この記事のポイント
LPガス価格の高騰が続く中、埼玉県ではLPガスを利用する家庭や事業者の負担を軽減するため、LPガス販売事業者様を支援する「埼玉県LPガス料金負担軽減補助事業」の第4回公募を実施します。この記事では、LPガス販売事業者様が本補助金を活用し、顧客への料金値引きを円滑に進めるための申請方法、補助内容、注意点を徹底的に解説します。顧客サービスの向上と安定経営の一助として、ぜひ本制度をご活用ください。
依然として高止まりしているLPガス価格は、多くのご家庭や事業者の経営にとって大きな負担となっています。埼玉県では、この状況を緩和するため、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用し、LPガス販売事業者が行う料金値引きを支援する補助事業の第4回を実施します。この制度は、販売事業者様が顧客に対して料金値引きを行う際の原資を補助するだけでなく、値引きに伴う事務経費やシステム改修費用も支援の対象となる、手厚い内容となっています。本記事を参考に、制度を深く理解し、スムーズな申請にお役立てください。
埼玉県LPガス料金負担軽減補助事業(第4回)とは?
本事業は、LPガス料金の高騰の影響を受ける埼玉県内の利用世帯(約141.6万世帯)の負担を直接的に軽減することを目的としています。LPガス販売事業者が、対象となる顧客のガス料金から一定額を値引きする事業に対して、埼玉県が補助金を交付する仕組みです。
事業の目的と背景
LPガス価格の高騰は、県民生活や事業活動に広範な影響を及ぼしています。この負担を緩和するため、埼玉県は国の交付金を財源とし、LPガス販売事業者を通じて利用者に支援を届けることを決定しました。販売事業者が主体となって値引きを実施することで、迅速かつ確実に利用者の負担軽減を図ることを目指しています。
補助金の対象者
この補助金の交付対象となるのは、以下の要件をすべて満たすLPガス販売事業者です。
- 液化石油ガス法第3条第1項の登録を受けた者、またはガス事業法第3条の登録を受けた者であること。
- 埼玉県内でLPガスを利用する一般消費者等(対象顧客)に対し、指定された方法で料金の値引きを実施できること。
- 値引きの事実を検針票や請求書等で対象顧客に明示できること。
- 日本国内の金融機関に預貯金口座を有していること。
- 代表者や役員が反社会的勢力に該当しないこと。
補助金の詳細:補助額と対象経費
本補助金は、大きく分けて「値引き額の実費」「事務経費」「システム改修経費」の3つの要素で構成されています。これにより、値引きによる直接的な負担だけでなく、事業実施に伴う間接的なコストもカバーされます。
【重要】補助金の構成
補助金額 = ①値引き額の実費 + ②事務経費 + ③システム改修経費
| 補助の区分 | 補助金の額 |
|---|---|
| ① 値引き額の実費 | 対象顧客に対し実施した値引き金額の合計額(1契約あたり上限1,500円/税抜) |
| ② 事務経費 | ・固定費用:34,000円 ・変動費用:対象顧客数 × 50円(上限280万円) |
| ③ システム改修経費 | システム改修にかかった実費(上限150,000円、消費税除く) |
① 値引き額の実費
対象となる顧客1契約あたり、上限1,500円(税抜)を1回値引きした金額の合計が補助されます。例えば、1,000件の対象顧客に1,500円ずつ値引きした場合、1,000件 × 1,500円 = 1,500,000円が補助されます。ただし、顧客への請求額(税抜)が1,500円に満たない場合は、その請求額が値引きの上限となります。
② 事務経費
値引き事業の実施に伴う事務的な負担を軽減するため、固定費用と変動費用が補助されます。
【計算例】対象顧客数が2,000件の場合
固定費用34,000円 + (変動費用 2,000件 × 50円) = 34,000円 + 100,000円 = 134,000円 の事務経費が補助されます。
③ システム改修経費
本事業による値引き額を検針票や請求書に明記するためにシステム改修が必要な場合、その実費が上限150,000円まで補助されます(消費税額は対象外)。埼玉県以外の自治体の同様の補助を受ける場合は、対象顧客数に応じて按分計算が必要となるため注意が必要です。
補助対象となる事業の要件
対象となる値引き事業
- 対象顧客:埼玉県内でLPガスを利用する一般消費者等。工場などの高圧ガス保安法で規定される消費者や、国・地方公共団体などは対象外です。
- 値引き期間:令和7年9月、10月、11月のいずれかの月の使用料(検針分)が対象です。
- 値引き回数:1つの契約に対し、期間中に1回限りです。
値引きの明示方法
値引きを実施した際は、検針票や請求書にその旨を明記し、顧客にお知らせする必要があります。これは、県の補助事業によるものであることを明確にするためです。
≪記載例≫
「埼玉県の補助により、上限1,500円で値引きを行いました。」
※「県の補助」のような簡略な表記も可能です。ゴム印や手書き、別紙での通知も認められています。
