「キャリアアップしたいけど、最終学歴がネックになっている」「子どものためにも、もっと安定した仕事に就きたい」そんな悩みを抱えるひとり親家庭の皆さんを力強くサポートする制度が「高等学校卒業程度認定試験合格支援事業」です。この制度は、ひとり親家庭の親またはお子さんが、高卒認定試験(高認)に合格するための講座費用を国と自治体が助成してくれる、まさに学び直しのための心強い味方です。自治体によっては最大50万円もの給付が受けられる場合もあり、経済的な負担を大幅に軽減しながら、より良い条件での就職や転職への道を開くことができます。この記事では、制度の詳しい内容から、対象者、具体的な給付額、申請のステップ、そして注意点まで、どこよりも分かりやすく徹底的に解説します。あなたの未来を切り拓く第一歩を、この制度を活用して踏み出してみませんか?
この記事でわかること
- 高等学校卒業程度認定試験合格支援事業の全体像
- 誰が対象になるのか?(ひとり親家庭の親・子)
- いくらもらえる?国と自治体の給付額モデルケース
- 対象となる講座や費用について
- 申請から給付までの具体的な5つのステップ
- 申請前に必ずやるべきことと注意点
① 助成金の概要|ひとり親家庭の学び直しを国が支援
正式名称と実施組織
この制度の正式名称は「ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業」です。国の機関であるこども家庭庁が主体となり、実際の事業運営や申請受付は、皆さんがお住まいの都道府県、市、福祉事務所を設置している町村が行います。そのため、給付額や細かな要件、申請手続きが自治体によって異なる場合があるのが大きな特徴です。
目的・背景
この事業の目的は、ひとり親家庭の親またはお子さんが高等学校卒業程度の学力を身につける「学び直し」を支援することです。高卒認定試験に合格することで、より良い条件での就職や転職、正規雇用への道を開き、経済的な自立を促進することを目指しています。学歴がキャリアの選択肢を狭めていると感じている方々にとって、新たな可能性を広げるための重要な支援策と言えます。
② 助成金額・給付率|自治体で大きく異なる!最大50万円のケースも
給付額は、この制度を利用する上で最も気になるポイントでしょう。給付は「受講開始時」「受講修了時」「合格時」の3段階に分けて行われます。国の基準をベースにしつつ、自治体が独自に額を上乗せしている場合があるため、お住まいの地域の制度を確認することが非常に重要です。
【重要】給付額は自治体によって大きく異なります。以下の表はあくまで一例です。必ずご自身の自治体の担当窓口にご確認ください。
国の基準と主要都市の給付額比較(例)
| 自治体 | 講座形式 | 給付合計(上限) | 内訳(受講開始時/修了時/合格時) |
|---|---|---|---|
| 国の基準 | 通信制 | 15万円 | 受講費用の4割(上限10万)→5割(計12.5万)→1割(計15万) |
| 国の基準 | 通学制 | 30万円 | 受講費用の4割(上限20万)→5割(計25万)→1割(計30万) |
| 大阪市 | 通信制 | 25万円 | 受講費用の8割(上限20万)→9割(計22.5万)→1割(計25万) |
| 大阪市 | 通学制 | 50万円 | 受講費用の8割(上限40万)→9割(計45万)→1割(計50万) |
| 京都市 | 通学制 | 30万円 | 国の基準に準ずる |
| さいたま市 | 通学制 | 30万円 | 国の基準に準ずる |
このように、大阪市のように国の基準を大幅に上回る手厚い支援を行っている自治体もあります。通学制で50万円の講座を受講した場合、最大で50万円が給付される可能性があるということです。これは学び直しを考える上で非常に大きな後押しになります。
③ 対象者・条件|あなたが当てはまるかチェック!
この給付金を受けるためには、いくつかの要件をすべて満たす必要があります。ご自身が対象となるか、以下のリストで確認してみましょう。
- 対象者:お住まいの自治体に居住する、20歳未満の子を養育するひとり親家庭の親、またはその家庭の児童(年齢上限は自治体により異なる場合あり。例:大阪市は25歳未満)。
- 学歴要件:高等学校を卒業していない、または大学入学資格検定・高卒認定試験に合格していないなど、大学入学資格を取得していないこと。
- 支援プログラム要件:「母子・父子自立支援プログラム」の策定など、自治体の自立に向けた支援を受けていること。これが最も重要な要件の一つです。
- 必要性要件:これまでの就業経験やスキル、地域の労働市場の状況などから判断して、高卒認定試験に合格することが、安定した職業に就くために必要であると自治体に認められること。
- 過去の受給歴:過去にこの給付金(他の自治体での受給も含む)を受けたことがないこと。
補足:「母子・父子自立支援プログラム」とは?
これは、ひとり親家庭の親が自立した生活を送れるように、自治体の相談員(母子・父子自立支援員など)と一緒に個別の支援計画を作成するものです。生活状況や目標に合わせて、就業支援や子育て支援など、様々なサポートを組み合わせたプランを立てます。この給付金を利用するには、まずこのプログラムの策定を受けることが大前提となりますので、最初のステップとして自治体の窓口に相談することが不可欠です。
④ 補助対象経費|何に使えるお金なの?
