首都直下地震などの大規模災害は、いつ起こるかわかりません。地域コミュニティの拠点である商店街にとって、防災対策は来街者や地域住民の安全を守るための喫緊の課題です。しかし、「何から手をつければいいのかわからない」「費用がかかる」といった悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。そんな東京都内の商店街の皆様に朗報です。東京都では、防災資機材の購入や防災訓練の実施にかかる費用を【全額】補助する「商店街防災力向上緊急支援事業費補助金」を実施しています。上限30万円、補助率10/10という非常に手厚い支援策です。この記事では、この魅力的な補助金の概要から申請方法、採択のポイントまで、どこよりも詳しく、わかりやすく解説します。この機会に、あなたの商店街の防災力を一気に高めましょう。
この補助金の3つのポイント
- 補助率10/10(全額補助)で実質負担ゼロ!
- 防災備蓄品や資機材の購入に最大30万円まで支援!
- 【朗報】申請期間が令和7年11月30日まで延長!
① 補助金の概要
正式名称
東京都商店街防災力向上緊急支援事業費補助金事業
実施組織
東京都 産業労働局 商工部 地域産業振興課
目的・背景
この補助金は、首都直下地震等の大規模な自然災害の発生に備え、都内の商店街が来街者や地域住民の安全確保、帰宅困難者支援など、地域における防災拠点としての役割を担えるよう、その取り組みを支援することを目的としています。商店街が主体的に防災力を向上させることで、地域全体のレジリエンス(回復力)を高める狙いがあります。
② 補助金額・補助率
この補助金の最大の魅力は、その手厚い支援内容にあります。補助率は10分の10、つまり全額補助です。これにより、商店街は費用負担なく防災対策を進めることができます。
| 申請形態 | 補助率 | 補助上限額 |
|---|---|---|
| 商店街による単独申請 | 10/10 | 30万円 |
| 商店街の連合会や商工会等による「とりまとめ申請」 (複数の商店街が共同で行う場合も含む) |
10/10 | 30万円 × とりまとめて申請する商店街等の数 |
計算例:とりまとめ申請の場合
例えば、地域の商店街連合会が、傘下のA商店街、B商店街、C商店街の3つの商店街の防災事業をとりまとめて申請する場合、補助上限額は以下のようになります。
30万円 × 3商店街 = 90万円
これにより、より広域で大規模な防災対策を実施することが可能になります。
③ 対象者・補助要件
補助対象者
以下のいずれかに該当する団体が対象です。法人格の有無は問いません。
- 都内の商店街(複数の商店街が共同で実施する場合も含む)
- 区市町村を単位とする商店街の連合会
- 商工会、商工会議所及び商工会連合会
満たすべき2つの補助要件
補助金を受けるためには、以下の2つの要件を両方満たす必要があります。
- 防災訓練を1回以上実施すること
申請書に実施(予定)日を記載する必要があります。訓練は令和7年4月1日~令和8年2月27日までに実施してください。交付決定前の訓練も対象となる場合がありますが、詳細は事前に確認しましょう。
(例:安否確認訓練、避難誘導訓練、消火器・AED使用訓練、帰宅困難者支援訓練など) - 災害が起きた際のルール・マニュアルを具備すること
災害時の連絡体制、各店舗の役割分担、来街者の避難誘導方法などを定めたマニュアルを作成し、申請書に添付する必要があります。東京都の公式サイトには簡易的な記入様式や作成例が用意されているので、ぜひ活用しましょう。
④ 補助対象経費
具体的にどのような経費が補助の対象になるのか、詳しく見ていきましょう。
- 防災資機材・防災備蓄品等の購入経費
- 情報伝達・収集用: 防災用無線機、メガホン、携帯ラジオ、スマートフォン充電器、発電機など
- 救助・救護用: 救助用工具セット(バール、ジャッキ等)、担架、救急箱、AEDなど
- 避難生活用: 簡易トイレ、ヘルメット、ブルーシート、テント、毛布、ランタンなど
- 備蓄品: 非常食、保存水、粉ミルク、生理用品など(※保存年限が5年以上のものが対象)
- 防災訓練の案内や防災マップ等の作成・印刷に要する経費
- 訓練参加を呼びかけるチラシやポスターの印刷費
- 地域の危険箇所や避難場所を記した防災マップの作成・印刷費
- 打合せに係る経費
- 防災マニュアル作成や訓練計画のための会議室等の会場費
注意点:対象外となる経費
人件費や食糧費(訓練時の炊き出し等)、汎用性が高く日常的に使用できる物品(通常のパソコンやプリンターなど)は対象外となる場合があります。購入を検討している備品が対象になるか不安な場合は、事前に申請窓口である区市町村の担当課に確認することをおすすめします。
⑤ 申請方法・手順
申請は、交付決定、事業実施、実績報告という流れで進みます。スケジュールをしっかり確認し、計画的に準備を進めましょう。
申請期間と事業実施期間
- 申請受付期間: 令和7年6月9日(月)~ 令和7年11月30日(日)【消印有効】 ※期間が延長されました!
