にご注意ください。
Q3: 浄化槽を設置した後の維持管理は大変ですか?
A: 浄化槽法により、所有者(管理者)には定期的な「保守点検」「清掃」「法定検査」の3つが義務付けられています。これらは専門業者に委託するのが一般的です。費用はかかりますが、浄化槽の機能を正常に保ち、河川等の水質を守るために不可欠です。法定検査の未受検が判明した場合、補助金の返還を求められることもあります。
Q4: 申請は自分で行う必要がありますか?
A: 申請者ご自身で行うのが原則ですが、多くの場合、工事を請け負う施工業者が手続きを代行またはサポートしてくれます。申請手続きに詳しい業者を選ぶことが円滑な補助金活用の鍵となります。
制度の概要・背景
浄化槽設置費補助金制度は、生活排水による公共用水域(河川、湖、海など)の水質汚濁を防止し、生活環境の保全を図ることを目的としています。特に、し尿のみを処理する「単独処理浄化槽」や「くみ取り便槽」では、台所や風呂などから出る生活雑排水が未処理のまま放流されてしまい、水質悪化の大きな原因となっています。
この問題を解決するため、国(環境省)は「循環型社会形成推進交付金」等の財源を用意し、各市区町村が実施主体となって、し尿と生活雑排水を併せて処理できる「合併処理浄化槽」への転換を促進しています。令和5年度末時点で、日本の汚水処理人口普及率は93.3%に達していますが、未だ約830万人が未処理の生活排水を排出している状況にあり、本補助金制度は汚水処理施設の整備を加速させる上で重要な役割を担っています。
まとめ・お問い合わせ先
浄化槽設置費補助金は、快適な水洗トイレの実現と、地域の水環境保全に貢献できる非常に有意義な制度です。補助額も大きく、対象となる方は積極的に活用を検討する価値があります。申請には工事着工前の手続きが必須であり、年度予算には限りがあるため、関心のある方は早めに情報収集と準備を開始することをお勧めします。
お問い合わせ先
本補助金の申請・相談窓口は、お住まいの市区町村となります。
担当部署: 環境課、生活環境課、下水道課など(自治体により名称が異なります)
確認方法: 市区町村の公式ウェブサイトで「浄化槽 補助金」と検索するか、代表電話にお問い合わせください。
国の制度情報: 環境省 浄化槽サイト(補助制度)