2025年度(令和7年度)、神奈川県の藤沢市、綾瀬市、鎌倉市では、地球温暖化対策の一環として、住宅への再生可能エネルギー・省エネルギー設備の導入を支援する補助金制度を実施しています。太陽光発電システムや家庭用蓄電池、エネファームなどの設置を検討している方にとって、初期費用を大幅に抑える絶好のチャンスです。しかし、自治体によって補助金額や申請条件、手続きの流れが異なるため、どの制度が自分に最適なのか分かりにくいと感じる方も多いでしょう。この記事では、藤沢市、綾瀬市、鎌倉市の3市の補助金制度を徹底的に比較・解説します。あなたの住む街の制度を最大限に活用し、賢くエコな暮らしをスタートさせるための完全ガイドです。

この記事のポイント

  • 神奈川県藤沢市・綾瀬市・鎌倉市の2025年度(令和7年度)住宅用再エネ補助金の概要がわかる
  • 太陽光発電、蓄電池、エネファーム等の補助金額や条件を自治体ごとに比較できる
  • 申請タイミング(事前申請・事後申請)の違いなど、失敗しないための注意点がわかる
  • 必要書類や申請手順、採択されるためのコツまで具体的に解説

【比較表】藤沢市・綾瀬市・鎌倉市 補助金制度の概要

まずは、3市の補助金制度の主な特徴を一覧で比較してみましょう。特に申請のタイミング(工事着手前か後か)は最も重要な違いですので、必ず確認してください。

項目 藤沢市 綾瀬市 鎌倉市
正式名称 地球温暖化対策設備等に関する補助事業 個人住宅用再エネ・省エネ設備等導入費補助金 住宅用再生可能エネルギー・省エネ機器等設置費補助金
申請タイミング 工事着手前(事前申請) 工事完了後(事後申請) 工事着手前(事前申請)
申請期間 〜2026年3月2日 2025年4月1日〜2026年3月16日 2025年4月1日〜2026年2月27日
受付方法 先着順 先着順 先着順
主な特徴 市内事業者の利用が要件。設備の種類が豊富。 ZEH加算(10万円)あり。電子申請が原則。 ZEH等加算(5万円)あり。予算残高をHPで公開。

補助金額・補助率の詳細

各市で補助対象となる設備と金額は異なります。ここでは主要な設備について比較します。ご自身の導入したい設備がいくら補助されるのか確認しましょう。

設備別 補助金額比較表

対象設備 藤沢市 綾瀬市 鎌倉市
太陽光発電システム 1kWあたり15,000円
(上限50,000円)
1kWあたり10,000円
(上限30,000円)
1kWあたり10,000円
(上限50,000円)
家庭用燃料電池(エネファーム) 一律 50,000円 一律 50,000円 上限 40,000円
定置用リチウムイオン蓄電池 一律 50,000円 一律 50,000円 上限 40,000円
電気自動車充給電器(V2H) 対象外 一律 50,000円 上限 20,000円
ZEH等 加算 なし 100,000円 50,000円
電気自動車(EV) 一律 50,000円 別制度あり 一律 20,000円

綾瀬市と鎌倉市には、国や県のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)関連補助金と併用することで追加の補助が受けられる「ZEH加算」制度があります。対象となる方は、補助額が大幅にアップするため、ぜひ活用を検討してください。

対象者・主な条件

補助金を利用するには、各市が定める対象者の要件を満たす必要があります。共通する条件と、市ごとの特徴的な条件をまとめました。

全市共通の主な条件

  • 補助対象設備を設置する市内の住宅に居住している(または居住予定の)個人であること。
  • 市税を滞納していないこと。
  • 設置する設備はすべて未使用品であること。
  • 暴力団員等でないこと。

市ごとの特徴的な条件

  • 藤沢市:市内事業者を施工事業者等に利用することが要件となります。地域経済の活性化を目的とした重要な条件です。
  • 綾瀬市:店舗等との併用住宅の場合、家庭用として使用することが明確である必要があります。完了年月日が指定の期間内(令和7年3月1日〜令和8年3月15日)であることが求められます。
  • 鎌倉市:自ら居住する住宅だけでなく、他者に貸し出す目的で所有する住宅への設置も対象となります。また、建売住宅の購入者も対象です。

補助対象経費

補助金の対象となるのは、主に設備の購入費と設置工事費です。どこまでが対象になるのかを事前に把握しておくことが大切です。

対象となる経費の例

  • 太陽光パネル(モジュール)本体の購入費
  • パワーコンディショナー、接続箱、架台などの周辺機器の購入費
  • 家庭用蓄電池、エネファーム等の設備本体の購入費
  • 上記設備の設置にかかる工事費

対象外となる経費の例

  • 申請手続きにかかる手数料、書類取得費用
  • 既存設備の撤去費用
  • 土地の造成費用
  • 消費税および地方消費税
  • ローン金利や手数料

申請方法・手順

申請手順は自治体によって大きく異なります。特に、工事を始める前に申請が必要な「事前申請」と、工事完了後に申請する「事後申請」の違いは、補助金を受けられるかどうかを左右する最も重要なポイントです。

【最重要】申請タイミングを間違えないで!
藤沢市・鎌倉市:事前申請です。必ず市の「交付決定通知書」が届いてから工事を開始してください。通知前に着工すると補助対象外になります。
綾瀬市:事後申請です。設備の設置と代金の支払いが完了した後に申請します。

