千葉県船橋市で事業を展開する中小企業の皆様へ朗報です。企業の競争力強化、品質向上、環境経営、そして新製品開発を力強く後押しする「船橋市工業振興支援事業補助金」が2025年度も実施されています。この補助金は、国際規格(ISO)の認証取得や特許権の取得、自社製品の試験データ収集など、企業の成長に不可欠な取り組みにかかる経費の一部を補助する制度です。最大で100万円の補助が受けられるメニューもあり、設備投資や専門家への依頼費用を大幅に軽減できます。この記事では、4つの支援メニューの詳細、対象者、申請方法、そして採択されるためのポイントまで、どこよりも分かりやすく徹底解説します。自社の成長戦略に合致するメニューがないか、ぜひ最後までご確認ください。
この補助金のポイント
- 船橋市内に事業所を持つ中小企業が対象
- ISO認証、エコアクション21、特許取得、製品試験の4つのメニュー
- 最大100万円、補助率1/2または1/3の支援
- 令和4年度から全業種が対象に拡大!
- 申請タイミングがメニューによって異なるため注意が必要
船橋市工業振興支援事業補助金の概要
本補助金は、船橋市内の中小企業者が行う経営基盤の強化や技術力の向上に繋がる取り組みを支援することを目的としています。具体的には、以下の4つの事業が補助対象となります。自社の課題や目標に合わせて、最適なメニューを選択することが可能です。
| 支援メニュー | 目的 | 最大補助額 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 【1】国際規格(ISO)認証取得事業 | 品質・環境・情報セキュリティ等のマネジメントシステム構築支援 | 50万円 | 1/3 |
| 【2】エコアクション21認証・登録事業 | 環境経営システムの構築支援 | 10万円 | 1/3 |
| 【3】産業財産権取得・登録事業 | 独自技術やアイデアの権利保護支援 | 15万円 | 1/3 |
| 【4】自社製品の試験データ収集事業 | 新製品開発や品質向上のためのデータ収集支援 | 100万円 | 1/2 |
実施組織と目的
この補助金は、船橋市が市内産業の振興を目的として実施しています。企業の信頼性向上、環境配慮、技術革新、製品開発といった多角的な支援を通じて、市内経済の活性化を目指しています。以前は製造業などに限定されていましたが、現在は全業種の中小企業が対象となっており、より多くの事業者が活用しやすくなりました。
対象者・申請要件
本補助金の対象となるのは、以下の共通要件を満たす中小企業者です。
- 中小企業基本法第2条第1項に規定する中小企業者であること(詳細は後述)。
- 船橋市内に事業所等を有すること(事業メニューにより要件が若干異なります)。
- 市税を滞納していないこと。
- 補助対象となる経費について、他の公的助成を受けていないこと。
中小企業者の定義
「資本金の額または出資の総額」または「常時使用する従業員の数」のいずれかを満たせば対象となります。
| 業種 | 資本金の額又は出資の総額 | 常時使用する従業員の数 |
|---|---|---|
| 製造業、建設業、運輸業、その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
注意点:みなし大企業は対象外
上記の条件を満たしていても、大企業と資本関係のある「みなし大企業」は補助対象外となりますのでご注意ください。
【メニュー別】補助額と対象経費
各支援メニューの補助額と対象経費を詳しく見ていきましょう。
【1】国際規格(ISO)認証取得事業補助金
- 補助額: 補助対象経費の3分の1、または50万円のいずれか少ない額(1,000円未満切り捨て)
- 補助対象経費: 市内事業所でのISO認証の新規取得にかかる費用(審査登録費用、コンサルタント指導料など)。※更新は対象外です。
- 対象規格の例:
- ISO9001(品質マネジメント)
- ISO14001(環境マネジメント)
- ISO27001(情報セキュリティ)
- ISO22301(事業継続マネジメント)など
【2】エコアクション21認証・登録事業補助金
- 補助額: 補助対象経費の3分の1、または10万円のいずれか少ない額(1,000円未満切り捨て)
- 補助対象経費: 市内事業所でのエコアクション21認証の新規取得にかかる費用(審査費用、認証・登録費用、コンサルタント料など)。※更新は対象外です。
【3】産業財産権取得・登録事業補助金
- 補助額: 補助対象経費の3分の1、または15万円のいずれか少ない額(1,000円未満切り捨て)
- 補助対象経費: 特許権・実用新案権の取得・登録にかかる費用(出願料、出願手数料、審査請求料、登録料)。※意匠権、商標権は対象外です。
【4】自社製品の試験データ収集に係る経費への補助
- 補助額: 補助対象経費の2分の1、または100万円のいずれか少ない額(1,000円未満切り捨て)
- 補助対象経費: 自社製品の試験データ収集にかかる費用(試験データ外部委託料、施設使用料、分析測定費、機械装置費、材料費、専門家謝金、工事費など)
- 特記事項: この事業のみ、事業開始前の申請が必要です。また、必要に応じて市役所での面談があります。
申請方法・手順
申請のタイミングは事業メニューによって大きく異なります。特に注意が必要です。
【重要】申請タイミングの違い
・事後申請(事業完了後): ISO取得、エコアクション21、産業財産権取得
・事前申請(事業開始前): 自社製品の試験データ収集
【事後申請】ISO・エコアクション21・産業財産権の場合
認証取得や登録が完了した後、速やかに申請します。申請は、認証・登録した年度内に行う必要があります。
- 事業実施・支払い完了: ISO認証取得等の手続きを完了し、関連費用を支払います。
- 申請書類の準備・提出: 必要な書類を揃え、船橋市役所商工振興課に提出します。
