「少しだけ自分の時間がほしい」「子どもに同年代の子と触れ合う機会を作ってあげたい」そんな風に思ったことはありませんか?2026年度から全国で本格的にスタートする「こども誰でも通園制度」は、そんな子育て中の保護者の皆さんを力強くサポートする新しい制度です。この制度は、保護者の就労状況にかかわらず、0歳6ヶ月から3歳未満のお子さんを月10時間まで、保育園や認定こども園などに預けることができる画期的な取り組みです。この記事では、制度の詳しい内容から、具体的な利用料金、申請方法、予約までのステップを、誰にでも分かりやすく徹底的に解説します。子育ての新たな選択肢として、ぜひ本制度の活用をご検討ください。
こども誰でも通園制度とは?
まずは、こども誰でも通園制度がどのようなものなのか、基本的な概要から見ていきましょう。
制度の概要
こども誰でも通園制度は、こども家庭庁が推進する新しい子育て支援策です。これまで保育園などの利用が難しかった専業主婦(主夫)家庭や、フリーランス、パートタイムで働く方など、すべての子育て家庭を対象としています。
- 正式名称: 乳児等通園支援事業
- 実施組織: こども家庭庁(事業の実施主体は各市区町村)
- 目的: 全ての子どもの育ちを応援し、良質な成育環境を整備すること。また、多様な働き方やライフスタイルにかかわらず、全ての子育て家庭への支援を強化すること。
- 背景: 政府の「こども未来戦略」に基づき、創設されました。子育て中の孤立感や負担感を軽減し、保護者のリフレッシュや自己実現の時間確保、そして子どもの社会性や発達を促すことを目指しています。
いつから始まる?
この制度は段階的に導入されます。
- 2025年度(令和7年度): 一部の市区町村で先行実施(試行的事業)が始まっています。
- 2026年度(令和8年度): 全国の市区町村で本格的に実施される予定です。
お住まいの地域での開始時期については、市区町村のホームページやお知らせをご確認ください。
制度の具体的な内容
次に、対象者や利用時間、料金など、制度の具体的な中身について詳しく解説します。
対象となる子ども
以下の条件をすべて満たすお子さんが対象となります。
- 年齢:生後6ヶ月から満3歳未満(3歳の誕生日の前々日まで)
- 居住地:保護者が制度を実施する市区町村に在住していること
- 利用状況:認可保育所、認定こども園、小規模保育事業、企業主導型保育事業などを利用していないこと
【ポイント】
一時預かり事業を利用している場合や、認可外保育施設に通っているお子さんは、この制度の対象となります。ただし、企業主導型保育施設を利用している場合は対象外となるため注意が必要です。
利用できる時間と料金
利用時間と料金の標準的な設定は以下の通りです。ただし、詳細はお住まいの自治体や利用する施設によって異なる場合があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 利用可能時間 | 子ども1人あたり月10時間が上限 |
| 利用料金(保護者負担) | 1時間あたり300円程度が標準 |
| その他費用 | 給食費、おやつ代、おむつ代などが別途必要になる場合があります。 |
| 繰り越し | 利用可能時間は当月のみ有効で、翌月への繰り越しはできません。 |
利用料の減免制度
所得の状況などに応じて、利用料が減額または免除される制度があります。子育て世帯の経済的負担を軽減するための重要な仕組みです。
| 対象世帯 | 補助基準額(1時間あたり) |
|---|---|
| 生活保護世帯 | 300円(実質無料) |
| 住民税非課税世帯 | 240円 |
| 住民税所得割課税額77,101円未満の世帯 | 210円 |
| 要支援・要保護児童のいる世帯など | 150円 |
減免を受けるには申請が必要です。前年の所得を証明する書類(課税証明書など)が必要になる場合がありますので、自治体の案内に従ってください。
どうやって利用するの?申請から予約までの5ステップ
制度を利用するための手続きは、主に以下の5つのステップで進みます。鹿児島市の例などを参考に、一般的な流れを解説します。
ステップ1:お住まいの自治体で利用登録申請
まず、お住まいの市区町村の担当窓口(保育課、こども家庭課など)で利用登録の申請を行います。申請書は窓口で受け取るか、自治体のホームページからダウンロードできます。お子さん一人につき1枚の申請書が必要です。
ステップ2:専用システムのログインIDを受け取る
