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【2025年】埼玉県 医療機関向け生産性向上給付金|最大18万円/施設・ICT導入支援

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埼玉県内で病院、診療所、訪問看護ステーションを運営されている皆様へ朗報です。人材不足や物価高騰に直面する中、業務効率化や職員の待遇改善は喫緊の課題ではないでしょうか。埼玉県では、こうした課題解決を支援するため「生産性向上・職場環境整備等事業」として、ICT機器の導入や賃上げに取り組む医療機関等に給付金を支給します。

本記事では、この貴重な給付金制度について、対象者、支給額、申請方法から、確実に受給するためのポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。この記事を最後まで読めば、制度の全体像を理解し、スムーズな申請準備を進めることができます。

この給付金のポイント

  • 埼玉県内の病院、診療所、訪問看護ステーションが対象
  • 支給額は許可病床数×4万円または1施設18万円
  • ICT機器導入、タスクシフト、職員の賃上げにも活用可能
  • 申請期間は令和7年9月1日から10月31日まで
  • 要件を満たせば原則支給される「給付金」である点が大きな魅力

1. 「生産性向上・職場環境整備等事業」給付金の概要

まずは、本事業の基本的な情報を確認しましょう。どのような目的で、誰が実施している制度なのかを理解することが第一歩です。

正式名称と実施組織

  • 正式名称: 埼玉県 生産性向上・職場環境整備等事業
  • 実施組織: 埼玉県

事業の目的と背景

この事業は、医療分野における人材確保が喫緊の課題となっている状況を踏まえて設立されました。限られた人員でより効率的に質の高い医療サービスを提供し続けるためには、業務の生産性向上が不可欠です。

そこで埼玉県は、生産性向上に資する設備導入や職場環境の整備にかかる費用を「給付金」として支給することで、医療機関の取り組みを後押しします。最終的には、業務効率化によって生まれた余力を職員の処遇改善(賃上げ)につなげ、人材の確保・定着を図ることを目的としています。

2. 支給額と算定方法

本給付金の支給額は、施設の種別と規模によって明確に定められています。自院がどれくらいの金額を受け取れるのか、ここでしっかり確認しましょう。

施設区分 支給額の算定方法
病院・有床診療所 許可病床数 × 4万円
無床診療所(医科・歯科) 1施設 × 18万円
訪問看護ステーション 1施設 × 18万円

【特例措置】
許可病床数が4床以下の有床診療所については、1施設あたり18万円が支給されます。

計算例

  • 許可病床数80床の病院の場合:
    80床 × 4万円 = 320万円
  • さいたま市内で無床クリニックを運営している場合:
    1施設 × 18万円 = 18万円
  • 許可病床数3床の有床診療所の場合:
    特例措置が適用され、18万円

3. 対象者と重要な条件

この給付金を受け取るためには、いくつかの重要な条件を満たす必要があります。特に「ベースアップ評価料」の届出が鍵となります。

対象となる施設

以下のすべてを満たす施設が対象です。

  • 埼玉県内に所在する施設であること
  • 以下のいずれかの施設であること:
    • 病院
    • 有床診療所(医科・歯科)
    • 無床診療所(医科・歯科)
    • 訪問看護ステーション
  • 令和7年3月31日時点ベースアップ評価料の届出をしていること

最重要条件:ベースアップ評価料の届出

本給付金の最も重要な条件は、「ベースアップ評価料」の届出です。令和7年3月31日までに、管轄の厚生局(関東信越厚生局)に届出書類が到達している必要があります。書類不備で一度返戻された場合でも、最終的に受理されれば届出日に届け出たものとみなされます。

まだ届出をされていない場合は、期限に間に合うよう、お早めに準備を進めてください。ベースアップ評価料に関するお問い合わせは、関東信越厚生局 指導監査課(048-851-3060)までお願いします。

4. 給付金の活用方法(対象となる取組み)

支給された給付金は、生産性向上や職場環境整備に関する幅広い取り組みに活用できます。主な活用方法は以下の3つです。

① ICT機器等の導入による業務効率化

デジタル技術を活用して、スタッフの負担軽減や業務の効率化を図るための設備導入です。具体例は多岐にわたります。

  • 情報共有・コミュニケーションツール: タブレット端末、インカム、WEB会議設備、ビジネスチャットツール
  • 患者見守り・安全対策: 離床センサー、ナースコール連動システム、監視カメラ
  • 業務自動化・省力化: 自動清掃ロボット(床ふきロボットなど)、薬剤管理システム、自動受付精算機
  • 事務作業効率化: 電子カルテ関連システム、勤怠管理システム、予約管理システム

② タスクシフト/シェアによる業務効率化

専門職が本来の業務に集中できるよう、業務の役割分担を見直すための取り組みです。給付金は、そのための新たな人材配置にかかる人件費に充当できます。

  • 医師事務作業補助者の新規配置
  • 看護補助者の増員・新規配置
  • その他、業務効率化に資する新たな職種の配置

③ 給付金を活用した更なる賃上げ

本事業の大きな目的の一つである、職員の処遇改善に直接活用するパターンです。ICT導入等で生産性を向上させた結果としてではなく、給付金を原資として直接、既存職員の賃金改善(ベースアップや賞与など)に充てることができます。これは人材の定着に直結する非常に有効な活用方法です。

