令和7年(2025年)9月1日から、大阪府の宿泊税制度が改正されます。これに伴い、多くの宿泊事業者様でレジシステムや予約管理システムの改修が必要となります。この新たな負担を軽減し、円滑な制度移行を支援するため、大阪府では「宿泊税システム改修費補助金」を設けています。この記事では、大阪府内で宿泊施設を運営する事業者様に向けて、補助金の概要、対象経費、申請方法、そして採択されるためのポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。最大50万円の補助金を活用し、スムーズに新制度へ対応するための準備を始めましょう。
この記事のポイント
- 大阪府の宿泊税改正に伴うシステム改修費用を補助
- 補助率は対象経費の2分の1、上限額は客室数に応じて最大50万円
- 申請期間は令和7年9月30日から令和8年2月28日まで(予算上限あり)
- 令和6年11月5日以降に実施した改修が対象となる遡及適用あり
- 申請はオンラインで完結
大阪府宿泊税システム改修費補助金とは?制度の概要
本補助金は、大阪府が実施する宿泊事業者向けの支援制度です。まずは、制度の目的や背景、そして誰が実施しているのかといった基本的な情報を確認しましょう。
補助金の目的と背景
令和7年9月1日から、大阪府の宿泊税は免税点や税率が変更されます。具体的には、これまで7,000円未満が非課税だったものが5,000円未満に引き下げられ、各料金帯の税率も変更となります。この改正に対応するため、宿泊事業者は宿泊料金の計算や帳票出力機能を持つレジシステム等の改修が不可欠です。このシステム改修に伴う経済的負担を軽減し、宿泊税の円滑な徴収体制を整備することを目的として、本補助金が設けられました。
制度の基本情報
- 正式名称: 令和7年度 大阪府宿泊税システム改修費補助金事業
- 実施組織: 大阪府(府民文化部 都市魅力創造局 企画・観光課)
- 予算額: 565,074,000円(令和7年度当初予算)
補助金額と補助率|いくらもらえる?
事業者様にとって最も気になるのが、補助金の金額でしょう。ここでは、補助率と客室数に応じた上限額、そして具体的な計算例を解説します。
補助率
補助率は、補助対象となる経費の2分の1以内です。
補助上限額(1施設あたり)
補助上限額は、運営する1施設あたりの客室数によって異なります。複数の施設を運営している場合は、施設ごとに申請が可能です。
| 客室数 | 補助上限額 |
|---|---|
| 9室以下 | 5万円 |
| 10室以上 29室以下 | 10万円 |
| 30室以上 49室以下 | 30万円 |
| 50室以上 | 50万円 |
計算例で具体的にイメージ
【ケース1】客室数40室のホテルが、システム改修に税抜80万円かかった場合
- 補助対象経費:80万円
- 補助率適用額:80万円 × 1/2 = 40万円
- 客室数40室の上限額:30万円
- → 補助率適用額が上限額を超えるため、補助金額は30万円となります。
【ケース2】客室数20室の旅館が、ソフトウェア購入に税抜15万円かかった場合
- 補助対象経費:15万円
- 補助率適用額:15万円 × 1/2 = 7.5万円
- 客室数20室の上限額:10万円
- → 補助率適用額が上限額内のため、補助金額は7.5万円となります。
補助対象者と申請条件
補助金を利用するには、定められた条件を満たす必要があります。自社が対象となるか、ここでしっかりと確認してください。
対象となる事業者
補助対象者は、交付申請時点において、大阪府宿泊税の「特別徴収義務者」として登録されている事業者、または登録申請をしている事業者です。
「特別徴収義務者」とは?
特別徴収義務者とは、宿泊者から宿泊税を預かり、それをとりまとめて大阪府に納める義務を負う宿泊事業者のことを指します。旅館業法に規定されるホテル、旅館、簡易宿所や、住宅宿泊事業法に規定される民泊施設の経営者が該当します。まだ登録が済んでいない場合は、速やかに手続きを行いましょう。
何に使える?補助対象となる経費
この補助金は、宿泊税改正に対応するための特定の経費にのみ使用できます。対象となる経費、ならない経費を正確に把握することが重要です。
補助対象事業・経費リスト
- 既存のレジシステム(PMS等を含む)の改修
- 宿泊税対応の新たなレジシステムの構築
- レジシステムの構築に係るソフトウェアの購入
- その他、宿泊税の円滑な徴収を図るために知事が必要と認める事業
重要ポイント:対象となる事業の実施期間
この補助金の大きな特徴は、過去の事業も対象となる点です。改正条例案が可決された令和6年11月5日以降に実施され、申請時までに支払いが完了した事業が対象となります。すでに改修を終えている事業者様も対象になる可能性がありますので、領収書などを確認してください。
【注意】補助対象外となる経費
以下の経費は補助対象外となりますので、申請の際はご注意ください。
- 消費税及び地方消費税
- クラウドサービス利用料、システム保守料、通信費などのランニングコスト
- リース・レンタル契約のソフトウェアやハードウェア
- 国や他の自治体など、他の補助金と重複して補助を受ける経費
- 人件費、交際費、交通費、宿泊費、飲食費等の一般経費
- 振込手数料や送料
