詳細情報
訪問看護や訪問介護の現場で、利用者やその家族からのハラスメントに悩んでいませんか?職員の安全を守り、安心して働き続けられる環境を整えることは、事業所の喫緊の課題です。兵庫県加古川市では、そんな事業所を力強く支援するため、「訪問看護師・訪問介護員等 安全確保・離職防止対策事業」を実施しています。この制度は、危険な訪問時に2人体制で対応するための費用を補助する「2人訪問補助」と、1人での訪問時の不安を解消する防犯機器の購入を支援する「1人訪問補助」の2本立てで、現場の安全確保と職員の離職防止を強力にバックアップします。この記事では、加古川市の補助金の詳細な内容から申請方法、採択のポイントまで、どこよりも詳しく解説します。
【この補助金のポイント】
- 2つの支援プラン:「2人訪問」と「1人訪問」の状況に応じた支援を選択可能。
- 手厚い費用補助:2人訪問費用は最大4,020円/回、防犯機器購入は上限21,500円を補助。
- 職員の安全確保:ハラスメントや暴力行為から職員を守り、安心して働ける職場環境を構築。
- 離職防止に貢献:安全対策を講じることで、貴重な人材の定着を図る。
- 申請期限:令和7年(2025年)11月28日(金)まで
補助金の概要
本事業は、訪問看護・介護の現場で発生する利用者等からの暴力行為やハラスメントといった問題に対し、具体的な対策を講じる事業所を経済的に支援するものです。職員が安全に業務を遂行できる環境を整備し、結果として離職を防ぎ、質の高い介護サービスを継続的に提供できる体制づくりを目的としています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 令和7年度 加古川市訪問看護師・訪問介護員等 安全確保・離職防止対策事業 |
| 実施組織 | 加古川市(兵庫県との協調事業) |
| 目的 | 訪問看護師・訪問介護員に対する利用者等からの暴力行為等の安全確保対策を支援し、職員の離職防止に資する。 |
| 申請期間 | 令和7年11月28日(金曜日)まで |
| 公式サイト | 加古川市 公式ページ |
選べる2つの支援プランを徹底解説
この補助金は、事業所の状況に合わせて選べる2つのプランが用意されています。それぞれの詳細を見ていきましょう。
プランA:危険な訪問に2人で対応「2人訪問補助」
利用者や家族からの暴力・ハラスメント行為により、1人での訪問が危険と判断されるものの、利用者等の同意が得られず介護報酬の「2人訪問加算」が算定できないケースが対象です。この制度を使えば、加算相当額の一部が補助され、職員の安全を確保しながらサービスを継続できます。
■ 補助金額・補助率
負担割合は【県 1/3、市 1/3、事業者 1/3】となっており、実質的に費用の3分の2が補助されます。補助単価はサービス内容によって異なります。
| サービス種類 | 時間 | 補助単価(1回あたり) |
|---|---|---|
| 訪問看護(看護師等) | 30分未満 | 2,540円 |
| 30分以上 | 4,020円 | |
| 訪問看護(看護師等+看護補助者) | 30分未満 | 2,010円 |
| 30分以上 | 3,170円 | |
| 訪問介護 | 20分未満 | 1,630円 |
| 20分以上30分未満 | 2,440円 | |
| 30分以上1時間未満 | 3,870円 |
例:訪問看護(看護師等)で30分以上の2人訪問を1回実施した場合
4,020円 × 2/3 = 約2,680円が事業所に補助されます。
■ 対象者・条件
- 加古川市内に所在する指定訪問看護事業所、指定訪問介護事業所であること。
- 補助対象となる利用者が、加古川市の介護保険被保険者であること。
- サービス提供時に利用者又はその家族等から、以下のような暴力行為等があること。
対象となる暴力行為等の例:身体的暴力、暴言、セクシャルハラスメント、威嚇、ストーカー行為、器物破損など。
プランB:1人訪問の不安を解消「1人訪問補助」
2人での訪問体制を組むことが難しい事業所のために、1人で訪問する際の安全対策を支援するプランです。警備会社と連携するセキュリティシステムや、緊急時に通報できる防犯ブザーなどの導入費用が補助されます。
■ 補助金額・補助率
- 補助上限額:21,500円
- 補助率:2/3(負担割合:県 1/3、市 1/3、事業者 1/3)
例:30,000円の防犯機器を購入した場合
補助基準額21,500円 × 2/3 = 約14,333円が事業所に補助されます。
■ 対象者・条件
加古川市内に所在する以下の事業所が対象です。
- 訪問看護事業所
- 訪問介護事業所
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所
- 小規模多機能型居宅介護事業所
- 看護小規模多機能型居宅介護事業所
■ 補助対象経費
- 警備保障会社によるセキュリティシステム導入に必要な機器購入費
- 位置検索機能・緊急呼び出し機能付き防犯ブザー
- 防犯ボタン付き携帯電話
【注意】月額利用料や警備員の出動料などのランニングコスト、消費税は補助対象外です。初期導入費用のみが対象となります。