申請から補助金受給までの流れ【5ステップ】
申請手続きは「交付申請」と「実績報告」の2段階に分かれています。期限を守り、正確な書類を提出することが重要です。
ステップ1:交付申請
- 申請期間:令和7年8月29日(金) ~ 令和7年10月31日(金) 必着
- 提出方法:原則として、埼玉県公式HPの申請フォームから電子データで提出します。
- 必要書類:
- 埼玉県第4回LPガス料金負担軽減事業補助金交付申請書(様式第1号)
- 誓約書(別紙1)
ステップ2:交付決定通知
申請書類の審査後、適当と認められれば「交付決定通知書」が原則として電子メールで送付されます。
【最重要注意点】
補助金の対象となるのは、交付決定通知を受け取った後に実施した値引きのみです。通知前に実施した値引きは補助対象外となりますので、絶対にフライングしないようにしてください。
ステップ3:補助事業の実施
交付決定通知書の内容に従い、令和7年9月~11月のいずれかの検針分で対象顧客への料金値引きを実施します。
ステップ4:実績報告
- 提出期限:令和8年2月13日(金) 必着
- 提出時期:補助対象事業(すべての値引き)が完了後、速やかに提出してください。
- 必要書類:
- 埼玉県第4回LPガス料金負担軽減事業実績報告書(様式第2号)
- 対象顧客値引前後比較表(別紙2Aまたは2B)
- システム改修に係る領収書等の写し(該当する場合)
- 申請者の振込先口座情報が分かる通帳等の写し
- 追加提出:実績報告後、事務局から無作為に選ばれた顧客の値引き事実が確認できる書類(検針票の写し等)の提出を求められる場合があります。
ステップ5:補助金の支払い
実績報告書等の審査が完了し、内容が適当と認められると「交付額確定通知書」が送付され、指定した口座へ補助金が振り込まれます。
申請のポイントと注意点
期限の厳守
交付申請と実績報告には、それぞれ厳格な期限が設けられています。特に実績報告が期限を過ぎると、交付決定を受けていても補助金が支払われません。スケジュール管理を徹底しましょう。
書類の正確な作成
申請書や報告書は、手引をよく読んで正確に記載してください。特に「対象顧客値引前後比較表」は、内税・外税表記に応じて正しい様式(別紙2Aまたは2B)を使用する必要があります。なお、交付申請時の対象顧客数は見込みで構いません。実績報告時に確定した数で補助額が計算されます。
不正受給は厳禁
本補助金は公的な資金を財源としています。虚偽の申請や事業の趣旨を逸脱した恣意的な値上げなど、不正行為が認められた場合は、交付決定が取り消され、補助金に加算金(年率10.95%)を加えた額の返還が求められます。
関係書類の保管義務
本事業に関する帳簿や証拠書類は、事業が終了した年度の翌年度から5年間(令和12年度末まで)保管する義務があります。
よくある質問(FAQ)
- Q1: 申請期間前(令和7年8月29日より前)に申請できますか?
- A1: いいえ、できません。申請受付期間は令和7年8月29日(金)からですので、期間内に申請してください。
- Q2: 交付申請時の対象顧客数と、実績報告時の数が変わってしまいました。問題ないですか?
- A2: 問題ありません。補助金の額は実績報告書で確定しますので、申請後に顧客数が増減しても大丈夫です。ただし、大幅に増加する見込みとなった場合は、事務局へ連絡してください。
- Q3: 値引きを行ったことを顧客に知らせる方法は、請求書への記載以外にありますか?
- A3: はい、あります。検針票や請求書以外の紙面に値引きした旨を明示し、配布する方法も認められています。
- Q4: 交付決定通知を受け取る前に値引きを実施してしまいました。これは補助対象になりますか?
- A4: いいえ、補助対象外となります。必ず交付決定通知書を受け取った後に、値引き事業を開始してください。
- Q5: システム改修を行いましたが、埼玉県以外の補助金も申請しています。改修費用は全額補助されますか?
- A5: 全額は補助されません。埼玉県と他の自治体の対象顧客数に応じて按分計算された額が補助対象となります。詳しくは申請手引をご確認ください。
まとめ
「埼玉県LPガス料金負担軽減補助事業(第4回)」は、LPガス販売事業者様が顧客への負担軽減策を実施する上で、非常に強力な支援となる制度です。最後に、本補助金の重要ポイントを再確認しましょう。
- 対象者:埼玉県内でLPガスを販売する事業者
- 補助内容:顧客への値引き額(上限1,500円/契約)に加え、事務経費(固定3.4万円+変動費)とシステム改修費(上限15万円)を補助
- 申請期間:令和7年8月29日(金) ~ 10月31日(金)
- 事業実施の注意点:必ず交付決定後に値引きを開始すること
- 実績報告期限:令和8年2月13日(金)
この機会を最大限に活用し、顧客満足度の向上と事業の安定化につなげるため、早めの準備をお勧めします。詳細な要件や様式のダウンロードは、必ず埼玉県の公式ウェブサイトでご確認ください。