はじめに:DX化の鍵「デジタル人材」確保を埼玉県が強力サポート!

埼玉県内で事業を展開する中小企業の経営者の皆様、「DXを進めたいが、専門知識を持つ人材が見つからない」「採用コスト、特に人材紹介手数料が負担だ」と感じていませんか?そのお悩み、埼玉県が解決を後押しします。今回ご紹介する「埼玉県即戦力人材確保支援事業補助金」は、まさにそうした企業のための制度です。この補助金を活用すれば、デジタル化を推進する即戦力人材を採用する際に発生する人材紹介手数料の最大2分の1、上限150万円が補助されます。この記事では、制度の概要から申請の具体的なステップ、採択されるためのポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。貴社の成長を加速させる絶好の機会を、ぜひご活用ください。

この補助金の3つの重要ポイント

  • ポイント1:人材紹介手数料を最大150万円補助!採用コストを大幅に削減。
  • ポイント2:正社員だけでなく「副業・兼業」の専門人材活用も対象。柔軟な人材戦略が可能に。
  • ポイント3:申請前に「プロ人材拠点」への相談が必須。専門家が人材確保を無料でサポート。

① 補助金の概要

まずは、本補助金がどのような制度なのか、全体像を把握しましょう。

正式名称

埼玉県即戦力人材確保支援事業補助金

実施組織

埼玉県(産業労働部 雇用・人材戦略課)

目的・背景

この補助金は、埼玉県内の中小企業が抱える経営課題、特にデジタル化(DX)の推進を人材面から支援することを目的としています。多くの企業がデジタル技術を活用した事業変革の必要性を感じながらも、それを実行できる専門人材の確保に苦労しているのが現状です。そこで埼玉県は、県産業振興公社内に設置した「プロフェッショナル人材戦略拠点(プロ人材拠点)」と民間人材紹介事業者が連携するスキームを構築。このスキームを通じて即戦力となるデジタル人材を採用する企業に対し、採用コストの大きな割合を占める人材紹介手数料の一部を補助することで、企業の積極的な人材投資を促し、県内産業の競争力強化を図ることを目指しています。

② 補助金額・補助率

気になる補助金額と補助率について、詳しく見ていきましょう。この補助金は、利用回数によって補助率と上限額が変わるのが特徴です。

利用区分 補助率 補助限度額
初回利用者 人材紹介手数料の2分の1 150万円
2回目以降の利用者 人材紹介手数料の3分の1 100万円

※2回目以降の利用者とは、過去に本補助金または「埼玉県デジタル人材確保支援事業補助金」の交付を受けたことがある事業者を指します。
※計算後の金額に1,000円未満の端数が生じた場合は切り捨てとなります。

【具体例】補助金額の計算方法

例えば、年収800万円のデジタル人材を、紹介手数料率35%の人材紹介会社を通じて採用した場合で考えてみましょう。

  • 人材紹介手数料:800万円 × 35% = 280万円
  • 【初回利用の場合】
    補助額:280万円 × 1/2 = 140万円
    → 上限150万円以内なので、140万円が補助されます。
  • 【2回目以降の利用の場合】
    補助額:280万円 × 1/3 = 933,333円 → 93万3,000円(1,000円未満切捨)
    → 上限100万円以内なので、93万3,000円が補助されます。

③ 対象者・条件

補助金を利用するには、いくつかの要件を満たす必要があります。自社が対象となるか、以下のチェックリストで確認しましょう。

対象者チェックリスト

  • □ 埼玉県内に本社または主要な事業所を有する中小企業等である。
  • 事前に「埼玉県プロフェッショナル人材戦略拠点」に相談している。
  • □ プロ人材拠点の「登録民間職業紹介事業者」を通して人材を採用する。
  • □ 採用するのが、自社のDX推進などに貢献する「デジタル人材」である。
  • □ 採用人数は1社につき1名までである。
  • □ 採用した人材が、自社の役員の3親等以内の親族ではない。

「デジタル人材」の定義とは?

