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【2024年版】お試しサテライトオフィス補助金|最大1000万円!都市部企業の地方テレワーク費用を国が支援

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「地方にサテライトオフィスを設置したいが、いきなり本格的な進出はリスクが高い…」「まずは短期間、地方でテレワークを試してみたいが、コストが気になる」そんなお悩みをお持ちの都市部企業の経営者様・ご担当者様へ。総務省が推進する「お試しサテライトオフィス」制度は、そんな課題を解決するための強力な一手です。この制度は、地方自治体が都市部企業のお試し勤務を受け入れる際の経費を国が支援するもの。これにより、企業はオフィス賃料や交通費などの補助を受けながら、低リスクで地方でのワーケーションやサテライトオフィス開設のシミュレーションが可能になります。本記事では、この魅力的な制度の全貌と活用方法を、どこよりも分かりやすく徹底解説します。

この記事のポイント

  • 総務省が地方自治体を支援し、都市部企業の「お試し勤務」を促進する制度
  • 自治体あたり最大1,000万円の経費が支援対象となり、企業はその恩恵を受けられる
  • オフィス賃料、交通費、通信費など幅広い経費が補助対象になる可能性
  • 三大都市圏に本社を置く企業が、地方でのサテライトオフィス開設を検討する際に活用可能
  • 申請は国へ直接ではなく、支援制度を設けている「受入自治体」へ行う

1. 「お試しサテライトオフィス」制度の概要

制度の目的と仕組み

「お試しサテライトオフィス」制度は、企業が直接国から補助金を受け取るものではありません。その仕組みは、総務省が「受入自治体」を財政的に支援し、その自治体が都市部企業に対してお試し勤務の機会や補助を提供する、というものです。これにより、都市部から地方への新しい人の流れを創出し、地方の活性化、雇用創出、移住定住の促進を目指しています。

企業にとっては、自治体が用意したオフィス環境や支援メニューを活用できるため、自社単独で地方進出を模索するよりもはるかに低いコストとリスクで、サテライトオフィス設置の可能性を具体的に検討できるという大きなメリットがあります。

項目 内容
正式名称 お試しサテライトオフィス推進事業
実施組織 総務省
目的 都市部企業の地方へのサテライトオフィス開設を促進し、都市部から地方への新たなヒト・情報の流れを創出する。
支援の形 総務省が受入自治体に対し、特別交付税措置を講じる。企業は自治体が設けた支援制度を利用する。

2. 支援金額・補助率

この制度における支援額は、まず総務省から自治体への支援内容を理解することが重要です。その上で、企業がどのような恩恵を受けられるのかを見ていきましょう。

総務省から自治体への支援内容

総務省は、お試しサテライトオフィスに取り組む受入自治体に対し、以下の計算方法で特別交付税措置を講じます。

  • 支援額:対象経費の合計額または1,000万円のいずれか低い額 × 0.5
  • 支援期間:1団体あたり最大2年間

つまり、自治体は最大で1,000万円の事業費の半額(500万円)を国から支援してもらえることになります。この財源をもとに、各自治体が独自の補助金や支援サービスを設計し、企業に提供するのです。

企業が受けられる支援の具体例

企業が受けられる支援内容は自治体によって様々です。ここでは、長崎県島原市の「島原でしてみんねテレワーク支援補助金」を例に見てみましょう。

【具体例】長崎県島原市のケース
三大都市圏から島原市に滞在してテレワーク体験やサテライトオフィス視察を行う企業・個人に対し、交通費の一部を補助しています。

  • 補助対象経費:居住地と長崎空港間の往復航空運賃
  • 補助額:実費額(上限:1人あたり片道20,000円、往復40,000円)
  • 対象者:三大都市圏在住で市内に1泊以上滞在しテレワーク体験をする者、または三大都市圏に本社を置くIT関連企業等で視察を行う者

このように、企業は航空券代という直接的な金銭支援を受けることができます。他の自治体では、滞在費の補助、コワーキングスペースの無料利用、地元企業とのマッチング支援など、多岐にわたるサポートが提供されています。

3. 対象者・条件

この制度を利用するためには、「都市部企業」と「受入自治体」のそれぞれに定められた要件を満たす必要があります。

対象となる「都市部企業等」

支援の対象となるのは、以下の条件を満たす企業や個人事業主です。

  • 所在地の要件:本店または主たる事務所が三大都市圏内にあること。
    ※三大都市圏:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県
  • 目的の要件:地方でのサテライトオフィスの開設を真剣に検討していること。
  • 期間の要件:お試し勤務の期間が、おおむね3日以上であること。
  • 協力義務:受入自治体が実施するアンケート調査等に協力し、サテライトオフィス開設にあたっての具体的なニーズ等の情報を提供すること。
  • その他:一般社団法人、一般財団法人、個人事業主等も対象となる場合があります(自治体の判断による)。

対象となる「受入自治体」

企業を受け入れる自治体側にも条件があります。企業側は、進出を検討している地域が以下の条件を満たしているかを確認すると良いでしょう。

  • 都道府県または市町村であること。
  • 区域の全部が、首都圏整備法で定める「既成市街地」「近郊整備地帯」などの大都市圏に含まれていないこと。
  • 都市部企業のお試し勤務の受入れを通じて、サテライトオフィスの誘致に積極的に取り組んでいること。

4. 補助対象経費

総務省が自治体に対して支援する経費は多岐にわたります。これらが、企業が受ける補助金の原資となります。具体的にどのような経費が対象となりうるのかを把握しておくことで、自治体との交渉や相談がスムーズに進みます。

