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【2025年】定額減税補足給付金(不足額給付)とは?最大4万円の対象者・申請方法を徹底解説

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2024年に実施された「定額減税」。所得税3万円、住民税1万円の合計4万円が減税される制度ですが、「給与や年金から全額引ききれなかった…」という方も少なくないでしょう。そんな、定額減税の恩恵を十分に受けられなかった方を救済するための制度が「定額減税補足給付金(不足額給付)」です。特に、2023年から2024年にかけて所得が減少した方や、2024年中に扶養家族が増えた方は対象となる可能性が高い重要な給付金です。しかし、制度が複雑で「自分が対象なのか分からない」「どうやって申請すればいいの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。この記事では、定額減税補足給付金(不足額給付)の仕組みから対象者の具体例、申請方法、注意点まで、誰にでも分かるように徹底的に解説します。この記事を読めば、あなたが給付金を受け取れるかどうかが分かり、損をすることなく適切な手続きを進めることができます。

定額減税補足給付金(不足額給付)の概要

定額減税補足給付金(不足額給付)は、国の経済対策の一環として、定額減税で引ききれないと見込まれる税額を給付金として支給する制度です。この制度は、大きく分けて2つの給付から成り立っています。

制度の目的と背景 – なぜこの給付金があるのか?

定額減税は、納税額から直接税金を差し引く仕組みです。しかし、もともとの納税額が減税額(本人+扶養親族の数 × 4万円)より少ない場合、減税額の全額を使い切ることができません。この「引ききれなかった差額」を補填し、すべての対象者が公平に減税の恩恵を受けられるようにするのが、この補足給付金の目的です。2024年夏ごろに支給された「当初調整給付」は2023年の所得に基づく概算でしたが、今回の「不足額給付」は2024年の所得が確定した後に、その差額を精算・追加給付するものです。

2つの給付金「不足額給付Ⅰ」と「不足額給付Ⅱ」の違い

不足額給付には、対象者の状況に応じて2つの種類があります。ご自身がどちらに該当するかを理解することが重要です。

  • 不足額給付Ⅰ:当初調整給付額に不足が生じた方向け。2023年より2024年の所得が減った、2024年に扶養親族が増えた、などの理由で、当初の給付額では足りなかった差額が支給されます。
  • 不足額給付Ⅱ:定額減税の対象外で、かつ低所得世帯向け給付金の対象でもなかった方向け。例えば、課税されている家族の扶養には入っていないものの、自身の所得税・住民税は非課税である事業専従者などが対象です。

給付金額と算定方法

給付金額は、不足額給付ⅠとⅡで大きく異なります。ここではそれぞれの計算方法を詳しく見ていきましょう。

【不足額給付Ⅰ】所得変動や扶養増があった方向け

不足額給付Ⅰの支給額は、2024年の所得確定後に再計算した「本来給付すべきだった金額」から、「すでに支給された当初調整給付額」を差し引いた差額です。計算式は複雑ですが、基本的には以下のようになります。

支給額 = (①所得税の不足額 + ②住民税の不足額) – 当初調整給付額

※計算して出た差額は、1万円単位で切り上げて支給されます。

計算例:令和5年所得で計算した当初調整給付が3万円だったAさん。しかし、令和6年は所得が減り、確定所得で再計算したところ、本来の調整給付額は4万5千円でした。この場合、差額の1万5千円が生じます。この1万5千円を1万円単位で切り上げた2万円が、不足額給付Ⅰとして支給されます。

【不足額給付Ⅱ】定額減税も低所得者給付も対象外だった方向け

不足額給付Ⅱの対象となる方には、原則として定額で給付金が支給されます。

対象者 支給金額
不足額給付Ⅱの要件を満たす方 1人あたり4万円
上記のうち、令和6年1月1日時点で海外に居住していた方 1人あたり3万円

給付金の対象者と具体的な条件

自分が対象になるかどうかが一番気になるところでしょう。ここでは、対象となる方の具体例を豊富に紹介します。

【不足額給付Ⅰ】の対象となる具体例

  • 例1:令和5年より令和6年の所得が減った方
    事業不振や退職、転職などで2024年の所得が2023年より減少し、所得税額が下がった場合。当初の推計より減税しきれない額が増えるため、差額が給付されます。
  • 例2:令和6年中に扶養親族が増えた方
    2024年中に子供が生まれた、親を扶養に入れるなどして扶養親族の数が増えた場合。所得税の定額減税可能額(3万円×人数)が増えるため、その分が追加給付の対象となる可能性があります。
  • 例3:令和5年は無職で、令和6年から就職した方
    2023年(令和5年)は所得がなかったため当初調整給付の対象外だったが、2024年(令和6年)に就職して所得税が発生した場合。定額減税で引ききれない分があれば、給付の対象となります。
  • 例4:修正申告で住民税額が減った方
    医療費控除の追加などで修正申告を行い、令和6年度の住民税所得割額が減少した場合。住民税の定額減税で引ききれない額が増えるため、差額が給付されます。

【不足額給付Ⅱ】の対象となる具体例

  • 例5:課税世帯にいる事業専従者(青色・白色)
    個人事業主の配偶者などで事業専従者として働いており、自身の所得税・住民税は非課税。しかし、世帯主(個人事業主)が課税者であるため低所得世帯向け給付の対象外となった場合。
  • 例6:課税世帯にいる合計所得48万円超だが非課税の方
    合計所得金額は48万円を超えるものの、各種所得控除により所得税・住民税所得割が結果的に0円になった方。かつ、納税者である家族と同居しているため低所得世帯向け給付の対象外となった場合。