申請が受理されると、国が整備した「こども誰でも通園制度総合支援システム」のログインIDが、申請時に登録したメールアドレス宛に送られてきます。このシステムを使って、今後の手続きや予約を行います。
ステップ3:システムで利用者情報を入力
発行されたIDでシステムにログインし、保護者やお子さんの詳細情報(氏名、生年月日、住所、アレルギーの有無など)を入力します。この情報は利用施設にも共有されるため、正確に入力しましょう。
ステップ4:利用したい施設で事前面談
初めて利用する施設では、必ず事前の面談が必要です。システムを使って面談の予約を取り、親子で施設を訪問します。この面談は、施設のスタッフがお子さんの個性や特徴を理解し、安全に保育を行うための重要な機会です。アレルギーや発達で気になること、普段の生活リズムなどを詳しく伝えましょう。
ステップ5:システムで利用予約
事前面談が終わると、いよいよ利用予約が可能になります。基本的には、面談で話し合った内容に基づき、施設側がシステムの予約登録を行います。利用当日は予約に従って施設へ行き、利用後に料金を支払います。利用パターンには、毎週決まった曜日に通う「定期利用」と、空き状況に応じて都度予約する「柔軟利用」があります。
スムーズに利用するためのポイント
この制度を上手に活用するために、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
- 早めに情報収集を始める:お住まいの自治体でいつから制度が始まるか、どの施設が対象になるかなど、広報誌やウェブサイトをこまめにチェックしましょう。
- 事前面談の準備をしっかり行う:お子さんの好きな遊び、苦手なこと、アレルギー、生活リズムなどをメモにまとめておくと、面談でスムーズに伝えられます。
- 複数の施設を検討する:施設によって保育方針や雰囲気が異なります。また、人気の施設は予約が取りにくい可能性もあります。システムで実施施設一覧を確認し、いくつかのを見つけておくと安心です。
- キャンセルポリシーを確認しておく:急な体調不良などでキャンセルする場合の連絡方法や、料金が発生するかどうかを事前に確認しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1: 兄弟がいる場合、利用時間は合算できますか?
A1: いいえ、利用時間は合算できません。利用可能時間はお子さん一人ひとりに月10時間までと設定されています。対象年齢の兄弟が2人いれば、それぞれ10時間ずつ、合計20時間利用できます。
Q2: 月10時間を使いきれなかった場合、翌月に繰り越せますか?
A2: いいえ、利用時間の繰り越しはできません。利用枠はその月限りでリセットされます。
Q3: どんな施設で預かってもらえますか?
A3: 市区町村が認可した保育所、認定こども園、小規模保育事業所、幼稚園、地域子育て支援拠点、児童発達支援センターなど、様々な施設が実施事業所となります。お住まいの自治体のウェブサイトや、専用システムで対象施設の一覧を確認できます。
Q4: 仕事をしていなくても本当に利用できますか?
A4: はい、利用できます。この制度の最大の特徴は、保護者の就労要件を問わない点です。リフレッシュ、通院、自己啓発、兄弟の学校行事への参加など、様々な理由でご利用いただけます。
Q5: 障害や医療的ケアが必要な子どもでも利用できますか?
A5: はい、利用できるよう体制整備が進められています。障害児や医療的ケア児の受け入れに対しては、施設への加算補助が設けられており、専門的な知識を持つ職員の配置などが促されています。また、場合によっては職員が自宅を訪問する「居宅訪問型」の支援も可能です。まずは市区町村の担当窓口にご相談ください。
まとめ:新しい子育て支援の形を活用しよう
「こども誰でも通園制度」は、これからの子育てのあり方を大きく変える可能性を秘めた制度です。保護者が心にゆとりを持つことは、子どもにとっても良い影響を与えます。月10時間という時間は、美容院に行ったり、友人とランチをしたり、集中して仕事をしたり、あるいはただ家でゆっくり過ごすためにも使えます。また、お子さんにとっては、家庭とは違う環境で新しい刺激を受け、社会性を育む貴重な機会となるでしょう。
2026年度の全国本格実施に向けて、各自治体で準備が進められています。まずは第一歩として、お住まいの市区町村のホームページを確認したり、保育担当課に問い合わせてみましょう。この新しい支援の形を上手に活用して、より豊かで安心な子育てを実現してください。