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【2024年】養育費保証促進補助金とは?ひとり親家庭向け最大5万円の保証料補助を徹底解説

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「養育費がきちんと支払われるか不安…」「もし未払いになったらどうしよう…」ひとり親家庭にとって、養育費は子どもの健やかな成長を支えるための大切な lifeline です。しかし、残念ながら養育費の未払いは深刻な問題となっています。そんな不安を解消する一つの方法が、民間の「養育費保証サービス」です。このサービスを利用する際の初期費用(保証料)を、お住まいの自治体が補助してくれる制度が「養育費保証促進補助金」です。この制度を活用すれば、最大5万円の補助を受けながら、万が一の養育費未払いに備えることができます。この記事では、全国の自治体で導入が進む「養育費保証促進補助金」について、対象者や条件、申請方法から採択のポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。あなたの家庭の経済的な安定と、お子様の未来のために、ぜひ最後までお読みください。

この記事のポイント

  • 養育費保証サービスの初回保証料が最大5万円補助される制度
  • 対象は、自治体在住のひとり親家庭で、所得などの要件を満たす方
  • 申請には「債務名義」(公正証書など)が必要
  • お住まいの自治体によって制度の有無や詳細が異なるため事前の確認が必須

① 養育費保証促進補助金の概要

まずは、この補助金がどのような制度なのか、全体像を掴みましょう。

制度の目的と背景

養育費保証促進補助金は、ひとり親家庭の親が、養育費の未払いが発生した場合に保証会社が立て替えや督促を行う「養育費保証サービス」を利用しやすくすることを目的としています。保証契約を結ぶ際の初期費用(初回保証料)を自治体が補助することで、養育費の継続的な受け取りを促進し、ひとり親家庭の経済的な安定と、子どもの健全な育成環境を守ることを目指しています。

実施組織

この補助金は、国が主導する制度ではなく、各地方自治体(市区町村)が独自に実施しています。そのため、制度の有無、補助額、申請条件、申請期間などの詳細は、お住まいの自治体によって異なります。この記事では一般的な内容を解説しますが、申請を検討する際は、必ずご自身の自治体の担当窓口(子育て支援課など)にご確認ください。

② 補助金額・補助率

この制度で最も気になるのが、いくら補助されるのかという点でしょう。具体的な金額と計算方法について解説します。

補助額と補助率

多くの自治体で、補助額は上限50,000円と設定されています。補助率は、対象経費(初回保証料)の全額です。つまり、保証会社に支払った初回保証料が5万円以内であれば、その全額が補助されることになります。

注意点:一部の自治体(例:さいたま市、戸田市など)では、補助額の決定方法が少し複雑です。具体的には、以下の3つを比較し、最も少ない額が補助上限となります。
1. 実際に支払った保証料
2. 月額の養育費
3. 50,000円

補助額の計算例

具体的な計算例を見てみましょう。

ケース 支払った保証料 月額養育費 補助額(一般的な自治体) 補助額(比較方式の自治体)
A 40,000円 60,000円 40,000円 40,000円
B 60,000円 70,000円 50,000円(上限) 50,000円(上限)
C 45,000円 30,000円 45,000円 30,000円(月額養育費が最少)

③ 対象者・条件

この補助金は、誰でも利用できるわけではありません。自治体ごとに定められた要件をすべて満たす必要があります。ここでは、多くの自治体で共通する主な要件をチェックリスト形式でご紹介します。

  • □ 居住要件:申請先の自治体に住民登録があり、実際に居住しているひとり親家庭の親であること。
  • □ 所得要件:児童扶養手当の支給を受けている、または同等の所得水準にあること。(所得制限の基準は自治体にご確認ください)
  • □ 債務名義要件:養育費の取り決めに関する「債務名義」を有していること。
  • □ 扶養要件:養育費の取り決めの対象となる児童(多くは20歳未満)を現に扶養していること。
  • □ 契約要件:民間の保証会社と1年以上の養育費保証契約を締結していること。
  • □ 受給歴要件:過去に同様の趣旨の補助金(自治体名が異なっても)の交付を受けていないこと。

【重要】債務名義とは?

