中級

【2025年】止水板設置助成金|最大150万円!浸水・ゲリラ豪雨対策の申請方法を解説

0回閲覧

近年、ゲリラ豪雨や大型台風による浸水被害が全国各地で深刻化しています。大切な家や店舗を水害から守るための有効な対策として「止水板(防水板)」の設置が注目されていますが、その費用がネックになっている方も多いのではないでしょうか。この記事では、そんな止水板の設置費用を大幅に軽減できる「止水板設置助成金(補助金)」について、全国の自治体の事例を交えながら徹底解説します。助成金の概要から申請方法、採択されるためのポイントまで、専門家が分かりやすくガイドしますので、浸水対策を検討中の方はぜひ最後までご覧ください。

この記事のポイント

  • 全国の自治体が実施する止水板設置助成金の概要がわかる
  • 最大150万円の助成内容や補助率、対象経費がわかる
  • 工事着工前の申請など、失敗しないための申請手順と注意点がわかる
  • 賃貸物件での申請可否など、よくある質問への答えが見つかる

① 止水板設置助成金とは?

制度の目的と背景

止水板設置助成金とは、個人住宅や店舗、事業所などが浸水対策のために止水板(防水板)を設置する際の費用の一部を、地方自治体が補助する制度です。気候変動の影響で頻発・激甚化する水害に対し、行政による河川改修などの「公助」だけでなく、住民一人ひとりが自らの財産を守る「自助」の取り組みを促進することを目的としています。

この制度は、西宮市、品川区、荒川区、大分市、福井市など、全国の多くの市区町村で導入されており、お住まいの地域でも同様の制度が利用できる可能性があります。

止水板とは?

止水板とは、建物の出入口やガレージの入り口などに設置し、豪雨時に水の侵入を防ぐための板状の設備です。防水板とも呼ばれます。助成金の対象となるのは、主に以下のような特徴を持つものです。

  • 材質:浸水に耐えうる金属製(アルミ、ステンレス等)や樹脂製が一般的です。
  • タイプ:普段は収納しておき、いざという時に設置する「脱着式」や、地面に埋め込まれた設備を引き上げる「起伏式」、工事不要で設置できる「簡易型」などがあります。
  • 性能:一定の止水性能(水の浸入を防ぐ能力)を有することが条件となります。

② 助成金額・補助率【自治体別比較】

助成金額や補助率は、自治体によって大きく異なります。ここでは、いくつかの自治体の例を比較してみましょう。ご自身の地域で制度を探す際の参考にしてください。

自治体名 補助率 上限額 備考
東京都品川区 個人: 4/5
法人: 3/5
個人: 100万円
法人: 150万円
区内に住民登録/登記していない場合は上限額が半額
東京都荒川区 1/2 (※2/3) 150万円 ※分譲マンション防災対策工事支援制度併用の場合
福井県福井市 2/3 50万円 対象区域あり
兵庫県西宮市 1/2 50万円 対象区域あり
大分県大分市 1/2 50万円 1つの敷地につき1回まで

このように、補助率は対象経費の1/2から4/5、上限額は50万円から150万円と幅があります。特に品川区や荒川区では手厚い支援が用意されています。お住まいの自治体の制度を確認することが重要です。

③ 対象者・条件

助成金の対象となる方や建物には、いくつかの条件があります。一般的に共通する要件と、注意すべき点をまとめました。

主な対象者

  • 自治体の指定する対象区域内にある建物の所有者または使用者(居住者・賃借人)
  • 対象となる建物は、戸建住宅、マンション(集合住宅)、店舗、事業所(法人事務所)など多岐にわたります。
  • マンションの場合、エントランスなどの共用部は管理組合、各住戸のベランダなどはその住戸の所有者や使用者が申請者となるのが一般的です。

対象外となる主なケース(要注意!)