- 事業実施期間: 交付決定日 ~ 令和8年2月27日(金)
申請ステップ
Step 1: 事前準備
まずは、商店街内でどのような防災対策が必要か話し合いましょう。購入したい資機材をリストアップし、カタログ等で金額のわかる資料(見積書など)を取得します。並行して、災害時のルール・マニュアルの作成と、防災訓練の計画を立てます。
Step 2: 必要書類の準備
以下の書類を準備します。様式は東京都や各区市町村のウェブサイトからダウンロードできます。
- 補助金交付申請書
- 収支予算書
- 定款、規約など商店街の設立根拠がわかる規程
- 商店街等の役員名簿
- 災害が起きた際のルール、マニュアル
- 対象経費の金額の根拠資料(カタログのコピー、見積書など)
- 保存年限がわかる資料(パンフレット等 ※備蓄品購入の場合)
- 印鑑証明(原本)
- 通帳見開きページ(支店名、口座番号、口座名義人がわかる部分)のコピー
- 納税証明書(原本 ※法人のみ)
※とりまとめ申請の場合は、とりまとめる全ての商店街の書類が必要になる場合があります。詳細は募集要領をご確認ください。
Step 3: 申請書の提出
準備した書類を、所在地の各区市町村の商店街振興担当課に提出します。郵送または窓口で受け付けています。また、政府の補助金電子申請システム「Jグランツ」によるオンライン申請も可能です。
Step 4: 交付決定後の流れ
申請内容が審査され、交付が決定されると「交付決定通知書」が届きます。この通知書を受け取ってから、物品の購入や契約(発注)を行ってください。交付決定前に発注した経費は原則として補助対象外となるため、十分ご注意ください。事業が完了したら、30日以内に実績報告書を提出し、その後補助金が振り込まれます。
⑥ 採択のポイント
この補助金は、予算の範囲内で要件を満たした申請を採択するものであり、競争性の高いものではありません。したがって、以下のポイントを確実に押さえることが採択への近道です。
- 書類の不備をなくす: 最も基本的なことですが、記入漏れや必要書類の不足がないか、提出前に何度も確認しましょう。
- マニュアルの具体性: テンプレートをただ埋めるだけでなく、自分たちの商店街の実情に合った、具体的で実行可能なルールや役割分担を記載することが重要です。誰が、いつ、何をするのかが明確になっていると評価が高まります。
- 防災訓練の計画性: 「いつ、どこで、誰が、どのような内容の訓練を行うか」を具体的に計画し、申請書に記載しましょう。
- 専門家派遣を活用する: マニュアル作成に不安がある場合は、「商店街ステップアップ応援事業」の無料専門家派遣を活用するのも有効です。専門家のアドバイスを受けることで、より質の高い計画を立てることができます。
- 早めに相談・申請する: 申請期間は延長されましたが、予算には限りがあります。また、書類準備には時間がかかるため、早めに動き出し、不明点は区市町村の担当課に相談しながら進めることをお勧めします。
⑦ よくある質問(FAQ)
Q1. 法人格のない任意団体の商店街でも申請できますか?
A1. はい、対象となります。定款や規約、役員名簿など、団体の存在や活動内容がわかる書類をご準備ください。
Q2. 防災訓練は申請前に実施しておく必要がありますか?
A2. いいえ、申請時点では計画段階で問題ありません。申請書に実施予定日を記載し、事業実施期間内(交付決定日~令和8年2月27日)に必ず1回以上実施してください。
Q3. 申請は東京都に直接行うのですか?
A3. いいえ、申請の窓口は商店街が所在する各区市町村の商店街振興担当課となります。Jグランツによる電子申請も可能です。
Q4. 申請は1つの商店街で何回でもできますか?
A4. 申請は1商店街等につき1回限りです。単独で申請した後に、とりまとめ申請に参加することはできませんのでご注意ください。
Q5. 交付決定前に購入した備品は対象になりますか?
A5. 原則として、対象外です。必ず交付決定通知書が届いてから、物品の購入や契約(発注)を行ってください。
⑧ まとめ・行動喚起
今回は、東京都の「商店街防災力向上緊急支援事業費補助金」について詳しく解説しました。
重要ポイントの再確認
- 補助率10/10(全額補助)、上限30万円の非常に手厚い支援。
- 防災資機材、備蓄品、防災マップ作成など幅広い経費が対象。
- 「防災訓練の実施」と「マニュアルの具備」が必須要件。
- 申請期間は令和7年11月30日(日)まで延長。
- 申請窓口は各区市町村の担当課。
災害時に地域を守る拠点となる商店街の役割は、ますます重要になっています。この補助金は、そのための第一歩を力強く後押ししてくれる制度です。申請期間が延長された今が絶好のチャンスです。まずは、東京都の公式サイトで詳細な募集要領を確認し、あなたの商店街が所在する区市町村の担当課へ相談することから始めてみましょう。
お問い合わせ先
【制度全般に関するお問い合わせ】
東京都 産業労働局 商工部 地域産業振興課
電話:03-5320-4787
住所:〒163-8001 東京都新宿区西新宿2-8-1
【申請手続きに関するお問い合わせ】
各区市町村の商店街振興担当課