本補助金における「デジタル人材」とは、単にITスキルがある人材を指すのではありません。デジタル技術を活用して、企業の新たなビジネスモデルやサービスの創出、生産プロセスの改善、業務効率化などを具体的に実行できる即戦力人材を指します。具体的には、以下のような役割を担う人材が想定されます。

  • ECサイトの構築・運営やWebマーケティング戦略を立案・実行する人材
  • 社内データを分析し、経営戦略に活かすデータサイエンティスト
  • AIやIoTを導入し、製造ラインの生産性向上を実現するエンジニア
  • 社内の業務プロセスを見直し、RPA等で自動化・効率化を推進する人材
  • 新規事業としてSaaSプロダクトの開発をリードするプロジェクトマネージャー

副業・兼業人材も対象!

この補助金の大きな魅力の一つが、副業・兼業人材の活用も対象となる点です。正社員としてハイスキルな人材を採用するのは困難でも、業務委託契約等で週に数日、あるいは特定のプロジェクト単位で専門家の力を借りることは、現代の柔軟な人材戦略として非常に有効です。このような副業・兼業人材のマッチングにかかる紹介手数料も補助対象となります。

④ 補助対象経費

補助の対象となる経費は非常にシンプルです。ここを間違えると補助金を受け取れない可能性があるため、正確に理解しておきましょう。

対象となる経費

  • 埼玉県プロフェッショナル人材戦略拠点に登録された民間人材紹介事業者に支払う「人材紹介手数料」

対象とならない経費の例

  • 採用した人材に支払う給与、報酬、賞与など
  • 求人広告の掲載費用
  • 登録されていない人材紹介会社への手数料
  • 採用活動にかかる交通費や交際費
  • 消費税及び地方消費税

⑤ 申請方法・手順

申請手続きは、決められたステップに沿って進める必要があります。特に「プロ人材拠点への事前相談」が全てのスタートとなる点を忘れないでください。

【重要】申請期間
令和7年5月1日(木曜日)から令和8年2月2日(月曜日)まで
ただし、受付期間中であっても予算額に達した時点で受付は終了となります。早めの行動が鍵です!

申請のステップ・バイ・ステップ

  1. ステップ1:プロ人材拠点への相談【最重要】
    まずは「埼玉県プロフェッショナル人材戦略拠点」へ電話またはメールで連絡し、人材確保に関する相談を行います。ここで自社の経営課題や求める人材像を伝え、補助金の活用についてアドバイスを受けます。この相談がなければ補助金の申請はできません。
  2. ステップ2:登録人材紹介事業者との連携・採用活動
    プロ人材拠点から、課題解決に適した登録済みの民間人材紹介事業者を紹介してもらいます。その後、紹介事業者と連携して者の選考を進め、採用を決定します。
  3. ステップ3:人材の就業開始・手数料の支払い
    採用した人材の就業を開始します。就業開始日は令和7年4月1日から令和8年1月31日までである必要があります。その後、人材紹介事業者に手数料を支払います(支払完了は令和8年3月10日まで)。
  4. ステップ4:交付申請
    「埼玉県電子申請・届出サービス」を利用して、オンラインで補助金の交付申請を行います。事業計画書などの必要書類を添付して提出します。
  5. ステップ5:実績報告
    事業が完了(人材紹介手数料の支払いが完了)したら、実績報告書を提出します。
  6. ステップ6:補助金の請求と受領
    実績報告が承認されると、補助金額が確定します。確定通知を受けた後、請求書を提出し、指定の口座に補助金が振り込まれます。

主な必要書類

  • 交付申請書(様式第1号)
  • 誓約書(様式第1号別紙1)
  • 事業計画書(様式第1号別紙2)
  • 履歴事項全部証明書の写し
  • 県税の納税証明書
  • 人材紹介契約書の写し
  • 実績報告書(様式第5号)
  • 請求書(様式第7号)

