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「業務を効率化したいけど、ITツールの導入コストが…」「インボイス制度や電子帳簿保存法に対応したいが、何から手をつければいいかわからない」そんなお悩みをお持ちの中小企業・小規模事業者の皆様へ。IT導入補助金は、あなたの会社のDX(デジタルトランスフォーメーション)を力強く後押しする、国の中核的な支援制度です。この補助金を活用すれば、会計ソフトや受発注システム、ECサイト制作などのITツール導入費用の最大4/5、金額にして最大450万円の補助を受けることが可能です。この記事では、IT導入補助金2025の概要から、複雑な申請枠、対象経費、そして採択率を上げるための具体的なポイントまで、専門家がどこよりも分かりやすく徹底解説します。最後まで読めば、自社が補助金の対象になるか、どのように申請すれば良いかが明確になります。
この記事のポイント
- IT導入補助金2025の目的と各申請枠(通常枠、インボイス枠等)がわかる
- 補助対象となるITツールや経費の具体例がわかる
- 申請から補助金受け取りまでの具体的な7つのステップがわかる
- 採択されるための事業計画書の書き方や加点項目のコツがわかる
- よくある疑問や注意点が解消できる
IT導入補助金2025とは?中小企業のDXを推進する国の支援制度
IT導入補助金は、正式名称を「サービス等生産性向上IT導入支援事業」といい、経済産業省・中小企業庁が監督し、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が事務局を運営しています。その目的は、中小企業・小規模事業者が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する際の経費の一部を補助することで、業務効率化や売上アップをサポートし、生産性の向上を図ることにあります。特に近年では、インボイス制度への対応やサイバーセキュリティ対策など、社会的な要請に応えるためのITツール導入も重点的に支援されています。
IT導入補助金の特徴
- 幅広いITツールが対象:会計・販売管理などの基幹システムから、ECサイト制作、RPAツールまで多岐にわたります。
- IT導入支援事業者との連携が必須:専門家である「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組んで申請するため、ITに詳しくなくても安心です。
- 複数の申請枠:企業の目的や導入したいツールに応じて、複数の申請枠(類型)が用意されており、最適な支援を受けられます。
- オンラインで完結:申請手続きは基本的にすべてオンラインで完結するため、場所を選ばず手続きを進められます。
【2025年版】申請枠ごとの補助額・補助率を徹底比較
IT導入補助金2025には、主に4つの申請枠があります。それぞれの枠で補助される金額や割合、対象となるITツールが異なります。自社の目的に最も合った枠を選ぶことが採択への第一歩です。
| 申請枠 | 主な目的 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 通常枠 | 労働生産性の向上に資するITツールの導入 | 5万円~450万円未満 | 1/2以内 |
| インボイス枠(インボイス対応類型) | インボイス制度対応の会計・受発注・決済ソフト導入 | 最大350万円 | 中小企業:最大3/4 小規模事業者:最大4/5 |
| インボイス枠(電子取引類型) | インボイス対応の受発注システムを商流単位で導入 | 最大350万円 | 最大2/3 |
| セキュリティ対策推進枠 | サイバー攻撃へのセキュリティ対策サービス導入 | 5万円~100万円 | 1/2以内 |
| 複数社連携IT導入枠 | 複数の中小企業が連携してITツールを導入 | 最大3,000万円 | 最大2/3 |
注目ポイント:特に「インボイス枠」は、小規模事業者であれば補助率が最大4/5と非常に高く、インボイス対応に必須の会計ソフトなどに加え、PCやタブレット、レジなどのハードウェア購入費用も補助対象となるため、非常に人気が高い枠です。
あなたは対象?補助対象者と主な要件
IT導入補助金は、日本国内で事業を営む中小企業・小規模事業者が対象です。資本金や従業員数によって定義が決まっています。
中小企業の定義(主な業種)
- 製造業、建設業、運輸業: 資本金3億円以下 または 従業員300人以下
- 卸売業: 資本金1億円以下 または 従業員100人以下
- サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く): 資本金5,000万円以下 または 従業員100人以下
- 小売業: 資本金5,000万円以下 または 従業員50人以下
このほか、医療法人、社会福祉法人、特定非営利活動法人なども対象となります。個人事業主の方ももちろん対象です。
申請の前提条件
申請にあたっては、以下の準備が必要です。
- gBizIDプライムアカウントの取得:補助金の電子申請に必須のアカウントです。取得に2〜3週間かかる場合があるため、早めに準備しましょう。
- SECURITY ACTIONの実施:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する、中小企業自らが情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度です。一つ星または二つ星の宣言が必要です。
- みらデジ経営チェックの実施:中小企業庁のポータルサイト「みらデジ」で、経営課題の可視化を行う必要があります。
何に使える?補助対象となるITツールと経費
補助の対象となるのは、事務局に登録されたIT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に登録されたITツールのみです。自由に好きなツールを選べるわけではない点に注意が必要です。
