詳細情報
埼玉県北本市で障害福祉サービス事業所を運営されている皆様へ。
「医療的ケアが必要なお子さんを受け入れたいけれど、専門的な設備の導入コストが…」とお悩みではありませんか?北本市では、医療的ケア児者の受け入れ体制を強化するため、設備の改修や備品購入費用を最大40万円補助する「医療的ケア児者受入設備整備事業補助金」を実施しています。この記事では、制度の概要から対象経費、申請方法、採択のポイントまで、専門家が分かりやすく徹底解説します。この機会に補助金を活用し、より多くの子供たちが地域で安心して過ごせる環境を整えましょう。
北本市医療的ケア児者受入設備整備事業補助金とは?
制度の目的と社会的背景
この補助金は、たん吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要な子どもや大人(医療的ケア児者)が、住み慣れた地域で安心して生活できる体制を整備することを目的としています。近年、医療技術の進歩により、医療的ケアを必要としながら在宅で生活する方が増えています。埼玉県が公表したデータ(令和3年4月時点)によると、県内の医療的ケア児は709人にのぼり、その数は年々増加傾向にあります。
このような背景から、地域の障害福祉サービス事業所が医療的ケア児者を積極的に受け入れられるよう、初期投資の負担を軽減することが急務となっています。本補助金は、事業所が専門的な設備や備品を導入する際の経済的ハードルを下げ、安全な受け入れ環境の構築を後押しする重要な制度です。
制度の基本情報
| 正式名称 | 北本市医療的ケア児者受入設備整備事業補助金 |
| 実施機関 | 埼玉県北本市 |
| 問い合わせ先 | 障がい福祉課 相談支援担当 (電話: 048-594-5535) |
| 公募期間 | 2025年度(随時受付) ※予算の上限に達し次第、受付終了となります。 |
補助金額・補助率について
補助上限額と計算方法
補助金の額は、対象となる経費の実費を補助する「定額補助」方式です。計算方法は以下の通りです。
- 新たに受け入れる在宅の医療的ケア児者1人あたり20万円を上限とします。
- 1事業所につき、申請年度を問わず、合計2人分(最大40万円)までが補助の上限となります。
【重要ポイント】
一度2人分の補助(合計40万円に満たない場合も含む)を受けた事業所は、翌年度以降、この補助金を申請することはできません。また、ある年度に受け入れた方のために購入した備品の費用を、翌年度の申請に繰り越すこともできないため注意が必要です。
具体的な補助額の計算例
| ケース | 設備投資額 | 補助金額 | 解説 |
|---|---|---|---|
| 新規で1人受け入れ | 300,000円 | 200,000円 | 1人あたりの上限20万円が適用されます。 |
| 新規で2人受け入れ | 500,000円 | 400,000円 | 2人分の上限(20万円×2人)である40万円が適用されます。 |
| 過去に1人分の補助を受けた事業所が、新たに1人受け入れ | 180,000円 | 180,000円 | 実費が上限額(20万円)を下回るため、実費分の18万円が補助されます。これで2人分の補助を受けたことになり、今後の申請はできません。 |
対象者・条件の詳細
対象となる事業所
以下の要件をすべて満たす事業所が対象です。
- 北本市内に所在する事業所であること。
- 障害児通所支援事業所(児童発達支援、放課後等デイサービス)または生活介護事業所であること。
- 在宅の医療的ケア児者を「新たに」受け入れる事業所であること。
- 北本市によって設置・運営されている事業所ではないこと。
対象となる医療的ケア児者
補助金の申請年度中に新たに受け入れた(または利用決定が見込まれる)、下記の医療的ケアが必要な状態が6ヶ月以上継続する障がい児者が対象となります。
| 番号 | 医療的ケアの項目 |
|---|---|
| 1 | 人工呼吸器の管理 |
| 2 | 気管切開の管理 |
| 3 | 鼻咽頭エアウェイの管理 |
| 4 | 酸素療法 |
| 5 | 吸引(口鼻腔又は気管内) |
| 6 | ネブライザーの管理 |
| 7 | 経管栄養(経鼻、胃ろう、腸ろう等) |
| 8 | 中心静脈カテーテルの管理 |
| 9 | 皮下注射(インスリン等) |
| 10 | 血糖測定 |
| 11 | 継続的な透析 |
| 12 | 導尿 |
| 13 | 排便管理(ストーマ、摘便等) |
| 14 | 痙攣時の処置 |
補助対象となる経費
対象経費の具体例
在宅の医療的ケア児者を新たに受け入れるために行う、設備の改修や備品等の購入費用が対象です。具体的には以下のようなものが想定されています。
- たん吸引機
- 介護ベッド
- 座位保持装置、体位変換器
- プライバシー保護のための間仕切り
- パルスオキシメーター、血圧計、聴診器
- 医療用ワゴン、点滴用スタンド
- ネブライザー、バックバルブマスク
- 停電時に備える発電機
- その他、受け入れに必要と認められる備品等
上記リストにないものでも、受け入れに必要不可欠なものであれば対象となる可能性があります。まずは市の担当課へ相談してみましょう。
対象外となる経費(注意点)
以下の費用は補助の対象外となるため、ご注意ください。
- 医療的ケア児者以外にも汎用的に使用できるもの(例:一般的な机、椅子、パソコンなど)
- ガーゼや消毒液などの消耗品
- 備品購入等に係る送料
