詳細情報
世界的な穀物需要の増加や円安の影響で、畜産経営に不可欠な配合飼料や粗飼料の価格が高騰し続けています。愛知県内で畜産業を営む多くの農家の方々にとって、このコスト増は経営を圧迫する深刻な問題です。このような状況を受け、愛知県では畜産農家の経営負担を軽減し、安定した事業継続を支援するため「令和7年度 配合飼料・粗飼料価格高騰対策支援事業」を実施します。この記事では、飼料価格高騰に立ち向かう愛知県の畜産農家の皆様のために、この支援金の詳細な内容、対象者の条件、具体的な申請手順、そして採択されるためのポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。この貴重な支援制度を最大限に活用し、厳しい経営環境を乗り越える一助としてください。
この支援金のポイント
- 愛知県内の畜産農家の経営負担を軽減することが目的
- 「基金対象配合飼料」と「配合飼料主原料(単味)」の2種類の支援がある
- 配合飼料価格安定制度の加入・未加入で申請要件や提出先が異なるため注意が必要
- 要件を満たせば、両方の支援金を受け取ることも可能
支援事業の概要
まずは「令和7年度 配合飼料・粗飼料価格高騰対策支援事業」がどのような制度なのか、全体像を把握しましょう。この事業は、愛知県が主体となり、飼料価格の高騰に苦しむ県内の畜産農家を直接支援することを目的としています。
| 正式名称 | 令和7年度 配合飼料・粗飼料価格高騰対策支援事業 |
|---|---|
| 実施組織 | 愛知県 |
| 目的・背景 | 飼料価格の高騰の影響を受ける畜産農家の経営負担を軽減し、経営の安定化を図る。 |
| 対象者 | 愛知県内に農場を有し、畜産業を営む個人または法人で、所定の要件を満たす者。 |
| 公式サイト | 愛知県庁 公式ページ |
支援金額と対象飼料
本事業の支援金は、購入した飼料の種類に応じて2つのカテゴリーに分かれています。それぞれの支援金額の計算方法と対象となる飼料について詳しく見ていきましょう。
支援金の単価(計算方法)
両方の支援金ともに、支援単価(円/トン)は以下の計算式で算出されます。これは市場価格の変動を反映する仕組みです。
支援金単価(円/トン) = (令和7年度第2四半期の輸入原料価格相当額の平均 – 令和3年度の輸入原料価格の平均) × 1/4 以内
※配合飼料価格安定制度の補てん金等との調整が行われます。
2種類の支援金と対象飼料
要件を満たせば、以下の2つの支援金を両方受け取ることも可能です。
| 支援金の種類 | 対象飼料 | 対象数量 |
|---|---|---|
| ① 基金対象配合飼料に係る支援金 | 配合飼料価格安定制度の対象となる配合飼料 | 対象期間内(令和7年7月~9月)の納品数量または契約数量のいずれか少ない方(愛知県農場分に限る) |
| ② 配合飼料主原料(単味)に係る支援金 |
|
対象期間内(令和7年7月~9月)に県内農場に納品された対象品目の数量 |
対象者と詳細な条件
支援金を受け取るためには、それぞれの種類に応じた要件を満たす必要があります。ご自身がどちらの対象になるか、あるいは両方の対象になるか、しっかりと確認してください。
① 基金対象配合飼料に係る支援金の要件
- 愛知県内に農場を有していること。
- 事業主体と配合飼料価格安定制度の契約をしていること。
※事業主体:愛知県経済農業協同組合連合会、愛知県酪農農業協同組合、(一社)愛知県配合飼料価格安定基金協会、日本養鶏農業協同組合連合会
② 配合飼料主原料(単味)に係る支援金の要件
- 愛知県内に農場を有していること。
- 対象期間内(令和7年7月~9月)に県内農場に納品された配合飼料主原料の四半期の合計が1トン以上であること。
- 令和7年7月1日時点の飼養頭羽数が以下の基準以上であること。
- 採卵鶏: 100羽以上
- 肉用鶏: 500羽以上
- 肥育豚: 5頭以上
- 種豚: 2頭以上
- 乳用牛: 1頭以上
- 肉用牛: 1頭以上
- うずら: 1,000羽以上 など
- 事業主体が別に定める期限内に参加申込書及び必要書類を提出すること。
重要:この支援金は、配合飼料価格安定制度に加入していない方でも、上記の要件を満たせば申請対象となります。
申請方法と手順(提出先が重要!)
本事業の申請で最も注意すべき点は、申請者の状況によって書類の提出先が異なることです。以下のステップに従って、ご自身がどこに申請すべきかを確認し、手続きを進めてください。
Step 1: 申請に必要な書類を準備する
申請する支援金の種類によって必要な書類が異なります。
- 基金対象配合飼料の場合:
- 申出書(各事業主体から別途連絡があります)
- 配合飼料主原料(単味)の場合:
- 申請書兼請求書(様式あり)
- 申請飼料一覧表(様式あり)
- 請求書、納品書、領収書等の写し(飼料品目、納品日、納品数量、購入者、販売者が確認できるもの)
申請様式は愛知県の公式サイトからダウンロードできます。
Step 2: 自分の提出先を確認する
ここが最も複雑で重要なポイントです。特に「配合飼料主原料(単味)」の支援金を申請する方は、以下のフローをよく確認してください。
【配合飼料主原料(単味)支援金の提出先フロー】
1. 配合飼料価格安定制度の加入者ですか?
