詳細情報
「店舗の前に喫煙者が集まってしまい、通行の妨げになっている」「喫煙者と非喫煙者が快適に過ごせる環境を作りたい」とお考えの、東京都北区・渋谷区の事業者様へ朗報です。両区では、誰もが無料で利用できる公衆喫煙所の設置費用および維持管理費用を、最大で全額補助する画期的な助成金制度を実施しています。この制度を活用すれば、初期投資を大幅に抑えながら、地域の環境美化や集客力向上に貢献できます。この記事では、東京都北区と渋谷区の「公衆喫煙所設置費等助成」について、対象者、助成金額、申請方法から採択のポイントまで、専門家が徹底的に比較・解説します。
この記事のポイント
- 東京都北区と渋谷区の公衆喫煙所設置助成金の違いがわかる
- 設置費用は最大900万円、助成率10/10と非常に手厚い
- 維持管理費も最長5年間(渋谷区は上限撤廃)にわたり補助される
- 申請には事前相談が必須!具体的な申請手順と必要書類を解説
1. 北区・渋谷区「公衆喫煙所設置費等助成」の概要
この助成金は、喫煙者と非喫煙者の共存を図り、路上喫煙によるポイ捨てや受動喫煙のリスクを減らすことを目的としています。事業者が所有または賃借する土地・建物に、一般の人が誰でも無料で利用できる「公衆喫煙所」を設置・運営する場合に、その経費を区が補助する制度です。地域社会への貢献度が高い事業として、非常に手厚い支援が用意されています。
制度の目的と背景
2020年4月に全面施行された改正健康増進法により、屋内での喫煙が原則禁止となり、喫煙できる場所が大幅に減少しました。その結果、屋外での喫煙者が増え、路上喫煙やポイ捨て、望まない受動喫煙といった新たな問題が発生しています。本制度は、こうした課題を解決するため、適切に管理された公衆喫煙所を増やすことで、快適でクリーンなまちづくりを目指すものです。
実施組織
- 東京都北区:生活環境部 環境課 地域美化担当
- 東京都渋谷区:環境整備課 きれいなまちづくり係
2. 【徹底比較】助成金額・補助率
両区とも助成率は10/10(全額補助)と非常に魅力的ですが、上限額や期間に違いがあります。ご自身の計画に合わせてどちらの制度が適しているか確認しましょう。
| 項目 | 東京都北区 | 東京都渋谷区 |
|---|---|---|
| 設置経費(新規) | 助成率: 10/10 上限額: 400万円 回数: 1回限り |
助成率: 10/10 上限額: 900万円 (面積に応じて変動) 回数: 初回に限り |
| 維持管理経費 | 助成率: 10/10 上限額: 年間60万円 期間: 5年間 |
助成率: 10/10 上限額: 月額20万円 (年間240万円) 期間: 期間上限なし (令和7年4月より) |
※消費税額も助成対象経費に含まれます。
※助成金額の1,000円未満の端数は切り捨てとなります。
ポイント解説
大規模な喫煙所やデザイン性の高い喫煙所の設置を検討している場合は、上限額が高い渋谷区の制度が有利です。一方、維持管理費の長期的なサポートを重視する場合、渋谷区は期間の上限が撤廃されたため、非常に魅力的です。北区も5年間という手厚い支援が受けられます。ご自身の事業計画と照らし合わせて検討しましょう。
3. 対象者・主な助成要件
助成を受けるためには、申請者の要件と設置する喫煙所の要件を両方満たす必要があります。
対象となる方(申請者)
両区共通で、以下のいずれかに該当する方が対象です。
- 区内の建物または土地を所有する方
- 区内の建物または土地を賃借する方(所有者の同意が必要)
法人、団体、個人事業主のいずれでも申請可能です。ただし、国、独立行政法人、地方公共団体は対象外となります。
対象となる喫煙所の主な要件
助成対象となるには、喫煙所が以下の要件を満たす必要があります。詳細は各区の要綱をご確認ください。
| 要件項目 | 詳細 |
|---|---|
| 運営 | ・一般に開放し、無料で利用できること ・おおむね1日8時間以上かつ週5日以上運営すること ・供用開始日から5年間(60ヶ月)、継続して運営すること |
| 設備(屋内) | ・壁や天井で非喫煙区域と完全に分離されていること ・出入口で喫煙室内に向かう風速が0.2m/s以上あり、煙が流出しない構造であること |
| 設備(屋外) | ・コンテナやトレーラー等で非喫煙区域から区画されていること ・建物の出入口や人通りの多い場所から離すなど、周囲に配慮されていること |
| 場所 | ・路上喫煙禁止地区の区域内およびその周辺 ・駅周辺で、乗降客数や人通りを勘案し区長が必要と認める場所 |
| その他 | ・喫煙可能場所である旨の標識を掲示すること ・近隣住民等への説明を行い、理解を得ていること ・区が公衆喫煙所として周知できること |
4. 補助対象となる経費
具体的にどのような費用が補助の対象になるのか、設置経費と維持管理経費に分けて見ていきましょう。
設置経費
- 工事費
- 設備費(分煙キャビン、脱臭装置、換気設備など)
- 備品費(灰皿、椅子、パーテーションなど)
- 機械装置費
維持管理経費
- 空気清浄機の賃借料(リース料)または保守料
- 電気代
- 火災保険料
- 清掃・ごみ処理委託費
- 喫煙所にかかる賃料
5. 申請方法・手順
申請から助成金交付までの流れは、両区とも概ね同じです。ここでは北区の例を基に、一般的なステップを解説します。
最重要:必ず「事前相談」から!
