初級

【2025年】ひとり親家庭等日常生活支援事業とは?家事・育児ヘルパーの利用料金や申請方法を解説

0回閲覧

「急な病気で子どもの世話ができない…」「就職活動や残業で、家事まで手が回らない…」
ひとり親家庭で頑張るあなたには、そんな悩みを抱える瞬間があるかもしれません。そんな「困った!」の時に、心強い味方となってくれるのが「ひとり親家庭等日常生活支援事業」です。この制度は、ひとり親家庭や寡婦の方が、一時的に家事や育児のサポートが必要になった際に、お住まいの自治体から家庭生活支援員(ヘルパー)を派遣してもらえる公的なサービスです。所得によっては無料で利用できる場合もあり、多くのひとり親家庭の生活を支えています。この記事では、制度の詳しい内容から、具体的な利用料金、申請方法、そして利用する上でのポイントまで、どこよりも分かりやすく徹底的に解説します。

この制度の3つのポイント

  • 家事や育児をサポート:掃除、買い物、食事の世話から子どもの保育まで幅広く対応。
  • 格安な利用料金:所得に応じて料金が設定されており、住民税非課税世帯などは無料で利用できる場合も。
  • 全国の自治体で実施:国の制度として、多くの市区町村で利用可能(※未実施の自治体もあり)。

① ひとり親家庭等日常生活支援事業の概要

まずは、この制度がどのようなものなのか、全体像を掴んでいきましょう。

正式名称と実施組織

この制度の正式名称は「ひとり親家庭等日常生活支援事業」です。国のこども家庭庁が制度を所管し、実際の事業運営は各都道府県や市区町村が行っています。そのため、利用料金やサービスの詳細、申請窓口はお住まいの自治体によって異なります。

目的・背景

この事業の目的は、ひとり親家庭や寡婦の方が、仕事と子育てを両立する中で直面する様々な困難に対し、一時的なサポートを提供することで生活の安定と自立の促進を図ることにあります。保護者の病気や残業、あるいはスキルアップのための通学など、やむを得ない事情で日常生活に支障が出た際に、地域社会全体で支える仕組みです。

② 利用料金について

この事業は補助金や助成金のように現金が支給されるものではなく、サービス(ヘルパー派遣)を格安で利用できる制度です。気になる利用料金は、世帯の所得状況によって大きく異なります。

所得に応じた料金体系

多くの自治体では、以下のような区分で料金が設定されています。

  • 生活保護世帯:無料
  • 住民税非課税世帯:無料
  • 児童扶養手当支給水準の世帯:低額な自己負担あり
  • 上記以外の世帯(課税世帯):自己負担あり

課税世帯であっても、民間の家事代行サービスやベビーシッターに比べて非常に安価に設定されているのが特徴です。

【具体例】大阪市の利用料金(1時間あたり)

参考として、大阪市の料金体系を見てみましょう。サービス内容によって料金が異なります。

利用世帯の区分 子育て支援 生活援助
A 生活保護世帯 0円 0円
B 市民税非課税世帯 0円 0円
C 児童扶養手当支給水準の世帯 70円 150円
D 上記以外の世帯 150円 300円

重要:上記はあくまで一例です。料金体系は自治体によって異なりますので、必ずお住まいの市区町村にご確認ください。

③ 対象者と利用できる条件

この制度を利用できるのはどのような人なのでしょうか。対象者と、利用できる具体的な状況(派遣事由)について詳しく見ていきましょう。

対象となる方

基本的には、お住まいの自治体に住所を有する以下の世帯が対象です。

  • 母子家庭・父子家庭:20歳未満の子どもを扶養しているひとり親家庭。離婚調停中や、事実婚の解消などでも対象となる場合があります。
  • 寡婦:かつて母子家庭の母であった方で、現在も配偶者がいない方。
  • 離婚前から支援が必要な方:自治体によっては、離婚前からDV被害などで実質的にひとり親状態にある方も対象となる場合があります。

利用できる具体的な状況(派遣事由)

このサービスは、「一時的に」日常生活を営むのに支障が出た場合に利用できます。恒常的・長期的な利用は原則として対象外です。具体的には、以下のような理由が挙げられます。

  • 自立促進に必要な事由:技能習得のための通学、就職活動など。
  • 社会的な事由:保護者の疾病、出産、家族の看護、事故、災害、冠婚葬祭、出張、残業、学校等の公的行事への参加など。
  • 生活環境の激変:離婚直後などで、心身ともに大きな支障が生じている場合。
  • その他:子どもの保護者の帰宅時間が遅くなる場合に、定期的な見守りが必要な場合など(自治体による)。

④ 利用できるサービス内容

派遣された家庭生活支援員は、具体的にどのようなことを手伝ってくれるのでしょうか。サービスは大きく「生活援助」と「子育て支援」の2つに分かれます。

お手伝いできること(対象サービス)

  • 乳幼児の保育:食事の世話、身の回りの世話、見守りなど。
  • 食事の世話:簡単な食事の準備や後片付け。
  • 住居の掃除:日常的な範囲での掃除や整理整頓。
  • 身の回りの世話:着替えの手伝いなど。
  • 生活必需品等の買い物:近隣での日常的な買い物。
  • 医療機関等との連絡:緊急時の連絡など。
  • その他:保育園や学童への送迎など、自治体が認める必要な用務。

お手伝いできないこと(対象外サービス)

