詳細情報
「飼い主である自分が入院・施設入所することになった」「突然亡くなってしまった」…そんな「もしもの時」、大切なペットの将来をどうすれば良いか悩んでいませんか?練馬区では、飼い主の死亡や病気など、真にやむを得ない事情で犬や猫を飼い続けられなくなった区民のために「ペット終生飼養相談・支援事業」を実施しています。これは、飼い主さんに代わって、区やボランティア、獣医師会が連携し、ペットが新しい家族と出会えるよう手助けをするセーフティネットです。この記事では、事業の対象条件や支援内容、相談方法について、誰にでも分かるように詳しく解説します。あなたが抱える不安を解消し、愛するペットの未来を守るための一歩を踏み出すための情報がここにあります。
【重要】この事業は最後のセーフティネットです
ペットを生涯にわたって飼い続けることは、飼い主の最も大切な責任です。この事業は、安易な飼育放棄を助長するものではありません。まずは、ご自身で「もしもの時」に備え、親族や友人に預け先を頼んでおく、ペット信託などを検討するなど、万全の準備をお願いします。その上で、どうしてもご自身や親族で対応できない場合の最後の砦として、この事業をご理解ください。
練馬区ペット終生飼養相談・支援事業とは?
事業の目的と背景
この事業は、飼い主が死亡、長期入院、施設への入所、重い病気や障がいなど、真にやむを得ない事情により、愛する犬や猫の飼育を続けることが困難になり、かつ、他に引き取り手を見つけることもできない状況に陥った場合に、行政と地域の専門家が連携して支援する制度です。飼い主の責任である「終生飼養」と「新たな飼い主探し」を社会全体で支え、行き場のないペットをなくすことを目的としています。
実施体制
この事業は、練馬区単独で行うものではありません。以下の3者が連携して、専門的な知見を活かしながら支援を行います。
- 練馬区(健康部 生活衛生課):事業全体の窓口となり、相談受付や対象条件の審査、関係機関との調整を行います。
- 練馬区ペット終生飼養相談・支援ボランティアグループ:豊富な経験を持つ動物保護団体が、ペットの一時保護やケア、新しい飼い主探しのための譲渡活動を担います。
- 練馬区獣医師会:保護されたペットの健康チェックや必要な治療など、獣医療の面からサポートします。
支援内容(金銭的支援ではありません)
この事業は、飼育費用などを補助する金銭的な助成金ではありません。あくまで、飼い主さんに代わって新しい家族を見つけるための「活動」を支援するものです。経済的な理由による飼育困難は対象外となりますのでご注意ください。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 支援内容 | ・飼育困難に関する専門的な相談対応 ・区、ボランティア、獣医師会による連携した保護活動 ・新しい飼い主が見つかるまでの一時的な保護・飼養管理 ・譲渡に必要な健康診断や治療などの獣医療 ・新しい飼い主を探すための譲渡活動 |
| 対象外となるケース | ・経済的理由による飼育費用の支援や引き取り ・引っ越し(ペット不可物件への転居など)による引き取り ・飼い主の短期入院や旅行など、一時的な預かり ・問題行動(噛み癖、無駄吠えなど)を理由とする引き取り |
事業の対象となるための4つの条件
この支援を受けるためには、以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。条件は厳格に審査されますので、ご自身の状況が当てはまるかよく確認してください。
条件1:対象者とペット
飼い主が練馬区民であり、その方が練馬区内で飼育している犬または猫である必要があります。
※ウサギや鳥、爬虫類など、犬猫以外の動物は対象外です。
条件2:真にやむを得ない事情
飼い主が以下の様な、自力では解決困難な事情により、飼育の継続も新しい飼い主探しもできない状況であることが必要です。
- 飼い主の死亡
- 飼い主の施設入所(介護施設、養護施設など)
- 飼い主の重篤な病気や長期入院
- 飼い主の重度の肢体不自由
- 飼い主の認知症など、判断能力の低下
条件3:身寄りがいない、または親族も飼育できない
原則として、飼い主に配偶者および一親等(親、子)の親族がいないことが条件です。もし親族がいる場合でも、その親族自身も高齢や病気など、元の飼い主と同程度のやむを得ない事情で、ペットの引き取りや新しい飼い主探しができない場合に限り、対象となる可能性があります。
相続放棄をしても責任は残ります
「飼い主が亡くなり、相続放棄をするからペットも引き取ってほしい」という相談は事業対象外です。ペットは法律上「物」として扱われますが、命ある存在です。相続放棄をしたとしても、親族にはペットの命を守り、新たな飼い主を探す社会的・道義的責任があります。
条件4:ペットの所有権放棄
区が保護し、新しい飼い主への譲渡活動を行うためには、現在の飼い主(またはその代理人)がペットの所有権を放棄することに同意する必要があります。もちろん、放棄にあたっては現所有者の意向を最大限尊重し、丁寧な手続きが行われます。