補助対象経費の具体例
- ソフトウェア購入費・クラウド利用料:会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、顧客管理(CRM)、営業支援(SFA)、ECサイト制作ソフトなどの購入費用や、最大2年分のクラウドサービス利用料。
- 導入関連費用:導入コンサルティング、導入設定、マニュアル作成、導入研修、保守サポート費用など。
- ハードウェア購入費用(インボイス枠のみ):PC、タブレット、プリンター、スキャナー、複合機、POSレジ、モバイルPOS、券売機など。
補助対象外となる経費
- ハードウェアの購入費用(インボイス枠以外)
- ホームページ制作(ただし、EC機能やオンライン決済機能などを持つものは対象となる場合がある)
- 広告宣伝費、SEO対策費用
- 補助金の申請代行費用、コンサルタントへの謝礼
- 汎用性が高く、目的外使用になりうるもの(例:Word、Excelなど)
- 交付決定前に契約・導入したITツール
申請から交付までの7ステップ|手続きの流れを完全ガイド
IT導入補助金の申請は、事業者単独ではできず、必ず「IT導入支援事業者」と協力して進める必要があります。全体の流れを把握しておきましょう。
- IT導入支援事業者・ITツールの選定:公式サイトで自社の課題に合ったITツールと、それを提供する支援事業者を探します。
- gBizIDプライムの取得:未取得の場合は、公式サイトから申請します。
- 交付申請:IT導入支援事業者と共同で事業計画を作成し、支援事業者が申請マイページへ招待します。招待を受け、事業者自身が必要情報を入力し、申請を完了させます。
- 交付決定:事務局による審査が行われ、採択されると「交付決定通知」が届きます。
- ITツールの契約・導入・支払い:交付決定後に、ITツールの契約、導入、支払いを行います。交付決定前の契約・支払いは補助対象外なので絶対にやめましょう。
- 事業実績報告:導入したITツールの証拠(請求書、支払証明など)を揃え、申請マイページから実績報告を行います。
- 補助金交付:実績報告が承認されると、補助金額が確定し、指定の口座に補助金が振り込まれます。
採択率を上げる!申請書作成の3つのポイント
IT導入補助金の採択率は公募回によって変動しますが、一般的に50%〜70%程度と言われています。決して難易度は低くありません。採択を勝ち取るためには、事業計画の質が重要になります。
ポイント1:自社の経営課題を明確にする
「流行っているから」「便利そうだから」という理由ではなく、「長時間労働が課題で、勤怠管理システムで解決したい」「手作業での請求書発行に時間がかかりすぎているため、会計ソフトで自動化したい」など、自社の具体的な課題と、それを解決するためにこのITツールが必要なのだというストーリーを明確にしましょう。
ポイント2:導入効果を数値で示す
ITツール導入によって、どのような効果が見込めるのかを具体的に、できれば数値で示します。これが「生産性向上」の根拠となります。
【例】
・請求書作成時間を月20時間 → 月5時間に削減
・労働生産性を現状から3%以上向上させる
ポイント3:加点項目を確実に押さえる
審査では、特定の要件を満たすと加点される項目があります。可能な限り多くの加点項目を満たすことで、採択の可能性が高まります。
【加点項目の例】
・賃上げ目標の計画・表明
・地域未来牽引企業の認定を受けている
・クラウドツールを導入する
・インボイス制度への対応
よくある質問(FAQ)
Q1. 個人事業主でも申請できますか?
A1. はい、もちろん申請可能です。小規模事業者の定義に該当すれば、インボイス枠などでより高い補助率の支援を受けられる可能性があります。
Q2. パソコンやタブレットの購入は対象になりますか?
A2. 「インボイス枠(インボイス対応類型)」で申請する場合に限り、補助対象となります。通常枠やセキュリティ対策推進枠では、原則としてハードウェアの購入費用は対象外です。
Q3. 申請から入金までどのくらいの期間がかかりますか?
A3. 申請から交付決定まで約1ヶ月〜1.5ヶ月、その後事業を実施し、実績報告から入金まではさらに1ヶ月〜2ヶ月程度かかるのが一般的です。全体で3ヶ月〜半年程度を見込んでおくと良いでしょう。
Q4. 不採択になった場合、再申請は可能ですか?
A4. はい、可能です。不採択の理由を分析し、事業計画を見直した上で、次回の公募に再チャレンジすることができます。IT導入支援事業者とよく相談しましょう。
Q5. 豊中市や堺市など、自治体の補助金との併用は可能ですか?
A5. 国の補助金と地方自治体の補助金は、補助対象となる経費が重複しない限り、併用できる場合があります。例えば、IT導入補助金でソフトウェアを導入し、自治体の補助金で研修費用を賄う、といった形です。ただし、ルールは各自治体によって異なるため、必ずそれぞれの窓口に確認が必要です。
まとめ:まずはIT導入支援事業者への相談から
IT導入補助金は、中小企業の生産性向上とDX推進に欠かせない強力なツールです。最後に、重要なポイントを再確認しましょう。
- IT導入補助金は、ITツール導入費用の最大4/5、上限450万円を補助する国の制度。
- 「通常枠」「インボイス枠」「セキュリティ対策推進枠」など複数の枠があり、目的に応じて選ぶ。
- 申請には「IT導入支援事業者」との連携が必須。
- 採択には、具体的な経営課題と数値目標を盛り込んだ事業計画が重要。
- 交付決定前に契約・支払いを行った経費は対象外なので注意。
「自社でも使えるだろうか?」「どんなツールを選べばいい?」と感じたら、まずはIT導入補助金の公式サイトで、自社の業種や課題に合ったIT導入支援事業者を探し、相談することから始めてみましょう。専門家のアドバイスを受けながら、自社の成長につながるIT導入を実現してください。