一方で、以下のような専門的なサービスや日常の範囲を超える家事は対象外となることが一般的です。

  • 大掃除、庭の草むしり、換気扇の掃除など日常的でない家事
  • 保護者の仕事の手伝い
  • 子どもの学習指導や習い事への送迎
  • 感染症にかかっている子どもの世話(自治体による)
  • 子どもの安全が確保できない用務(例:乳幼児を見ながらの調理など)

⑤ 申請方法・利用までの流れ

このサービスを利用するには、事前の利用者登録が必要です。「いざという時」にスムーズに使えるよう、あらかじめ登録を済ませておくことを強くお勧めします。

Step 1:利用者登録(事前申請)

まず、お住まいの市区町村の担当窓口(子育て支援課、福祉課など)で利用者登録を行います。登録には1〜2週間程度かかる場合があるため、余裕を持って手続きしましょう。

  1. 窓口で相談:お住まいの市区町村の担当窓口に行き、事業を利用したい旨を伝えます。
  2. 申請書類の提出:必要書類を揃えて提出します。
  3. 審査・決定:自治体が審査を行い、利用が決定すると「決定通知書」などが届きます。

Step 2:派遣の依頼

利用者登録が完了したら、実際にサポートが必要になった際に派遣を依頼します。依頼先は、自治体から委託を受けた社会福祉法人(母子寡婦福祉連合会など)であることが多いです。

  1. 派遣依頼の連絡:指定された依頼先に電話などで連絡し、利用したい日時、内容、理由などを伝えます。利用希望日の7日前など、早めの連絡が推奨されます。
  2. 支援員の調整:依頼先が、対応可能な家庭生活支援員を探して調整します。
  3. サービスの利用:決定した日時に支援員が訪問し、サービスが提供されます。

必要書類の例

事前登録の際に必要となる書類は、主に以下の通りです。自治体によって異なるため、必ず事前に確認してください。

  • 利用者登録申請書(窓口で配布)
  • ひとり親家庭であることを証明する書類(児童扶養手当証書、ひとり親家庭等医療費受給者証、戸籍謄本など)
  • 所得を証明する書類(課税証明書など)
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 個人番号(マイナンバー)がわかる書類

⑥ スムーズに利用するためのポイント

この便利な制度を最大限に活用するために、知っておきたいポイントをまとめました。

利用のコツ

  • 何よりもまず事前登録!:「今すぐ使いたい」と思っても、登録が済んでいないと利用できません。特に困っていなくても、お守り代わりに登録しておくのが賢い使い方です。
  • 派遣依頼は余裕を持って:支援員の調整には時間がかかります。利用したい日が決まったら、できるだけ早く依頼先に連絡しましょう。
  • 利用できない場合も想定しておく:この事業は自治体の予算や、登録している支援員の数に限りがあります。希望の日時に必ず利用できるとは限らないことを理解しておきましょう。
  • 登録情報の更新を忘れずに:住所や家族構成などに変更があった場合は、速やかに届け出が必要です。更新を怠ると、いざという時に利用できなくなる可能性があります。

⑦ よくある質問(FAQ)

Q1. 費用は本当に無料になりますか?

A1. はい、お住まいの自治体の規定によりますが、生活保護世帯や住民税非課税世帯の場合は無料となることが多いです。ただし、支援員が買い物などで使った交通費などの実費は、別途負担が必要な場合があります。

Q2. 離婚を考えている段階ですが、利用できますか?

A2. 自治体によっては、離婚調停中であったり、DV被害などにより実質的にひとり親状態にある場合でも、支援の対象となることがあります。まずは窓口で事情を説明し、相談してみてください。

Q3. どんな人がヘルパーとして来てくれますか?

A3. 自治体が実施する研修を受けた「家庭生活支援員」が派遣されます。子育て経験者など、地域で支援活動に意欲のある方が登録しています。安心して利用できるよう、プライバシーの保護なども徹底されています。

Q4. 自分の住んでいる自治体で実施しているか、どうすればわかりますか?

A4. お住まいの市区町村のウェブサイトで「ひとり親家庭等日常生活支援事業」と検索するか、子育て支援や福祉担当の課に直接電話で問い合わせるのが最も確実です。

Q5. 利用できる時間や日数に上限はありますか?

A5. はい、多くの自治体で「1つの理由につき10日以内」や「月40時間以内」といった上限が設けられています。あくまで一時的な支援を目的としているためです。詳細は利用登録の際に必ず確認してください。

⑧ まとめと次のアクション

「ひとり親家庭等日常生活支援事業」は、ひとりで頑張る親御さんにとって、いざという時のセーフティネットとなる非常に重要な制度です。

重要ポイントの再確認

  • 急な病気や残業、就活時に家事・育児のヘルパーを頼める。
  • 料金は所得に応じて格安、非課税世帯などは無料の場合も。
  • 利用には事前登録が必須。転ばぬ先の杖として登録を。
  • サービス内容や料金は自治体ごとに異なるため、窓口での確認が不可欠。

この記事を読んで「自分も使えるかも」と思った方は、ぜひ最初の一歩を踏み出してみてください。ひとりで全てを抱え込む必要はありません。利用できる社会資源を上手に活用して、あなたとあなたのお子さんの生活を、より豊かで安心できるものにしていきましょう。

次に行うべきアクション

まずはお住まいの市区町村の役場(子育て支援課、こども家庭課、福祉課など)に電話をし、「ひとり親家庭等日常生活支援事業について聞きたい」と伝えてみましょう。担当者が詳しく案内してくれます。