神奈川県内で「業務効率化」「人手不足解消」を目指す中小企業の皆様に朗報です。最新の設備導入やITサービス導入に活用できる、神奈川県の「中小企業生産性向上促進事業費補助金」の公募が開始されました。本補助金は最大500万円という手厚い支援が受けられるだけでなく、申請要件のハードルも比較的低いため、初めて補助金に挑戦する方にもおすすめです。
この記事では、補助金の専門家が「中小企業生産性向上促進事業費補助金」の概要から申請方法、採択率を高めるための加点項目まで、分かりやすく徹底解説します。
中小企業生産性向上促進事業費補助金とは?
本補助金は、神奈川県内の中小企業が厳しい経営環境の中でも安定的に利益を確保し、持続的な成長を遂げることを目的とした制度です。生産性向上に繋がる設備導入やITシステムの導入費用を支援し、それによって得られた利益を賃上げなどに還元することで、県経済全体の活性化を目指します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助上限額 | 最大500万円 |
| 補助率 | 中小企業:1/2、小規模事業者:2/3 |
| 対象経費 | 機械装置等費、ITサービス導入費、施設工事費 |
| 対象者 | 神奈川県内に事業所を有する中小企業、NPO法人、社会福祉法人 |
| 申請期間 | 年3回の公募(6月、7月、8月)※詳細は後述 |
補助対象者と必須要件
本補助金を利用するためには、対象者の条件を満たした上で、いくつかの必須要件をクリアする必要があります。一つずつ確認していきましょう。
1. 補助対象者
以下のすべてに該当する事業者が対象となります。
- 中小企業、NPO法人、社会福祉法人のいずれかであること。
- 申請日時点で、神奈川県内に事業所(工場、店舗、事務所など)を有していること。
- 令和6年度の同補助金の交付を受けた事業者も対象となります。
2. 対象要件
事業計画において、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 付加価値額の増加:年率平均1.5%以上(3年間で4.5%以上)増加させる計画であること。
- 給与支給総額の増加:基準となる決算期から3期目の決算期において、給与支給総額を増加させること。
- 申請日時点で神奈川県内の事業所で実態のある事業を営んでいること。
- 補助対象となる事業を神奈川県内の自社の事業所で実施すること。
💡 ポイント:給与支給総額の増加について
要件2の「給与支給総額の増加」は、具体的な増加額の目標値が設定されていません。基準となる決算期よりも3期目の決算期で少しでも増加していれば要件を満たすため、比較的達成しやすい条件と言えます。
補助対象経費と補助額
1. 補助対象経費
補助の対象となる経費は、以下の3つに分類されます。
| 経費区分 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| ① 機械装置等費 | 事業に必要な機械装置等の購入費用 | 製造ラインの自動化設備、高性能な業務用冷蔵庫など |
| ② ITサービス導入費 | 事業に必要なITサービスやシステムの導入・開発費用 | 会計・顧客管理ソフト、受発注管理システム、ECサイト構築など |
| ③ 施設工事費 | 機械装置等の設置に必要な最低限の改修工事費用 | 大型機器導入に伴う電源工事、動線変更工事など |
⚠️ 注意点
- 「③施設工事費」のみでの申請はできません。
- 交付決定時に「①機械装置等費」または「②ITサービス導入費」が対象外となった場合、「③施設工事費」も自動的に対象外となります。
2. 補助上限額・補助率
補助上限額は最大500万円で、補助率は事業者の規模によって異なります。
- 補助上限額: 500万円
- 補助率:
- 中小企業: 1/2
- 小規模事業者: 2/3
💡 ポイント:上限額を受け取るための投資額
補助上限額500万円を満額受給するためには、機械装置等費がメインの投資となります。必要な投資額(税抜)の目安は以下の通りです。
- 中小企業 (補助率1/2) の場合: 1,000万円以上の投資
- 小規模事業者 (補助率2/3) の場合: 750万円以上の投資
※ITサービス導入費は上限50万円、施設工事費は上限100万円という個別の制限がある点にご注意ください。
スケジュールと申請方法
1. 公募スケジュール
本補助金は2025年内に3回の公募が予定されています。申請は先着順ではないため、期間内に不備なく提出することが重要です。
| 公募回 | 申請受付開始 | 申請締切 |
|---|---|---|
| 6月公募 | 2025年5月1日(木) 9:00 | 2025年6月30日(月) 17:00 |
| 7月公募 | 2025年7月1日(火) 9:00 | 2025年7月31日(木) 17:00 |
| 8月公募 | 2025年8月1日(金) 9:00 | 2025年8月29日(金) 17:00 |
2. 申請方法
申請は「電子申請」と「郵送申請」の2つの方法から選べます。
- 【電子申請】
「e-kanagawa」電子申請システムから手続きを行います。申請には「GビズIDプライムアカウント」が必須となるため、未取得の場合は早めに準備を進めましょう(取得に1週間程度かかります)。
- 【郵送申請】
PC操作が苦手な方や、電子申請に不安がある方は郵送での申請が可能です。締切日の消印有効ですが、書類不備の際の連絡に備え、提出書類のコピー(控え)を必ず手元に保管しておきましょう。持ち込みや宅配便での申請は受け付けられない点にご注意ください。
採択率を高める3つの加点項目
本補助金には、審査で有利になる「加点項目」が3つ設定されています。スケジュールに余裕があれば、これらの取得を積極的に検討し、採択の可能性を高めましょう。
1. パートナーシップ構築宣言
取引先との共存共栄を目指す取り組みを宣言する制度です。取得により税制優遇などのメリットもあります。
取得期間の目安:約2週間
2. 事業継続力強化計画(BCP)
自然災害などの緊急事態に備え、事業継続のための計画を策定し、国の認定を受ける制度です。金融機関からの信頼向上にも繋がります。
取得期間の目安:約2週間
3. 事業承継計画書
後継者への円滑な事業引継ぎのための計画書です。相続・税務対策を進めやすくなるメリットがあります。
取得期間の目安:約半年
まとめ
神奈川県の「中小企業生産性向上促進事業費補助金」は、最大500万円という規模の大きな支援でありながら、申請要件のハードルが比較的低く、非常に魅力的な補助金です。「補助金は難しそう」と感じていた事業者の方にも、ぜひ挑戦していただきたい制度です。
設備投資による生産性向上や、IT導入による業務効率化を検討している方は、この機会を逃さず活用しましょう。申請手続きや詳細については、必ず公式サイトの公募要領をご確認ください。
対象者・対象事業
神奈川県内に事業所を有する中小企業、NPO法人、社会福祉法人で、付加価値額の増加や給与支給総額の増加などの要件を満たす事業者。
必要書類(詳細)
申請書、事業計画書、直近3期分の決算書、履歴事項全部証明書、納税証明書、GビズIDプライムアカウント(電子申請の場合)など。詳細は必ず公式の公募要領をご確認ください。
対象経費(詳細)
【機械装置等費】事業遂行に必要な機械装置等の購入費用。【ITサービス導入費】ITサービスやシステムの導入・開発費用(例:会計ソフト、受発注システム、ECサイト構築)。【施設工事費】機械装置等を設置するために必要な最低限の改修工事費用(例:電源工事)。施設工事費のみでの申請は不可。