以下のいずれかに該当する場合、助成の対象外となる可能性が高いのでご注意ください。

  • 国、地方公共団体など
  • 市税や下水道使用料などを滞納している方
  • 新築の建物(制度開始後や特定の年月日以降に建築確認を受けた建物は対象外となる場合があります)
  • 過去に同じ建物で同様の助成金を受けたことがある場合
  • 開発事業などに伴って設置する場合

重要:対象区域の確認
西宮市や福井市のように、ハザードマップなどに基づいて特に浸水リスクが高い地域を「助成対象区域」として指定している場合があります。申請を検討する前に、ご自身の建物が対象区域に含まれているか、必ず自治体のホームページや窓口で確認しましょう。

④ 補助対象経費

助成金の対象となる経費は、主に止水板の購入と設置に関連する費用です。

対象となる経費の例

  • 止水板本体の購入費
  • 設置工事費:止水板を固定するための支柱やレールの設置工事など
  • 関連工事費:設置に付随して必要となる防水工事、コンクリート打設工事、サッシ工事など
  • 簡易型止水板の購入費:工事を伴わずに設置できるタイプの止水板(土のうの代わりになるものなど)も対象となる場合があります。(例:荒川区)

対象とならない経費の例

  • 自作の止水板にかかる材料費
  • 消費税
  • 振込手数料
  • ポイントやクーポンを利用して購入した場合の割引分

⑤ 申請方法・手順

助成金を受けるためには、正しい手順で申請を行う必要があります。特に「工事の契約・着工前に申請し、交付決定を受ける」という点が最も重要です。一般的な流れをステップごとに解説します。

絶対に守るべきルール:事前申請の徹底
交付決定前に購入・契約・工事着手した場合は、いかなる理由があっても助成金の対象外となります。必ず自治体からの「交付決定通知」を受け取ってから、業者との契約や工事を進めてください。

【STEP 1】事前相談・業者選定・見積取得
まずはお住まいの自治体の担当課(下水計画課、土木管理課など)に相談し、制度の詳細や対象要件を確認します。その後、複数の施工業者に連絡を取り、現地調査を依頼した上で、詳細な見積書(工事費内訳がわかるもの)を取得します。

【STEP 2】交付申請(工事着工前)
必要書類を揃えて、自治体の窓口に提出します。郵送や電子申請が可能な場合もあります。申請期間は「毎年4月1日~翌1月31日」のように定められていることが多いですが、予算額に達し次第、期間内でも受付を終了する場合があるため注意が必要です。

【STEP 3】審査・現地確認・交付決定
提出された書類に基づき、自治体が審査を行います。職員による現地確認が行われることもあります。審査に通ると「交付決定通知書」が送付されます。

【STEP 4】止水板の購入・設置工事
交付決定通知書を受け取ったら、正式に業者と契約し、工事を開始します。この際、「工事中の写真」を必ず撮影しておきましょう。後の完了報告で必須となります。

【STEP 5】工事完了・支払い
工事が完了したら、業者に費用を支払います。必ず原本の領収書を受け取ってください。

【STEP 6】完了報告
工事完了後、定められた期間内(例:完了後30日以内かつ年度末まで)に、完了報告書と必要書類(領収書の原本、工事中・完了後の写真など)を提出します。

【STEP 7】完了検査・交付額確定
自治体が完了報告書を審査し、現地で完了検査を行います。問題がなければ「交付額確定通知書」が送付されます。

【STEP 8】助成金の請求・受領
交付額確定通知書を受け取ったら、最後に「助成金交付請求書」を提出します。後日、指定した金融機関の口座に助成金が振り込まれます。

主な必要書類リスト

申請から請求までに必要となる主な書類は以下の通りです。自治体によって様式や名称が異なるため、必ず公式サイトで確認してください。

  • 助成金交付申請書
  • 誓約書、同意書
  • 工事見積書の写し
  • 設置予定場所の位置図、平面図
  • 設置する止水板のカタログ(製品名、材質、性能がわかるもの)
  • 設置予定場所の写真(遠景・近景)
  • 住民票(個人の場合)、登記簿謄本(法人の場合)
  • 市税等の納税証明書または納付状況調査同意書
  • 【完了時】完了報告書、領収書原本、工事中・完了後の写真
  • 【請求時】助成金交付請求書