ステップバイステップの手順

藤沢市・鎌倉市(事前申請)の場合

  1. 施工業者と契約し、見積書等を取得する。
  2. 市の担当窓口に「交付申請書」と必要書類を提出する。
  3. 市から「交付決定通知書」が郵送で届くのを待つ。(約2週間〜)
  4. 通知書到着後、設置工事を開始する。
  5. 工事完了・支払い後、期限内に「実績報告書」を提出する。
  6. 市から「交付額確定通知書」が届く。
  7. 指定口座に補助金が振り込まれる。

綾瀬市(事後申請)の場合

  1. 施工業者と契約し、設置工事を行う。
  2. 工事完了後、代金の支払いを済ませる。
  3. 市の電子申請システムまたは窓口で「交付申請書」と必要書類を提出する。
  4. 市で審査が行われ、「交付決定通知書」が届く。
  5. 「請求書」を提出する。(申請時に同時提出も可能)
  6. 指定口座に補助金が振り込まれる。(約1ヶ月後)

必要書類の完全リスト(主なもの)

申請には多くの書類が必要です。事前にリストを確認し、漏れなく準備しましょう。詳細は各市の公式サイトで必ず確認してください。

  • 申請書:各市の指定様式
  • 工事請負契約書の写し:金額や内訳がわかるもの
  • 領収書の写し:支払い完了を証明するもの(事後申請や実績報告時)
  • 設置場所の地図:住宅の場所がわかるもの
  • 住民票の写し:(藤沢市など)3ヶ月以内に取得したもの
  • 市税の納税証明書または滞納がないことの証明書
  • 設備の仕様がわかる書類:カタログの写し、保証書の写しなど
  • 設置状況を示す写真:設置前後の写真、設備全体や型番がわかる写真など
  • その他:電力会社との契約書類(太陽光)、ZEH認証書類(ZEH加算の場合)など

採択のポイントと注意点

補助金を確実に受け取るためには、いくつかの重要なポイントがあります。よくある不採択理由と合わせて確認しておきましょう。

採択率を高めるコツ

  • 早めの申請を心がける:全ての市の補助金は先着順です。年度の後半になると予算上限に達して受付が終了する可能性があります。特に鎌倉市は公式サイトで予算残高を公開しているので、こまめにチェックしましょう。
  • 書類の不備をなくす:申請書類に不備があると、受理されなかったり、修正に時間がかかり、その間に予算がなくなるリスクがあります。提出前にチェックリストで何度も確認しましょう。窓口に持参して担当者に確認してもらうのが最も確実です。
  • 要綱を熟読する:各市の「補助金交付要綱」には、全てのルールが記載されています。申請前に必ず一読し、不明な点は担当課に問い合わせましょう。

よくある不採択・失敗理由

  • 事前申請なのに工事を始めてしまった:藤沢市・鎌倉市で最も多い失敗例です。「交付決定通知書」を受け取る前の契約・着工は絶対にNGです。
  • 市税の滞納があった:申請前に必ず納税状況を確認してください。
  • 提出期限を過ぎてしまった:申請期限や実績報告の期限は厳守です。
  • 対象外の設備だった:補助対象となる設備の要件(型番リストなど)を事前に確認しましょう。
  • 藤沢市で市外の業者に依頼してしまった:藤沢市は市内事業者の利用が必須条件です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 国や県の補助金と併用できますか?
A1. はい、多くの場合は併用可能です。ただし、国や県の補助金側で「地方公共団体の補助金との併用不可」と定めている場合があるため、そちらの要綱も必ず確認してください。
Q2. 申請期間内ならいつでも申請できますか?
A2. いいえ、できません。全ての市の補助金は先着順で、申請額が予算の上限に達した時点で受付終了となります。検討している場合は、できるだけ早く申請することをおすすめします。
Q3. 設置後、すぐに設備を売却したり処分したりできますか?
A3. いいえ、できません。各市で財産処分制限期間が定められています(太陽光で10年、エネファーム・蓄電池で6年など)。この期間内に処分する場合は市の承認が必要で、補助金の返還を求められることがあります。
Q4. 申請は本人でないとダメですか?
A4. 申請者本人による申請が原則ですが、施工業者などが代行できる場合もあります。ただし、書類の内容や要件については申請者本人が責任を持って確認する必要があります。
Q5. 問い合わせはどこにすれば良いですか?
A5. 各市の担当部署に直接問い合わせるのが最も確実です。
藤沢市:環境部 ゼロカーボン推進課 (0466-50-8282)
綾瀬市:市民環境部 環境保全課 (0467-70-5619)
鎌倉市:環境部 環境政策課 (0467-61-3421)

まとめ:自分に合った補助金を活用しよう

今回は、神奈川県の藤沢市、綾瀬市、鎌倉市が実施する2025年度の住宅用再生可能エネルギー設備導入補助金について詳しく解説しました。

最終チェックリスト

  • あなたの市は?:藤沢市、綾瀬市、鎌倉市のどれに該当しますか?
  • 申請タイミングは?:事前申請(藤沢・鎌倉)か、事後申請(綾瀬)か確認しましたか?
  • 予算は大丈夫?:先着順のため、早めの行動が鍵です。
  • 市の特別要件は?:藤沢市の「市内事業者」要件などをクリアしていますか?
  • ZEH加算は使える?:綾瀬市・鎌倉市でZEH住宅を建てる・購入する方は要チェックです。

これらの補助金制度は、環境に貢献しながら家計の負担も軽減できる素晴らしい機会です。しかし、ルールは複雑で、手続きには注意が必要です。この記事を参考に、まずはご自身の市の公式サイトで最新の交付要綱や申請様式を確認し、不明な点は担当課へ問い合わせてみましょう。計画的に準備を進め、補助金を最大限に活用して、快適でエコな新しい生活を実現してください。