補助対象経費について

この制度は、特定の設備投資や事業経費を補助する「補助金」とは異なります。定額減税補足給付金は、定額減税で引ききれなかった税額分を補填するための現金給付です。そのため、「補助対象経費」という概念は存在しません。支給された給付金の使い道は自由です。

申請方法と手続きの流れ

手続きの方法は、お住まいの市区町村があなたの情報をどの程度把握しているかによって、主に3つのパターンに分かれます。多くの自治体では、2025年7月頃から順次案内が送付されます。

手続きは3パターン

  • パターン1:「振込通知書」が届く(原則手続き不要)
    自治体が給付額を算定し、振込先口座も把握できている場合に届きます。記載内容に誤りがなければ、通知書に記載された日に自動的に振り込まれます。
  • パターン2:「確認書」が届く(返送が必要)
    自治体が給付対象と判断したものの、振込先口座が不明な場合などに届きます。必要事項を記入し、本人確認書類などを添付して返送する必要があります。
  • パターン3:自分で申請が必要
    自治体が課税情報などを把握できず、給付対象であるか判断できない場合に該当します。ご自身で対象要件を確認し、申請書を入手して提出する必要があります。

申請が必要になる主なケース

特に以下に該当する方は、自治体から通知が届かない可能性があるため、ご自身での確認と申請が必要です。

  • 令和6年1月2日以降に、現在お住まいの市区町村へ転入してきた方
  • 不足額給付Ⅱの対象になると思われるが、自治体から何の通知も届かない方
  • 確定申告を期限後に行った方や、所得の修正申告を最近行った方

申請に必要な書類一覧

ご自身で申請する場合、一般的に以下の書類が必要となります。詳細は必ずお住まいの自治体のホームページで確認してください。

  • 定額減税補足給付金 申請書兼請求書(自治体のHPからダウンロード)
  • 申請者・請求者の本人確認書類の写し(マイナンバーカード、運転免許証など)
  • 振込先口座が確認できる書類の写し(通帳やキャッシュカードのコピー)
  • (該当者のみ)令和6年度の住民税課税証明書など、所得や控除額がわかる書類

申請期限とスケジュール

申請期間は自治体によって異なりますが、多くの場合は2025年7月頃から受付を開始し、2025年10月31日頃を期限としています。期限を過ぎると給付を受けられなくなるため、早めの確認と手続きが重要です。

支給を受けるためのポイントと注意点

この給付金は、要件を満たせば原則として支給されるため、「採択率」という概念はありません。しかし、確実に支給を受けるためにはいくつかの注意点があります。

特殊詐欺にご注意ください!
市役所や国の職員がATMの操作をお願いしたり、給付のために手数料の振込みを求めたりすることは絶対にありません。不審な電話やメール、訪問があった場合は、すぐに警察(#9110)に相談してください。

よくある質問(FAQ)

Q1: 自分が対象になるか、どうすればわかりますか?

A1: まずは、2025年7月頃にお住まいの市区町村から送付される通知書や確認書をお待ちください。もし通知が届かない場合で、ご自身が対象になると思われる場合は、市区町村の給付金コールセンターや担当窓口にお問い合わせください。ただし、電話やメールでは個人情報に関わる具体的な給付額の回答はできない場合がほとんどです。

Q2: どの自治体から支給されますか?

A2: 原則として、令和7年度(2025年度)の個人住民税を課税している自治体から支給されます。これは、令和7年1月1日時点で住民票があった市区町村となります。

Q3: 源泉徴収票の「控除外額」がそのまま貰えるのですか?

A3: いいえ、必ずしもその金額が支給されるわけではありません。「控除外額」はあくまで所得税で引ききれなかった額です。住民税で引ききれなかった額と合算し、そこから既に支給された「当初調整給付額」を差し引いて最終的な給付額が決定されるため、源泉徴収票の金額とは異なる場合があります。

Q4: 低所得世帯向け給付金と両方もらえますか?

A4: はい、両方の支給要件を満たしていれば、併給は可能です。例えば、令和5年度は非課税で低所得世帯向け給付金を受給し、令和6年度は課税となり定額減税の対象となった場合、不足額給付の要件を満たせば受給できます。

Q5: この給付金は課税対象になりますか?

A5: いいえ、この給付金は「物価高騰対策給付金に係る差押禁止等に関する法律」に基づき、非課税所得となります。また、差し押さえの対象にもなりません。

まとめ:損をしないために、まずはお住まいの自治体情報をチェック!

定額減税補足給付金(不足額給付)は、定額減税の恩恵をすべての対象者が公平に受けられるようにするための重要な制度です。特に、2024年に所得の減少や扶養親族の増加といったライフイベントがあった方は、対象となる可能性が高いです。

手続きは自治体によって詳細が異なるため、まず行うべきことは「お住まいの市区町村の公式サイトで最新情報を確認する」ことです。「定額減税補足給付金 〇〇市」のように検索して、ご自身の自治体の情報を確認しましょう。申請期限は限られていますので、早めの行動が大切です。この記事を参考に、あなたが受け取るべき給付金を確実に受け取ってください。