- 交付決定: 市の審査後、交付可否決定通知書が送付されます。
- 交付請求: 交付決定後、交付請求書を提出します。
- 補助金交付: 指定の口座に補助金が振り込まれます。
- 状況報告: 交付決定を受けた年度の翌年度末に、状況報告書を提出します。
【事前申請】自社製品の試験データ収集の場合
試験データの収集を開始する前に申請が必要です。交付決定前に事業を開始したり、支払いを済ませたりすると補助対象外となるため、絶対に注意してください。検討段階で一度、商工振興課へ相談することをおすすめします。
- 事前相談(推奨): 船橋市役所商工振興課に事業内容を相談します。
- 申請書類の準備・提出: 事業計画などをまとめ、申請書類を提出します。
- 審査・面談: 書類審査のほか、必要に応じて面談が実施されます。
- 交付決定: 交付可否決定通知書が送付されます。
- 事業開始: 交付決定通知を受け取ってから事業を開始します。
- 事業完了・実績報告: 事業が完了した日から20日以内に実績報告書を提出します。事業完了と支払いは同一年度の3月31日までに終える必要があります。
- 交付確定: 実績報告の審査後、交付確定通知書が送付されます。
- 交付請求: 交付確定後、交付請求書を提出します。
- 補助金交付: 指定の口座に補助金が振り込まれます。
- 状況報告: 交付決定を受けた年度の翌年度末に、状況報告書を提出します。
必要書類一覧
申請には多くの書類が必要です。事前にリストを確認し、漏れなく準備しましょう。様式は船橋市の公式サイトからダウンロードできます。
- 交付申請書(要綱第1号様式)
- 概要書や事業説明書など(申請メニューにより様式が異なる)
- 経費報告書や資金計画書(申請メニューにより様式が異なる)
- 市税納付確認書(別紙3)
- 登録証の写し(事後申請の場合)
- 会社定款及び概要
- 商業登記簿謄本(発行から3ヶ月以内のもの)
- 直近の決算書
- その他市長が必要と認める書類(見積書など)
採択されるためのポイント
この補助金を有効活用するために、申請時に押さえておきたいポイントをいくつかご紹介します。
- 申請タイミングを厳守する: 特に「自社製品の試験データ収集」は事前申請が絶対条件です。フライングで事業を開始しないよう、スケジュール管理を徹底しましょう。
- 書類の不備をなくす: 提出書類が多岐にわたるため、市のホームページで最新の様式を確認し、記入漏れや添付漏れがないかダブルチェックすることが重要です。
- 事業の目的と効果を明確にする(特に事前申請): なぜその試験データが必要なのか、その結果をどのように製品開発や販路拡大に繋げるのか、具体的かつ説得力のある事業説明書を作成しましょう。市の産業振興にどう貢献できるかという視点も有効です。
- 早めに相談・申請する: 補助金は予算の上限に達し次第、受付を終了する場合があります。活用を決めたら、早めに市の担当窓口に相談し、準備を進めることをお勧めします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 個人事業主でも申請できますか?
A1. はい、中小企業基本法で定められた中小企業者の定義(従業員数など)に該当すれば、個人事業主の方も申請対象となります。
Q2. ISO認証の更新費用は対象になりますか?
A2. いいえ、ISO認証およびエコアクション21の認証は、いずれも新規取得のみが対象です。更新や維持にかかる費用は対象外となります。
Q3. 複数のメニューに同じ年度で申請することは可能ですか?
A3. 各事業について「1事業者 1年度につき1回」と定められています。例えば、ISO認証取得と産業財産権取得を同じ年度に行い、それぞれ補助金に申請することは可能です。ただし、補助対象経費が重複しないように注意が必要です。詳細は市の担当窓口にご確認ください。
Q4. 申請期限はいつまでですか?
A4. 事後申請のメニューは「認証・登録した年度内」と定められており、通常は年度末(3月31日)が最終的な期限となります。ただし、市の予算が上限に達した場合は早期に受付が終了することがあります。事前申請のメニューも同様です。いずれにせよ、早めの申請を心がけましょう。
Q5. 船橋市外に本社がありますが、市内に支店があります。対象になりますか?
A5. 対象になる可能性があります。事業メニューによって「市内に事業所があること」「市内に認証を取得した事業所があること」など要件が異なります。自社がどの要件に該当するかを公式サイトで確認するか、市の担当窓口にお問い合わせください。
まとめと問い合わせ先
船橋市工業振興支援事業補助金は、市内中小企業の成長を多角的に支援する非常に価値のある制度です。自社の信頼性向上、環境経営への取り組み、知的財産の保護、新製品開発など、次のステップに進むための強力な武器となり得ます。
【重要ポイントの再確認】
- 4つの支援メニュー: ISO取得(最大50万円)、エコアクション21(最大10万円)、産業財産権(最大15万円)、製品試験(最大100万円)。
- 申請タイミング: 製品試験のみ「事前申請」、他は「事後申請」。
- 対象者: 船橋市内に事業所を持つ全業種の中小企業。
- 行動喚起: まずは公式サイトで詳細を確認し、不明点があれば市の担当窓口へ相談しましょう。
この記事を参考に、ぜひ本補助金の活用を検討してみてください。申請手続きは複雑な部分もありますが、乗り越えれば大きなメリットが得られるはずです。
お問い合わせ先
船橋市 経済部 商工振興課 工業係
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電話: 047-436-2474
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