申請方法・手順
申請は加古川市の介護保険課が窓口となります。プランによって手順が異なるため、注意が必要です。
「2人訪問補助」の申請フロー
2人訪問補助は、事前に市の確認を受ける「事前協議」が必要です。
- STEP 1:事前協議
まずは市の介護保険課に「事前協議書」と「暴力行為等の内容が確認できる記録(サービス提供記録など)」を提出し、補助の対象となるか相談します。この段階で、2人訪問の必要性を客観的に示すことが重要です。 - STEP 2:交付申請
市から補助可能との内示が出たら、「交付申請書」「事業計画書」「収支予算書」などの正式な申請書類を提出します。 - STEP 3:実績報告
補助対象期間が終了し、実績が確定したら、「実績報告書」「事業実績報告書」「収支決算書」を提出します。審査後、補助金が交付されます。
「1人訪問補助」の申請フロー
こちらは事前協議は不要で、交付申請から始まります。
- STEP 1:交付申請
「交付申請様式」に必要な書類を添えて、介護保険課に提出します。 - STEP 2:実績報告
機器の購入・設置後、実績報告を行い、審査後に補助金が交付されます。
必要書類
必要な様式類は、すべて加古川市の公式サイトからダウンロードできます。申請前に必ず最新の様式を確認してください。
採択されるための3つのポイント
- 客観的な記録の徹底
特に「2人訪問補助」では、なぜ2人訪問が必要なのかを証明する客観的な証拠が不可欠です。「いつ、誰が、誰から、どのような行為を受けたか」をサービス提供記録やヒヤリハット報告書に具体的に記録しましょう。医師の指示書など第三者の意見書も有効です。 - 早めの事前相談
「このケースは対象になるだろうか?」と迷ったら、すぐに市の介護保険課へ相談することが重要です。特に2人訪問補助は事前協議が必須です。早めに相談することで、手続きをスムーズに進めることができます。 - 要綱の熟読と書類の不備防止
補助金申請の基本ですが、交付要綱をしっかりと読み込み、対象経費や要件を正確に理解することが大切です。記入漏れや添付書類の不足がないよう、提出前に複数人でダブルチェックすることをお勧めします。
兵庫県の関連支援策も活用しよう
加古川市の補助金と合わせて、兵庫県が実施しているハラスメント対策支援も活用することで、より包括的な対策が可能です。
- 相談窓口「お困り相談ひょうご」
専門の相談員が対応する電話相談窓口です。現場で起きた問題への対応方法やメンタルケアについて相談できます。(TEL: 078-371-4165) - 暴力等対策マニュアル
ハラスメント発生時の具体的な対応フローや予防策がまとめられたマニュアルが公開されています。 - 対策研修会
管理者や職員向けの研修会が定期的に開催されており、専門家から実践的な知識を学ぶことができます。
詳細は兵庫県のホームページをご確認ください。
よくある質問(FAQ)
- Q1. 医療保険で訪問看護を利用している利用者は対象になりますか?
- A1. いいえ、対象外です。この補助金は、介護保険を利用している方が対象となります。
- Q2. 市の承認前に実施した2人訪問は対象になりますか?
- A2. 事前協議の承認が下りれば、2人訪問を開始した日に遡って対象となる場合があります。ただし、必要性が確認できる客観的記録が必須です。まずは速やかに市へご相談ください。
- Q3. 2人訪問の際、同行するスタッフに資格は必要ですか?
- A3. 訪問看護の場合は看護師等のほか看護補助者も対象ですが、訪問介護の場合は訪問介護員の同行のみが対象です。いずれの場合も、同じ事業所に雇用されている職員である必要があります。
- Q4. 1人訪問補助で、防犯ブザーの月額利用料は対象になりますか?
- A4. いいえ、対象外です。補助対象はあくまで機器の購入費などの初期導入費用のみで、月額料金や通信費などのランニングコストは対象となりません。
- Q5. 1人訪問補助と2人訪問補助は、同じ事業所で両方申請できますか?
- A5. はい、可能です。例えば、ある利用者には「2人訪問補助」を使い、別のリスクに備えて事業所全体で「1人訪問補助」を使って防犯ブザーを導入する、といった活用が考えられます。それぞれの要件を満たす必要がありますので、詳細は市にご確認ください。
まとめ
加古川市の「訪問看護師・訪問介護員等 安全確保・離職防止対策事業」は、現場で働く職員の安全を守り、安心してキャリアを継続できる環境を整えるための非常に実用的な制度です。職員の安全確保は、サービスの質を維持し、貴重な人材を確保するための最重要課題です。この補助金を最大限に活用し、誰もが安心して働ける職場環境を構築しましょう。
申請期限は令和7年11月28日(金)です。予算には限りがあるため、検討されている事業所は、まずはお早めに加古川市の介護保険課へ相談することから始めてください。
■ お問い合わせ先
担当課:介護保険課(本館2階)
郵便番号:675-8501
住所:加古川市加古川町北在家2000
電話番号:079-427-9123
ファックス番号:079-424-1322