- はい → 契約している団体が提出先です。複数団体と契約している場合は下記へ。
- いいえ → 下記の「未加入者」の項目へ。
2. 複数の団体と契約している場合 / または未加入者の場合
- 県酪(愛知県酪農農業協同組合)の組合員(乳用牛を飼養)ですか?
- → はい:県酪(支所含む)が提出先です。
- 上記に該当しない農協の組合員ですか?
- → はい:JAあいち経済連(農協含む)が提出先です。
- いずれにも該当しない方(制度未加入者など)
- → 愛知県農業水産局畜産課へ令和7年10月3日までにご連絡ください。(電話:052-954-6425)
注意点:配合飼料主原料に係る支援金の書類は、必ず1つの団体にのみ提出してください。複数の団体に提出しないようご注意ください。
Step 3: 申請と支援金の受領
- 申請期間: 令和7年度第2四半期(7月~9月)分については、令和7年10月頃から申請受付が開始される見込みです。正確な期間は各提出先団体または愛知県公式サイトで必ず確認してください。
- 支払い予定時期: 提出された書類の審査後、令和7年12月頃に支援金が支払われる予定です。
採択されるためのポイントと注意点
この支援金は要件を満たしていれば基本的に交付されますが、申請の不備で対象外とならないよう、以下のポイントをしっかり押さえましょう。
ポイント1:提出先の確認を徹底する
前述の通り、この制度で最も間違いやすいのが提出先です。ご自身の契約状況(JA、県酪など)を正確に把握し、正しい窓口に書類を提出することが第一歩です。不明な場合は、まず契約している団体に問い合わせるのが確実です。
ポイント2:書類の正確性と整合性を保つ
申請書や一覧表の記入内容と、添付する納品書・請求書の内容に相違がないか、何度も確認してください。特に、飼料の品目、数量、納品日は審査の重要項目です。些細な記入ミスが審査の遅れや不採択につながる可能性があります。
ポイント3:飼養頭羽数に見合った申請数量か
県の資料には「納品数量が当該農場における飼養頭羽数に見合っていないと県が判断した場合は対象外とします」という重要な記載があります。例えば、小規模な飼養頭羽数にもかかわらず、極端に大量の飼料購入量を申請すると、転売などを疑われ、審査で不利になる可能性があります。実態に即した正直な申請を心がけましょう。
よくある質問(FAQ)
- Q1. 配合飼料価格安定制度に加入していませんが、申請できますか?
- A1. はい、可能です。「配合飼料主原料(単味)に係る支援金」は、制度の未加入者でも、飼養頭羽数や購入数量などの要件を満たせば申請対象となります。提出先が不明な場合は、愛知県畜産課にご連絡ください。
- Q2. 「基金対象配合飼料」と「配合飼料主原料」の支援金は両方もらえますか?
- A2. はい、それぞれの要件を満たしていれば、両方の支援金を受け取ることが可能です。例えば、制度に加入して配合飼料を購入しつつ、別途、とうもろこしなどの単味飼料も購入している場合などが該当します。
- Q3. 複数のJAや団体と取引がある場合、書類はどこに出せばいいですか?
- A3. 提出先は1つに絞る必要があります。原則として、乳用牛農家で県酪の組合員であれば「県酪」へ、それ以外の農協組合員であれば「JAあいち経済連」が窓口となります。複数の団体に提出しないよう、ご注意ください。
- Q4. 申請期間はいつですか?
- A4. 令和7年度第2四半期(7月~9月)分については、令和7年10月頃から受付が開始される見込みです。申請期間は提出先の団体によって異なる場合があるため、必ずご自身の提出先に直接確認するか、愛知県の公式サイトで最新情報をご確認ください。
- Q5. 支援金はいつ頃振り込まれますか?
- A5. 申請書類の審査後、令和7年12月頃に支払われる予定です。ただし、書類に不備があった場合などは遅れる可能性があります。
まとめと問い合わせ先
今回は、愛知県が実施する「令和7年度 配合飼料・粗飼料価格高騰対策支援事業」について詳しく解説しました。飼料価格の高騰は、一朝一夕に解決する問題ではありません。このような公的な支援制度を積極的に活用することが、持続可能な畜産経営を実現するための重要な鍵となります。
次のアクション
- ご自身がどちらの支援金の対象となるか、要件を再確認する。
- 書類の提出先がどこになるかを、本記事のフローを参考に特定する。
- 不明点があれば、まずは契約している団体(JA、県酪など)に問い合わせる。
- 公式サイトから申請様式をダウンロードし、早めに準備を始める。
この支援事業に関するご不明な点や、制度全般に関するお問い合わせは、以下の窓口までご連絡ください。
お問い合わせ先
- 愛知県 農業水産局 畜産課 畜政環境・飼料グループ
- 電話:052-954-6425 (ダイヤルイン)
- E-mail:chikusan@pref.aichi.lg.jp
また、各事業主体の連絡先は以下の通りです。
- 愛知県経済農業協同組合連合会: 0532-47-8232
- 愛知県酪農農業協同組合: 0564-53-2450
- 一般社団法人愛知県配合飼料価格安定基金協会: 052-581-4803
- 日本養鶏農業協同組合連合会: 03-5296-7041