対象となる経費
給付金の対象となるのは、高卒認定試験の合格を目指すために受講する講座の費用です。具体的には以下のものが含まれます。
- 入学金
- 受講料(授業料)
通信制講座、通学制講座、またはその両方を併用する講座など、自治体が適当と認めたものが対象となります。
対象とならない経費
一方で、以下のような費用は原則として対象外となりますので注意が必要です。
- 検定料(高卒認定試験の受験料)
- 教材費(受講料に含まれていない場合)
- 補講費
- 交通費
- パソコンなどの機材購入費
- 高等学校等就学支援金制度の対象となる講座の費用
⑤ 申請方法・手順|5つのステップで確実に給付を受けよう
この給付金は、講座の受講を開始する前の事前相談と手続きが必須です。後から申請することはできませんので、以下のステップをしっかり確認してください。
ステップ1:自治体の窓口で事前相談
まずは、お住まいの市区町村のひとり親家庭支援担当窓口(子育て支援課、保健福祉センターなど)へ連絡し、相談の予約を取ります。ここで、母子・父子自立支援員などの専門員と面談し、「母子・父子自立支援プログラム」を策定してもらう必要があります。この制度を利用したい旨を伝え、今後のキャリアプランなどを相談しましょう。
ステップ2:受講対象講座の指定申請【受講開始前】
受講したい講座が決まったら、実際に申し込みや支払いをする前に、その講座が給付金の対象となるかどうかの「指定申請」を自治体に行います。通常、受講開始日の1ヶ月前までには手続きが必要です。
【主な必要書類】
- 受講対象講座指定申請書
- 児童扶養手当証書の写し(または戸籍謄本、住民票など)
- 受講講座のパンフレットや案内書(費用やカリキュラムがわかるもの)
- 母子・父子自立支援プログラムの策定を証明する書類
ステップ3:給付金支給申請(受講開始時)
講座の指定が認められたら、講座に申し込み、受講料を支払います。そして、受講を開始した日から30日以内に「受講開始時給付金」の支給申請を行います。期限が短いので注意しましょう。
【主な必要書類】
- 給付金支給申請書
- 対象講座指定通知書の写し
- 受講料の領収書
- 受講施設の長が発行した受講開始証明書
ステップ4:給付金支給申請(受講修了時・合格時)
講座を無事に修了したら、修了日から30日以内に「受講修了時給付金」を申請します。さらに、受講修了日から2年以内に高卒認定試験の全科目に合格した場合、合格証書の日付から40日以内に「合格時給付金」を申請できます。
【主な必要書類】
- (修了時)受講施設の長が発行した受講修了証明書
- (合格時)文部科学省が発行する合格証書の写し
⑥ 支給を受けるための重要ポイント
この給付金は、要件を満たして正しく申請すれば支給される可能性が高い制度ですが、いくつか押さえておくべき重要なポイントがあります。
- 何よりもまず事前相談!:自己判断で講座に申し込むのは絶対にNGです。必ず受講開始前に自治体の窓口で相談し、手続きを進めてください。
- 自立への意欲を伝える:相談員との面談では、なぜ高卒認定が必要なのか、将来どんな仕事に就きたいのかなど、自立に向けた具体的な計画と意欲をしっかり伝えることが大切です。
- 申請期限は厳守:各給付金の申請には「〜日から30日以内」といった厳しい期限が設けられています。スケジュールをしっかり管理し、遅れないようにしましょう。
- 書類は不備なく準備:申請に必要な書類は多岐にわたります。事前にリストアップし、漏れや不備がないように丁寧に準備しましょう。
⑦ よくある質問(FAQ)
Q1. どこに相談すればいいですか?
A1. お住まいの市区町村の、ひとり親家庭支援を担当している部署(例:子育て支援課、こども家庭課、保健福祉センターなど)が窓口になります。まずは市役所や区役所の総合窓口に電話して「ひとり親家庭の高卒認定試験の支援金について相談したい」と伝えると、担当部署につないでもらえます。
Q2. 自分の住んでいる市町村で実施しているか確認する方法は?
A2. 最も確実なのは、Q1の担当窓口に直接問い合わせることです。また、自治体のウェブサイトで「ひとり親 高卒認定」などのキーワードで検索すると、関連ページが見つかる場合があります。
Q3. 講座の受講を始めてからでも申請できますか?
A3. いいえ、できません。この制度は、受講を開始する前に自治体から「講座の指定」を受けることが絶対条件です。受講開始後や支払い後の申請は一切認められませんので、必ず事前に相談してください。
Q4. 試験に不合格だった場合はどうなりますか?
A4. 講座をきちんと修了していれば、「受講開始時給付金」と「受講修了時給付金」は受け取ることができます。最後の「合格時給付金」のみが支給対象外となります。諦めずに再挑戦しましょう。
Q5. どんな講座でも対象になりますか?
A5. 高卒認定試験の合格を目的とする講座であれば、通信制・通学制を問わず幅広く対象となりますが、最終的には自治体が「適当である」と認める必要があります。ステップ2の「受講対象講座の指定申請」で、受講したい講座が対象になるかどうかの審査が行われます。
⑧ まとめ|未来への一歩を踏み出そう
「ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業」は、経済的な理由で学び直しを諦めていた方にとって、大きなチャンスとなる制度です。最後に、重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- 対象:大学入学資格のない、ひとり親家庭の親または子
- 給付額:国の基準で最大30万円、自治体によっては最大50万円のケースも!
- 手続き:必ず受講開始前に自治体へ事前相談し、「講座指定」を受けることが必須。
- 申請タイミング:「受講開始時」「修了時」「合格時」の3回。それぞれに期限あり。
- 最初のステップ:まずはお住まいの市区町村のひとり親支援担当窓口へ電話相談から!
高卒認定資格は、就職や転職の選択肢を広げるだけでなく、あなた自身の自信にも繋がります。この手厚い支援制度を最大限に活用し、ご自身の、そしてお子さんの未来のために、新たな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。まずは勇気を出して、お住まいの自治体の窓口に相談することから始めてみてください。