計画が助成金の要件に合致しているか、どのような書類が必要かなどを確認するため、工事の契約や着工前に必ず各区の担当窓口へ相談してください。事前相談なしに事業を進めると、助成対象外となる可能性があります。
Step 1: 事前相談
計画の概要(設置場所、規模、設備など)をまとめ、各区の担当課に相談します。
Step 2: 交付申請書の提出
必要書類を揃えて申請書を提出します。北区の場合、設置工事着工の15日前までに提出が必要です。審査には2週間程度かかります。
Step 3: 交付決定通知
区の審査を経て、助成金の交付が決定されると通知書が届きます。この通知を受け取ってから、工事の契約・着工となります。
Step 4: 設置工事の実施
計画通りに喫煙所の設置工事を行います。
Step 5: 実績報告書の提出
工事完了後、令和8年3月末日までに実績報告書を提出します。工事費用の領収書なども必要です。
Step 6: 検査・金額確定
区の担当者が現地検査を行い、報告書の内容と相違ないか確認します。その後、助成金額が正式に確定します。
Step 7: 交付請求・助成金交付
確定した金額の交付請求書を提出すると、指定の口座に助成金が振り込まれます。
主な必要書類
- 交付申請書
- 公衆喫煙所設置・運営計画書
- 設置場所の登記事項証明書(所有者)または賃貸借契約書の写し(賃借者)
- 所有者の同意書(賃借者の場合)
- 案内図、配置図、平面図、立面図、仕様書など
- 設置前の写真
- 設置経費の見積書の写し
※その他、各区の要綱で定められた書類が必要です。必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
6. 採択されるための3つの重要ポイント
この助成金は予算に限りがあり、先着順で受付が終了する可能性があります。確実に採択されるために、以下のポイントを押さえましょう。
ポイント1:設置場所の妥当性
助成の要件にもある通り、「路上喫煙禁止地区」や「駅周辺」など、喫煙所のニーズが高い場所であることが重要です。なぜその場所に設置する必要があるのか、周辺の歩行者数や喫煙者の状況などを踏まえて、計画書で具体的に説明できるように準備しましょう。
ポイント2:近隣への配慮と合意形成
喫煙所の設置は、近隣の住民や店舗から反対されるケースも少なくありません。「近隣住人等に対して、十分な説明を行い、理解を得たものであること」は重要な要件です。煙や臭いが流れないか、人の出入りで迷惑がかからないかなど、懸念されそうな点について事前に対策を講じ、丁寧に説明して合意を形成しておくことが採択の鍵となります。
ポイント3:継続可能な運営計画
この助成金は、最低でも5年間の継続運営が義務付けられています。途中で運営できなくなった場合は、助成金の返還を求められることもあります。日々の清掃や吸い殻の処理、設備のメンテナンスなど、安定的かつ継続的に運営できる体制が整っていることを、運営計画書で具体的に示すことが重要です。
7. よくある質問(FAQ)
Q1. 個人事業主でも申請できますか?
A1. はい、法人、団体、個人のいずれでも申請可能です。
Q2. 賃貸の物件や土地でも申請できますか?
A2. はい、可能です。ただし、設置にあたり、その建物または土地の所有者から同意を得ていることを証明する書類が必要になります。
Q3. 申請すれば必ず助成金はもらえますか?
A3. いいえ、必ずもらえるわけではありません。提出された計画書の内容について審査が行われます。また、区の予算額に達した時点で受付が終了となるため、早めの相談・申請をおすすめします。
Q4. 既存の喫煙所を改修する場合も対象になりますか?
A4. 基本的には新規設置が対象です。ただし渋谷区では、既存の喫煙所を新たに公衆喫煙所として一般開放する場合の「維持管理費用」は助成対象となります。詳細は各区にご確認ください。
Q5. 助成金の返還義務はありますか?
A5. はい、あります。供用開始の日から5年間、継続して運営できなかった場合は、助成金の一部または全部を返還していただく必要があります。
8. まとめと問い合わせ先
東京都北区と渋谷区の公衆喫煙所設置費等助成は、喫煙者と非喫煙者の共存、そして地域の環境美化に貢献したい事業者にとって、非常に価値のある制度です。助成率10/10という手厚い支援を活用し、社会貢献と事業の発展を両立させましょう。
重要ポイントの再確認
- 助成率10/10で設置費・維持費を補助。
- 上限額は北区400万円、渋谷区900万円(設置費)。
- 最低5年間の継続運営が必須。
- 何よりもまず、各区の担当窓口への「事前相談」がスタートラインです。
この機会に、ぜひ制度の活用をご検討ください。ご不明な点があれば、下記の担当窓口へお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ先
東京都北区
生活環境部 環境課 地域美化担当
〒114-0002 東京都北区王子1-12-4 TIC王子ビル2階
電話:03-3908-8610
東京都渋谷区
環境整備課 きれいなまちづくり係
電話:03-3463-3496