5. 申請期間と申請方法

申請期間は限られています。スケジュールを正確に把握し、余裕を持った準備を心がけましょう。

申請受付期間

令和7年9月1日(月)9時00分 から 令和7年10月31日(金)23時59分 まで

期間が約2ヶ月と短いため、事前の準備が重要です。特に、ベースアップ評価料の届出状況の確認や、給付金の活用計画の検討は早めに着手しましょう。

申請方法・手順

申請は原則として電子申請となります。郵送での申請は受け付けていないためご注意ください。

  1. メールアドレス登録: まず、埼玉県の公式サイトに設置される「メールアドレス登録フォーム」からメールアドレスを登録します。
  2. 申請フォームの受領: 登録したメールアドレス宛に、専用の申請フォームへのリンクが送られてきます。
  3. 申請情報の入力: 申請フォームにアクセスし、必要事項を入力します。
  4. 必要書類の準備・添付: 下記の必要書類を準備し、電子ファイル(PDF, JPGなど)で添付します。
  5. 申請内容の送信: 全ての入力・添付が完了したら、内容をよく確認して送信します。

※電子システムでの申請が難しい場合は、メールでの申請も可能です。その場合は申請書類一式を指定のメールアドレスに送付します。

必要書類

  • 生産性向上・職場環境整備等事業 申請書兼請求書(様式第1号)
    ※公式サイトからExcel形式でダウンロードできます。施設区分(病院・有床診療所用/無床診療所・訪問看護ステーション用)に応じて正しい様式を使用してください。
  • 振込先の口座に関する情報が分かる書類
    金融機関名、支店名、口座種別、口座番号、口座名義人(フリガナ)が確認できるもの。預金通帳の見開きページの写しや、インターネットバンキングの画面キャプチャなどが該当します。

6. 確実に受給するためのポイント

本事業は補助金と異なり、要件を満たせば原則支給される「給付金」です。しかし、手続きの不備で支給が遅れたり、対象外となったりするケースも考えられます。以下のポイントを押さえて、確実な受給を目指しましょう。

ポイント1:ベースアップ評価料の届出を最優先で確認

繰り返しになりますが、これが大前提です。令和7年3月31日までに届出が完了しているか、事務担当者や顧問税理士・社労士に必ず確認してください。もし未了であれば、すぐに手続きを進めましょう。

ポイント2:申請書類の正確性

単純なミスが支給遅延の原因となります。特に以下の点に注意してください。

  • 口座情報: 口座名義は、申請者である法人名または個人事業主名と完全に一致している必要があります。「(医)」や「イ)」などの表記も通帳通りに正確に記載してください。
  • 申請額の計算: 許可病床数に基づく計算が正しいか、再度確認しましょう。
  • 様式の選択: 自院の施設区分に合った正しい申請書様式を使用しているか確認してください。

ポイント3:実績報告を忘れずに

申請時に「導入予定」「取組予定」として申請した場合、事業完了後に実績報告書の提出が必要です。提出期限は、導入・取組後10日を経過した日または令和8年3月31日のいずれか早い日です。この報告を怠ると、給付金の返還を求められる可能性がありますので、必ずカレンダーに登録するなどして失念しないようにしましょう。

7. よくある質問(FAQ)

Q1. ベースアップ評価料の届出をこれから行う予定ですが、対象になりますか?

A1. はい、対象になる可能性があります。令和7年3月31日までに管轄の厚生局に届出書類が到達していれば、本給付金の対象となります。期限が迫っていますので、お早めに手続きを開始してください。

Q2. 複数のクリニックを運営していますが、それぞれ申請できますか?

A2. はい、対象要件を満たしていれば、施設ごとに申請が可能です。例えば、無床クリニックを2箇所運営している場合、それぞれ18万円ずつ、合計36万円の申請が可能です。

Q3. 中古のICT機器を購入した場合も対象になりますか?

A3. 交付要綱に詳細な規定がないか確認が必要ですが、一般的に生産性向上に資するものであれば対象となる可能性が高いです。ただし、保証や性能の観点から新品の導入が推奨されます。不明な場合は、申請前にコールセンターへ問い合わせることをお勧めします。

Q4. 給付金はいつ頃振り込まれますか?

A4. 申請受付期間終了後、埼玉県で審査が行われ、順次振り込まれる見込みです。通常、申請から振込までには数ヶ月かかることが一般的です。正確なスケジュールは公式サイトで公表される情報を確認してください。

Q5. 賃上げに活用する場合、給与明細などの提出は必要ですか?

A5. 実績報告の際に、賃金改善を実施したことを証明する書類(賃金台帳の写し、給与規定の変更届など)の提出を求められる可能性があります。給付金を活用して賃上げを行った場合は、関連書類を整理・保管しておくようにしてください。

8. まとめと問い合わせ先

今回は、埼玉県の「生産性向上・職場環境整備等事業」給付金について詳しく解説しました。この給付金は、医療現場の生産性を高め、職員の処遇を改善するための強力なサポートとなります。

重要ポイントの再確認

  • 対象: ベースアップ評価料を届け出ている埼玉県内の医療機関・訪問看護ステーション
  • 支給額: 病床数×4万円 or 1施設18万円
  • 活用方法: ICT導入、タスクシフト、賃上げ
  • 申請期間: 令和7年9月1日~10月31日

まずは公式サイトをブックマークし、申請期間が始まったらすぐに動けるように準備しておきましょう。ご不明な点があれば、下記の公式コールセンターへお問い合わせください。

お問い合わせ先

  • 名称: 埼玉県生産性向上・職場環境整備等事業給付金 コールセンター
  • 電話番号: 050-1753-5236
  • 受付時間: 月曜日から土曜日 午前9時から午後6時まで(日祝・年末年始を除く)
  • メールアドレス: saitamaseisansei25@his-world.com
  • 公式サイト: 埼玉県庁ホームページ