申請方法とスケジュール
補助金の申請は、定められた期間内に、正しい手順で行う必要があります。ここでは、申請期間から具体的な流れ、必要書類までを詳しく解説します。
申請期間
申請期間は 令和7年9月30日(火曜日)から令和8年2月28日(土曜日)まで です。
ただし、予算の上限に達した場合は、期間内であっても申請の受付を終了します。 審査は随時行われるため、早めの準備と申請が採択の鍵となります。
申請の流れ(ステップ・バイ・ステップ)
申請は「大阪府行政オンラインシステム」を利用したインターネット申請のみとなります。
- 公募要領の確認: 大阪府の公式サイトで公開される交付要綱や公募要領を熟読し、制度の詳細を完全に理解します。
- 必要書類の準備: 下記の「必要書類一覧」を参考に、すべての書類を準備します。様式は公式サイトからダウンロードできます。
- オンライン申請: 大阪府行政オンラインシステムにアクセスし、アカウントを作成(またはログイン)後、必要事項を入力し、準備した書類をアップロードして申請を完了させます。
- 審査・交付決定: 申請内容に基づき、事務局で審査が行われます。審査が通ると、交付決定通知が届きます。
- 補助金の請求・受領: 交付決定後、指定の様式で請求書を提出します。その後、指定した口座に補助金が振り込まれます。(本補助金は実績報告を兼ねた申請のため、交付決定後の手続きは請求のみとなる見込みです)
必要書類一覧
申請には以下の書類が必要です。事前に準備を進めましょう。
- 補助金交付申請書兼実績報告書(様式第1号)
- 事業計画及び明細書(様式第2号)
- 府税納付状況及び特別徴収義務者登録状況確認同意書(様式第3号)
- 要件確認申立書(様式第4号)
- 暴力団等審査情報(様式第5号)
- 誓約書(様式第6号)
- 請求書(様式第8号)
- 振込口座が確認できるもの(通帳の表紙と見開き1ページ目の写しなど)
- 補助対象経費の支払いを証明する書類(見積書、契約書、請求書、領収書などの写し)
- 改修したシステムの内容がわかる書類(改修内容の仕様書、画面キャプチャなど)
採択されるための3つのポイント
この補助金は要件を満たせば比較的採択されやすいと考えられますが、予算には限りがあります。確実に補助を受けるために、以下の3つのポイントを押さえましょう。
ポイント1:とにかく早めに申請する
最も重要なポイントです。本補助金は先着順(予算がなくなり次第終了)です。申請期間が始まると、多くの事業者からの申請が予想されます。受付開始後、できるだけ早い段階で申請を完了できるよう、今から書類の準備を進めておきましょう。
ポイント2:公募要領を熟読し、書類不備をなくす
申請書類の不備は、審査の遅れや不採択の大きな原因となります。公募要領や様式の記入例を隅々まで確認し、記入漏れや添付書類の不足がないように、提出前に複数人でダブルチェックすることをお勧めします。
ポイント3:対象経費を正確に計上する
補助対象外の経費を誤って含めて申請してしまうと、修正に時間がかかったり、審査官に悪い印象を与えかねません。見積書や請求書の内訳をよく確認し、対象となる経費のみを正確に抜き出して「事業計画及び明細書」に記載しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 申請はいつからできますか?
A1. 令和7年9月30日(火曜日)から申請受付が開始されます。オンライン申請のみとなります。
Q2. 補助金の対象となる事業の実施期間はいつですか?
A2. 令和6年11月5日から、補助金の交付申請時までに実施・支払いが完了した事業が対象です。すでに改修済みの場合でも対象となる可能性があります。
Q3. 複数の宿泊施設を運営している場合、申請はどうなりますか?
A3. 施設ごとに申請が可能です。補助上限額も1施設ごとに適用されます。
Q4. 消費税や振込手数料は補助対象になりますか?
A4. いいえ、消費税および地方消費税、振込手数料は補助対象外です。申請時には税抜きの金額で計上してください。
Q5. 申請すれば必ず採択されますか?
A5. 申請内容が要件を満たしていれば採択されますが、予算には上限があります。予算が上限に達した時点で受付が終了となるため、不採択となる可能性があります。早めの申請をお勧めします。
まとめ:宿泊税改正に備え、補助金を賢く活用しよう
今回は、大阪府の宿泊税制度改正に対応するための「宿泊税システム改修費補助金」について詳しく解説しました。
- 対象者: 大阪府宿泊税の特別徴収義務者(または申請中)
- 補助額: 対象経費の1/2、最大50万円(客室数による)
- 対象経費: 宿泊税対応のレジシステム改修・構築・ソフトウェア購入費用
- 申請期間: 令和7年9月30日~令和8年2月28日
- 注意点: 予算上限ありの先着順!早めの申請が必須!
制度改正への対応は必須ですが、この補助金を活用することで事業者の負担を大きく軽減できます。公式サイトで最新情報を確認し、計画的に準備を進めて、ぜひこの機会を最大限に活用してください。
お問い合わせ先
大阪府宿泊税システム改修費補助金コールセンター(審査事務局)
電話:050-3785-6615
受付時間:9時から18時まで
※土曜日、日曜日、祝日、年末年始(12月29日から1月3日)を除く。