⑥ 採択のポイント・注意点

助成金を確実に受けるために、押さえておくべきポイントと注意点をまとめました。

  • 早めの行動を心がける:多くの制度は先着順で、年度の予算がなくなり次第終了します。特に浸水被害が増える夏から秋にかけて申請が集中する可能性があるため、春先など早めの時期から準備を始めるのがおすすめです。
  • 書類の不備をなくす:申請書類に不備があると、審査が遅れたり、最悪の場合、受付期間に間に合わなくなったりします。自治体のホームページにある記入例をよく確認し、不明な点は事前に電話などで問い合わせましょう。
  • 写真撮影は忘れずに:「設置前」「工事中」「設置後」の写真は、助成金を受けるための重要な証拠となります。スマートフォンのカメラで構いませんので、各工程で忘れずに撮影してください。
  • 維持管理義務を確認する:助成金を受けて設置した止水板は、10年間など一定期間の適切な維持管理が義務付けられる場合があります。期間内に正当な理由なく処分すると、助成金の返還を求められることがあるので注意が必要です。

⑦ よくある質問(FAQ)

Q1. 賃貸物件に住んでいますが、申請できますか?

A1. 賃借人(借家人)が申請できる自治体も多くあります。ただし、その場合は建物の所有者(大家さん)からの「承諾書」や「同意書」の提出が必須となります。まずは大家さんや管理会社に相談し、設置の許可を得る必要があります。

Q2. どんな業者に頼めば良いですか?自治体で紹介してくれますか?

A2. 自治体が特定の業者を斡旋・紹介することはありません。ご自身で建設業者、リフォーム業者、エクステリア業者、サッシ業者などに問い合わせて探す必要があります。止水板の設置実績がある業者を選ぶとスムーズです。複数の業者から見積もりを取り、費用や工事内容を比較検討することをおすすめします。

Q3. 自分でDIYで設置したいのですが、対象になりますか?

A3. 自作の止水板や、ご自身で設置工事を行った場合の工賃(人件費)は、原則として助成の対象外です。助成金は、業者に依頼して購入・設置する場合の費用を補助する制度と理解してください。ただし、工事不要の「簡易型止水板」を購入する費用は対象となる場合があります。

Q4. 助成金はいつ受け取れますか?

A4. 助成金は後払いです。工事完了後、業者への支払いを済ませ、すべての報告・請求手続きが完了した後に振り込まれます。請求書の提出から振込までには、20日~1ヶ月程度かかるのが一般的です。工事費用は一旦全額自己資金で立て替える必要があります。

Q5. 申請内容に変更があった場合はどうすれば良いですか?

A5. 設置する止水板の製品を変更したり、工事内容に大きな変更が生じたりした場合は、速やかに自治体の担当課に連絡が必要です。場合によっては、一度申請を取り下げて再申請する必要が出てくることもあります。自己判断で進めず、必ず担当者に相談してください。

⑧ まとめ:まずは自治体への相談から始めよう

止水板設置助成金は、激甚化する水害からご自身の財産と生活を守るための「自助」を力強く後押ししてくれる、非常に価値のある制度です。最大で150万円もの支援を受けられるケースもあり、活用しない手はありません。

この制度をうまく活用するための重要ポイントを再確認しましょう。

  • 【最重要】必ず工事の契約・着工前に申請する。
  • 予算上限と申請期間を確認し、早めに準備を始める。
  • まずはお住まいの自治体のホームページで制度の有無を確認し、担当課に相談する。

この記事を参考に、ぜひお住まいの地域の助成金制度を調べ、大切な住まいや事業所を守る第一歩を踏み出してください。まずは「お住まいの市区町村名 止水板 助成金」で検索してみましょう。