債務名義とは、強制執行によって実現されることが予定される請求権(この場合は養育費)の存在を証明する公的な文書のことです。口約束や夫婦間で作成した合意書だけでは債務名義にならず、補助金の対象外となります。具体的には、以下のものが該当します。
強制執行認諾文言付の公正証書
調停調書
審判書
確定判決 など
まだ債務名義を取得していない方は、別途、公正証書作成などを支援する補助金制度がある自治体も多いので、併せて確認してみましょう。

④ 補助対象経費

補助の対象となる経費は明確に定められています。対象外の費用を申請しないよう、しっかり確認しましょう。

対象となる経費

  • 養育費保証契約を締結する際に要する費用のうち、保証料として本人が負担する費用(初回保証料)

対象とならない経費

  • 事務手数料
  • 月額の保証料や管理費
  • 契約更新料
  • 振込手数料
  • その他、初回保証料以外の費用

⑤ 申請方法・手順

補助金を受け取るまでの一般的な流れと、必要書類について解説します。手続きをスムーズに進めるために、事前に全体像を把握しておきましょう。

申請のステップ

ステップ1:事前相談(推奨)
まずはお住まいの市区町村の担当窓口(子育て支援課、こども家庭センターなど)に連絡し、制度の対象になるか、どのような書類が必要かなどを相談しましょう。

ステップ2:養育費保証会社との契約
ご自身で養育費保証会社を選び、1年以上の保証契約を締結します。そして、初回保証料を支払います。このとき、必ず領収書契約書を受け取り、大切に保管してください。

ステップ3:必要書類の準備
下記の「必要書類リスト」を参考に、必要な書類をすべて揃えます。取得に時間がかかる書類(戸籍謄本など)もあるため、早めに準備を始めましょう。

ステップ4:申請書の提出
自治体の窓口、郵送、またはオンライン(さいたま市など一部自治体)で申請書と添付書類を提出します。申請期限は自治体によって大きく異なるため、厳守してください。

申請期限の例(契約締結日から)
・相模原市:翌日から90日以内
・さいたま市、戸田市:翌日から6か月以内
・平塚市:1年以内
※必ずご自身の自治体の期限を確認してください。

ステップ5:審査・交付決定
提出された書類をもとに自治体が審査を行います。審査が通ると「交付決定通知書」が送られてきます。

ステップ6:補助金の請求・受領
交付決定通知書を受け取ったら、「請求書」を提出します。その後、指定した口座に補助金が振り込まれます。

必要書類リスト(一般的な例)

※自治体によって異なりますので、必ず事前に確認してください。

  • 養育費保証促進補助金交付申請書:自治体の窓口やウェブサイトで入手します。
  • 児童扶養手当証書の写し:受給していない場合は、所得証明書などが必要になります。
  • 本人及び対象児童の戸籍謄本又は抄本:ひとり親であることが証明できるもの。
  • 世帯全員の住民票の写し
  • 申請者の所得証明書:児童扶養手当を受給していない場合など。
  • 養育費の取決めを交わした文書(債務名義)の写し:公正証書や調停調書など。
  • 保証会社と締結した養育費保証契約書の写し:保証期間が1年以上のものであることがわかるもの。
  • 対象経費(初回保証料)の領収書の写し:宛名、領収日、金額、但し書き、発行者情報が明記されているもの。
  • 振込先口座がわかるものの写し:請求時に必要。

⑥ 採択のポイント

この補助金は、事業計画を競うコンペ形式のものではなく、定められた要件を満たしていれば原則として交付される「要件審査型」です。したがって、採択率を心配するよりも、いかに不備なく申請を完了させるかが重要になります。