相談から支援までの流れ
実際に支援を希望する場合、どのような手順で進むのかをステップごとに解説します。
- ステップ1:電話での事前相談
まずは、下記の担当窓口に電話で相談してください。現在の状況(飼い主とペットの状況、飼えなくなった理由など)を詳しく伝えます。 - ステップ2:ヒアリングと状況確認
区の担当者が、相談内容をもとに詳しい状況をヒアリングします。必要に応じて、関係者(親族、ケアマネージャー、民生委員など)への確認や家庭訪問が行われる場合もあります。 - ステップ3:対象条件の審査
ヒアリング内容に基づき、事業の対象となるかどうかの審査が行われます。前述の4つの条件をすべて満たしているか、慎重に判断されます。 - ステップ4:支援決定と手続き
事業対象と決定された場合、今後の支援内容について説明があります。所有権放棄に関する書類の取り交わしなど、必要な手続きを行います。 - ステップ5:連携による支援開始
手続き完了後、ペットはボランティア団体によって保護されます。その後、獣医師会による健康チェックやケアを受けながら、新しい飼い主を探すための譲渡活動が開始されます。
相談窓口
- 担当部署:練馬区 健康部 生活衛生課 管理係
- 電話番号:03-5984-2483(直通)
- FAX番号:03-5984-1211
支援対象となるためのポイント
この事業は誰でも利用できるわけではありません。支援対象となるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
- 客観的な証明:飼育困難の理由が「真にやむを得ない」ことを客観的に示すことが重要です。例えば、医師の診断書や施設への入所証明書などがあると、状況が伝わりやすくなります。
- 他に頼る手段がないこと:親族や知人など、他に頼れる人が本当にいない状況であることを具体的に説明する必要があります。親族がいる場合は、なぜその人が飼育できないのか、その理由も明確に伝えることが求められます。
- 早めの相談:状況が深刻化する前に、まずは電話で相談することが大切です。どうしようもなくなってからではなく、「このままだと飼えなくなるかもしれない」という段階で相談することで、他の解決策が見つかる可能性もあります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 経済的に苦しくてペットフードも買えません。対象になりますか?
A1. 残念ながら事業対象外です。この事業は経済的困窮による飼育困難を支援するものではありません。飼い主様の責任において、新たな飼い主を探していただくことになります。
Q2. 飼い主が認知症で施設に入所します。身寄りが全くありません。対象になりますか?
A2. 事業対象となる可能性が高いケースです。飼い主様ご自身で新しい飼い主探しができず、他に頼れる親族もいないという状況は、本事業が想定している典型的な事例です。まずは速やかに担当窓口へご相談ください。
Q3. 飼い主が入院することになりました。1ヶ月ほど預かってもらえますか?
A3. 事業対象外です。この事業は、飼い主が将来的に飼育を再開できる見込みのある「一時預かり」は行っていません。ペットホテルや知人・親族に預けるなどのご対応をお願いします。
Q4. 相談や支援に費用はかかりますか?
A4. 練馬区への相談は無料です。事業対象となった場合の費用負担については、個別のケースによりますので、相談時にご確認ください。基本的には、区やボランティアの活動として行われます。
Q5. 練馬区に住んでいますが、ペットは実家(区外)にいます。対象になりますか?
A5. 事業対象外です。この事業は、練馬区民が「練馬区内で」飼育している犬猫が対象となります。
まとめ:大切なペットのために、まずは「備え」と「早めの相談」を
練馬区のペット終生飼養相談・支援事業は、万が一の事態に陥った飼い主とペットにとって、非常に心強いセーフティネットです。しかし、最も大切なのは、この事業の対象とならないように、飼い主自身が元気なうちから備えておくことです。
飼い主ができる「もしもの備え」
- 信頼できる親族や友人に、万が一の際のペットの引き取りを正式にお願いしておく。
- ペットの情報(かかりつけ医、持病、性格、好きなものなど)をまとめたエンディングノートならぬ「ペットノート」を作成しておく。
- 弁護士や行政書士に相談し、ペット後見やペット信託といった法的な仕組みを活用する。
- 地域の動物保護団体や譲渡会に足を運び、情報収集をしておく。
これらの備えをした上で、それでもなお困難な状況に直面してしまった場合は、決して一人で抱え込まないでください。練馬区の支援事業は、そんなあなたとペットのためにあります。少しでも不安を感じたら、まずは勇気を出して生活衛生課に電話で相談してみましょう。それが、あなたの大切な家族であるペットの未来を守るための、確実な一歩となります。