- 国や県など、他の補助金で既に補助を受けている経費
申請方法と手順
申請は、正しい手順を踏むことが非常に重要です。特に「事前相談」と「交付決定後の事業開始」は必ず守ってください。
申請から交付までの6ステップ
- 【STEP 1】事前相談(必須)
補助金の活用を検討する段階で、必ず北本市障がい福祉課に電話等で事前連絡をしてください。対象事業や経費について確認します。 - 【STEP 2】交付申請書の提出
事前相談後、必要書類を揃えて市に提出します。 - 【STEP 3】交付決定通知の受領
市が申請内容を審査し、適当と認められれば「交付決定通知書」が送付されます。 - 【STEP 4】事業の実施(設備の購入・改修)
必ず交付決定通知書を受け取った後に、見積もり通りの備品購入や設備改修を行ってください。決定前の購入は補助対象外です。 - 【STEP 5】実績報告書・請求書の提出
事業が完了したら、領収書などを添付して実績報告書と請求書を提出します。年度内に事業を完了させる必要があります。 - 【STEP 6】補助金の交付
実績報告の内容が審査され、問題がなければ指定の口座に補助金が振り込まれます。
必要書類一覧
申請や報告に必要な書類は、北本市の公式サイトからダウンロードできます。
- 【申請時】様式第1号 交付申請書
- 【申請時】事業計画書、収支予算書
- 【申請時】購入する備品や改修内容の見積書の写し
- 【報告時】様式第3号 実績報告書
- 【報告時】領収書の写し、事業内容がわかる写真など
- 【請求時】様式第5号 交付請求書
- 【該当する場合】消費税及び地方消費税に係る仕入控除税額報告書
採択されるための3つの重要ポイント
1. 何よりもまず「事前相談」を行う
この補助金で最も重要なのが、市の担当課との事前相談です。計画している設備投資が補助対象になるか、申請手続きに不備がないかなどを事前に確認することで、手戻りを防ぎ、スムーズな採択に繋がります。「こんな備品は対象になるだろうか?」といった疑問も、この段階で解消しておきましょう。
2. 計画の具体性と必要性を明確にする
申請書では、「なぜその備品が必要なのか」「その設備を導入することで、受け入れる医療的ケア児者にどのような安全・安心を提供できるのか」を具体的に記述することが求められます。単に「吸引機を買います」ではなく、「気管切開をしている〇〇さんの喀痰吸引を安全かつ衛生的に行うため、最新の吸引機を導入します」といったように、受け入れるお子さんの状況と紐づけて必要性を説明すると説得力が増します。
3. よくある不採択理由を避ける
不採択となるケースには共通点があります。以下の点に注意して申請準備を進めましょう。
- フライング購入: 交付決定通知を受け取る前に備品を購入してしまう。絶対に避けてください。
- 対象外経費の混入: 汎用品や消耗品、送料などを申請に含めてしまう。
- 年度内事業の未完了: 手続きの遅れにより、3月末までに事業(支払いまで)が終わらない。
よくある質問(FAQ)
Q1. 申請前に備品を購入してしまいました。対象になりますか?
A1. いいえ、残念ながら対象外です。補助金の対象となるのは、必ず市の交付決定通知を受けた後に購入・契約した経費のみです。
Q2. 複数の医療的ケア児を同時に受け入れる予定です。補助額はどうなりますか?
A2. 1人あたり20万円が上限です。例えば2人受け入れる場合は、合計で最大40万円まで申請可能です。これが1事業所あたりの生涯上限額となります。
Q3. 中古の備品を購入する場合も対象になりますか?
A3. 要綱に明記はありませんが、事業に必要なものであれば対象となる可能性があります。ただし、適正な取引であることが証明できる見積書や領収書が必要です。必ず事前相談で北本市障がい福祉課にご確認ください。
Q4. 埼玉県の他の補助金と併用できますか?
A4. いいえ、できません。国、都道府県、他の市町村が実施する制度で、同一の補助対象経費に対して補助金の交付を受けている場合は、この補助金の対象外となります。
Q5. 申請はいつまでに行えばよいですか?
A5. 2025年度内であれば随時申請可能ですが、市の予算がなくなり次第、受付は終了となります。また、年度内に事業を完了させる必要があるため、設備導入を検討されている場合は、できるだけ早めに相談と申請を行うことを強くおすすめします。
まとめ:補助金を活用して、地域に貢献する一歩を
北本市医療的ケア児者受入設備整備事業補助金は、医療的ケア児者の受け入れという社会的意義の大きい取り組みを行う事業所を力強く支援する制度です。最後に重要なポイントをまとめます。
- 補助額: 新規受入1人あたり最大20万円、1事業所あたり最大40万円(2人分まで)。
- 対象者: 北本市内の障害児通所支援・生活介護事業所。
- 最重要アクション: まずは市の障がい福祉課へ「事前相談」をすること。
- 絶対厳守: 備品購入や工事は「交付決定後」に行うこと。
この補助金を活用することで、事業所の負担を軽減しながら、医療的ケア児者が安全に、そして楽しく過ごせる環境を整えることができます。それは、ご本人やご家族の安心に繋がるだけでなく、地域共生社会の実現に向けた大きな一歩となります。ぜひ、この制度の活用を前向きにご検討ください。
この記事に関するお問い合わせ・ご相談はこちら
北本市 障がい福祉課 相談支援担当
〒364-8633 埼玉県北本市本町1-111
電話:048-594-5535
ファックス:048-593-2862