分類 経費の例
誘引に要する経費 都市部でのPR費、特設サイト構築・運営費、雑誌への記事掲載費、企業訪問のための職員旅費、ニーズ調査費など
環境用意に要する経費 お試し勤務オフィスの賃料、事務機器・事務用品のレンタル・購入費、備品の修繕費、サテライトオフィス適地調査費など
期間中の活動経費 通信費、光熱水費お試し勤務を行う社員の交通費、車両のレンタル・燃料費、ビジネスマッチングイベントの開催費など

注意点:対象外となる経費
都市部企業がサテライトオフィスを開設することを正式に決定した後の支援費用は、この制度の対象外となります。あくまで「お試し」段階の支援である点に注意が必要です。

5. 申請方法・手順

企業がこの制度を活用するための一般的な流れは以下の通りです。申請先は国ではなく、各自治体となりますのでご注意ください。

  1. Step 1: 受入自治体を探す
    総務省の関連サイトや各自治体のウェブサイトで、「お試しサテライトオフィス」や「テレワーク推進補助金」などのキーワードで検索し、本制度を活用している自治体を探します。
  2. Step 2: 制度内容の確認と事前相談
    興味のある自治体が見つかったら、担当部署に連絡を取り、支援内容の詳細、申請要件、スケジュールなどを確認します。事前相談が必須の場合も多いです。
  3. Step 3: 申請書類の準備・提出
    自治体の定める様式に従い、申請書や事業計画書を作成します。サテライトオフィス開設への熱意や、地域とどのように連携していきたいかを具体的に記述することが重要です。
  4. Step 4: 審査・交付決定
    自治体による審査が行われ、採択されると交付決定通知が届きます。
  5. Step 5: お試し勤務の実施
    計画に沿って、地方でのお試し勤務を実施します。期間中は、自治体が開催する交流会に参加したり、アンケートに協力したりします。
  6. Step 6: 実績報告と補助金の請求
    お試し勤務終了後、自治体に実績報告書と経費の証憑(領収書など)を提出します。内容が承認されると、補助金額が確定し、請求手続きに進みます。

6. 採択のポイント

自治体から選ばれるためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。単なるコスト削減目的ではなく、地域との共存共栄を目指す姿勢が重要です。

① サテライトオフィス開設への本気度

「お試し」ではありますが、その先にある本格的なサテライトオフィス開設への具体的なビジョンや計画を示すことが不可欠です。なぜその地域を選んだのか、どのような事業を展開したいのか、将来的な展望などを明確に伝えましょう。

② 地域経済への貢献意欲

自治体は、地域に良い影響を与えてくれる企業を求めています。地元人材の雇用計画、地元企業との連携(協業や発注)、地域の課題解決に繋がる事業提案など、地域への貢献意欲をアピールすることが採択率を高める鍵となります。

③ 自治体との積極的なコミュニケーション

申請前の段階から自治体の担当者と密にコミュニケーションを取り、良好な関係を築くことも重要です。企業のニーズを伝え、自治体側の期待を理解することで、双方にとってメリットのある計画を立てることができます。

よくある不採択理由
・目的が「ワーケーション」に留まり、事業性が感じられない。
・事業計画が曖昧で、具体性に欠ける。
・地域との連携や貢献に対する視点が欠けている。
・自治体の求める条件や趣旨を理解していない。

7. よくある質問(FAQ)

Q1. どんな企業でも対象になりますか?

A1. 本店または主たる事務所が三大都市圏(埼玉、千葉、東京、神奈川、岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、奈良)にあり、地方でのサテライトオフィス開設を検討している企業が対象です。業種に特定の縛りはありませんが、IT関連企業などが親和性が高い傾向にあります。

Q2. 個人事業主でも利用できますか?

A2. 総務省の要綱では「地域の実情に応じて対象とすることとして差し支えない」とされており、自治体の判断によります。個人事業主やフリーランスを対象としている自治体もありますので、直接お問い合わせください。

Q3. 支援を受けられる自治体はどこで探せますか?

A3. 総務省が過去に特設サイトを設けていたほか、各自治体が自身のウェブサイトで情報を公開しています。「〇〇県 サテライトオフィス 補助金」「〇〇市 テレワーク 支援」といったキーワードで検索することをおすすめします。

Q4. 交通費や宿泊費も対象になりますか?

A4. 対象になる可能性は高いです。総務省の要綱でも「お試し勤務を行う都市部の企業等の交通費」が対象経費の例として挙げられています。ただし、最終的な補助対象や金額は各自治体の制度によりますので、必ず事前に確認してください。

Q5. 「お試し」の期間はどのくらいですか?

A5. 要綱では「おおむね3日以上」とされています。数日から1ヶ月程度のお試し期間を設けている自治体が多いようです。具体的な期間は、自治体の制度や企業の計画によって調整可能です。

8. まとめ

総務省の「お試しサテライトオフィス」制度は、地方への進出を検討する都市部企業にとって、非常に価値のある支援策です。直接的な補助金ではありませんが、自治体を通じてオフィス環境や経費補助といった実質的なメリットを享受できます。

  • メリット:低コスト・低リスクで地方での事業展開の可能性を探れる。
  • 対象:三大都市圏に本社を置く、サテライトオフィス開設を検討中の企業。
  • アクション:まずは進出を検討している地域の自治体に、同様の支援制度がないか問い合わせてみましょう。

働き方の多様化が進む今、地方に拠点を設けることは、優秀な人材の確保、事業継続計画(BCP)対策、新たなビジネスチャンスの創出など、多くの経営メリットに繋がります。この制度を賢く活用し、貴社の新たな成長への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。