※最新の情報や詳細な様式は、必ず埼玉県の公式ホームページでご確認ください。

⑥ 採択のポイント

補助金を確実に受給するためには、いくつかの重要なポイントがあります。

1. 何よりも先に「プロ人材拠点」へ相談する

繰り返しになりますが、これが絶対条件です。自己判断で人材紹介会社と契約し、採用を進めてから「補助金を使いたい」と相談しても対象外となります。必ず採用活動を始める前に、プロ人材拠点へ第一報を入れてください。

2. 事業計画書を具体的に作成する

申請時には事業計画書の提出が必要です。「なぜデジタル人材が必要なのか」「採用した人材にどのような役割を担ってもらい、その結果、自社の事業がどのように成長・発展するのか」を、具体的かつ説得力をもって記述することが重要です。数値目標(売上向上率、コスト削減額など)を盛り込むと、計画の具体性が増し、審査で高く評価される傾向にあります。

3. スケジュール管理を徹底する

本補助金には「就業開始日」「手数料支払期限」「申請期限」など、守るべき日付が複数あります。特に申請期限は予算がなくなり次第、前倒しで終了する可能性があるため、採用が決まったら速やかに申請手続きを進めることが肝心です。スケジュールを逆算し、余裕を持った行動を心がけましょう。

よくある不採択・失敗理由

  • プロ人材拠点への事前相談をせずに採用活動を進めてしまった。
  • プロ人材拠点に登録されていない人材紹介会社を利用してしまった。
  • 申請期限や各種手続きの期限を守れなかった。
  • 事業計画書の内容が曖昧で、人材活用の具体性や将来性を示せなかった。
  • 採用した人材が、役員の親族など対象外の要件に該当していた。

⑦ よくある質問(FAQ)

Q1. 個人事業主でも申請できますか?
A1. はい、中小企業基本法に定義される「中小企業者」に該当すれば、個人事業主の方も対象となります。詳しくは募集要領をご確認ください。
Q2. 申請前に採用活動を始めても大丈夫ですか?
A2. いいえ、必ず採用活動を開始する前に「埼玉県プロフェッショナル人材戦略拠点」へご相談ください。相談前の活動は補助対象外となる可能性があります。
Q3. 採用した人材が1ヶ月以内に退職してしまった場合はどうなりますか?
A3. 補助対象の要件として「人材の就業開始日から1か月以内に退職又は契約解除していないこと」と定められています。残念ながら、この場合は補助対象外となります。
Q4. 埼玉県外に本社がありますが、県内に支社があります。対象になりますか?
A4. 埼玉県内に「主要な事業所」があれば対象となる可能性があります。個別のケースについては、プロ人材拠点へ直接お問い合わせください。
Q5. 補助金はいつもらえますか?
A5. 補助金は精算払いとなります。人材紹介手数料の支払いが完了した後、実績報告書を提出し、審査・承認を経てから指定口座に振り込まれます。採用活動の段階で資金がもらえるわけではないのでご注意ください。

⑧ まとめ・行動喚起

「埼玉県即戦力人材確保支援事業補助金」は、デジタル化という避けては通れない経営課題に取り組む県内中小企業にとって、非常に強力な支援策です。採用コストのネックとなる人材紹介手数料を最大150万円まで補助してくれるこの制度を活用しない手はありません。副業・兼業といった柔軟な働き方の専門家も対象となるため、貴社に最適な形でDX推進の第一歩を踏み出すことができます。

次に行うべきアクション

この記事を読んで少しでも興味を持たれたなら、今すぐ以下の窓口へ相談の連絡を入れましょう。専門の担当者が、貴社の課題ヒアリングからサポートしてくれます。予算には限りがありますので、早めの行動が成功の鍵です。

【人材確保の相談や申請書の作成について】
埼玉県プロフェッショナル人材戦略拠点(公益財団法人 埼玉県産業振興公社)
電話: 048-647-4075
E-mail: projinzai@saitama-j.or.jp

【補助制度、手続の進捗について】
埼玉県 産業労働部 雇用・人材戦略課
電話: 048-830-4516

公式サイトで最新の募集要領や様式をダウンロードすることも忘れないようにしましょう。
埼玉県公式ホームページはこちら