申請書作成のコツ

  • 正確に記入する:申請書に記入漏れや間違いがないように、何度も確認しましょう。
  • 書類を完璧に揃える:必要書類リストを確認し、一つも漏れがないように準備します。写しで良いもの、原本が必要なものを間違えないようにしましょう。
  • 期限を厳守する:申請期限は絶対です。余裕を持ったスケジュールで準備を進めましょう。
  • 不明点は必ず質問する:少しでも分からないことがあれば、自己判断せずに必ず自治体の担当窓口に電話などで問い合わせましょう。

よくある不採択理由

  • 申請期限を過ぎてしまった。
  • 必要書類が不足している、または内容に不備がある。
  • 所得が要件(所得制限)を超えている。
  • 養育費の取り決めが口約束などで、「債務名義」になっていない。
  • 契約した保証契約の期間が1年未満だった。
  • 補助金の対象外の経費(事務手数料など)を申請してしまった。

⑦ よくある質問(FAQ)

ここでは、養育費保証促進補助金に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q1. 債務名義がありませんが、申請できますか?

A1. いいえ、できません。この補助金は、債務名義を有していることが必須条件です。まだお持ちでない場合は、まず公正証書の作成や調停の申し立てを行い、債務名義を取得する必要があります。自治体によっては、そのための費用を補助する別の制度(公正証書等作成促進補助金)がある場合があります。

Q2. どの保証会社と契約すればよいですか?

A2. 自治体が特定の保証会社を指定することはありません。ご自身で複数の会社を比較検討し、サービス内容や保証料に納得できる会社を選んで契約してください。インターネットで「養育費保証会社」と検索すると、複数の会社が見つかります。

Q3. 契約してから時間が経ってしまいましたが、申請できますか?

A3. 申請期限内であれば可能です。申請期限は自治体によって「契約日の翌日から90日以内」「6か月以内」「1年以内」など様々です。ご自身の契約日と、お住まいの自治体の申請期限を確認してください。期限を過ぎてしまうと申請できなくなるため、契約後は速やかに手続きを進めることをお勧めします。

Q4. 児童扶養手当を受給していませんが、対象になりますか?

A4. 対象になる可能性があります。多くの自治体で「児童扶養手当の支給を受けているか、または同等の所得水準にあること」が要件となっています。ご自身の所得が基準内であれば対象となりますので、所得証明書などを提出して審査を受けることになります。所得基準については、自治体の担当窓口にお問い合わせください。

Q5. 引っ越した場合、申請先はどこになりますか?

A5. 申請は、申請時点で住民登録をしている自治体に対して行います。例えば、保証契約をした時はA市に住んでいて、申請する時にB市に引っ越した場合は、B市に申請することになります。ただし、B市が同様の補助金制度を実施していることが前提となります。

⑧ まとめ・次の一歩

今回は、ひとり親家庭の経済的安定を支える「養育費保証促進補助金」について詳しく解説しました。

重要ポイントの再確認

  • 目的:養育費保証サービスの利用を促進し、養育費の継続的な履行を確保する。
  • 補助額:初回保証料の全額、上限5万円が一般的。
  • 必須条件:自治体在住、所得要件、そして「債務名義」の保有。
  • 注意点:自治体ごとに制度の有無や詳細が異なるため、事前の確認が不可欠。

養育費の未払いは、子どもの生活や将来に直接影響を与えかねない大きな問題です。この補助金制度は、万が一の事態に備えるためのセーフティネットを、少ない自己負担で構築できる非常に有益な制度です。

あなたの次の一歩は、まずご自身がお住まいの市区町村でこの制度が実施されているかを確認することです。自治体のウェブサイトで「(市区町村名) 養育費保証促進補助金」と検索するか、子育て支援の担当課に直接電話で問い合わせてみましょう。この一歩が、あなたとお子様の安心な未来につながるかもしれません。