詳細情報
「オレオレ詐欺」や「還付金詐欺」など、高齢者を狙った特殊詐詐のニュースが後を絶ちません。その手口の多くは、自宅の固定電話から始まります。大切な家族を悪質な犯罪から守るため、迷惑電話防止機能付き電話機の導入を検討している方も多いのではないでしょうか。実は、多くの自治体でその購入費用の一部を補助する制度があることをご存知ですか?この制度を活用すれば、少ない負担でご家庭の防犯対策を大幅に強化できます。この記事では、2025年度(令和7年度)に実施されている迷惑電話防止機能付き電話機の購入補助金について、対象者や金額、申請方法などを全国の事例を交えながら徹底的に解説します。あなたのお住まいの地域でも利用できる制度がないか、ぜひチェックしてみてください。
この記事のポイント
- 多くの自治体で迷惑電話防止機能付き電話機の購入補助金が実施されている
- 補助金額は最大10,000円程度、補助率は購入費の1/2~3/4が一般的
- 対象者は主に65歳や70歳以上の高齢者がいる世帯
- 申請には領収書や機器の仕様がわかる書類が必要
- 予算上限に達し次第終了する場合が多いため、早めの申請がおすすめ
迷惑電話防止機能付き電話機 購入補助金とは?
制度の目的と背景
この補助金制度は、高齢者などを狙った特殊詐欺や悪質な勧誘電話による被害を未然に防ぐことを目的としています。警察庁の統計によると、特殊詐欺の被害者の多くは高齢者であり、その入口のほとんどが固定電話への着信です。そこで、各地方自治体(市区町村や都道府県)が主体となり、住民の安全・安心な生活を守る取り組みの一環として、迷惑電話を撃退する機能を持つ電話機の普及を促進するために購入費用の一部を補助しています。
実施している組織
この補助金は、国が一律で実施しているものではなく、お住まいの市区町村や都道府県がそれぞれ独自に実施しています。そのため、補助金の名称、金額、対象者の条件、申請期間などが自治体によって異なります。例えば、神奈川県清川村では「清川村特殊詐欺被害防止対策事業補助金」、愛知県豊田市では「特殊詐欺被害等防止機器購入費補助金」といった名称で実施されています。東京都のように、都が直接住民に補助するのではなく、区市町村の補助事業を支援する形をとっている場合もあります。
補助金額・補助率(自治体別 事例)
補助金額や補助率は、自治体によって大きく異なります。ここでは、いくつかの自治体の例を比較してみましょう。ご自身の自治体の制度を調べる際の参考にしてください。
注意:以下の情報は2025年度(令和7年度)の事例です。最新の情報や詳細、受付状況は必ずお住まいの自治体の公式サイトでご確認ください。
| 自治体名 | 補助率 | 上限額 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 神奈川県 清川村 | 購入経費の4分の3 | 10,000円 | 70歳以上の方などがいる世帯主が対象 |
| 愛知県 豊田市 | 購入経費の2分の1 | 7,000円 | 市内に住所を有する世帯主が対象 |
| 神奈川県 横須賀市 | 購入金額の2分の1 | 5,000円 | 市内在住の70歳以上の方が対象 |
| 鹿児島県 | 要確認 | 要確認 | 県内の65歳以上の方が居住する居宅に設置した方が対象 |
対象者・条件
補助の対象となる方の条件も自治体によって様々ですが、一般的に以下のような要件が設定されています。
- 年齢要件:自治体内に居住する一定年齢以上の方(例:65歳以上、70歳以上)または、その方がいる世帯の世帯主。
- 居住要件:その自治体に住民登録があり、実際に居住していること。
- 税金の滞納がないこと:住民税などの市町村税を滞納していないこと。
- 過去に補助を受けていないこと:原則として1世帯につき1回限りで、過去に同様の補助金を受けていないこと。
- 暴力団排除条項:暴力団員やその関係者でないこと。
- 情報提供への同意:警察などからの要請があった場合に、録音された音声データなどを情報提供することに同意すること。(清川村の例)
特に年齢要件は重要なポイントです。例えば、横須賀市や清川村では「70歳以上」ですが、鹿児島県では「65歳以上」が対象となっています。ご家族の年齢を確認し、お住まいの自治体の要件と照らし合わせてみましょう。
補助対象となる機器と経費
対象となる機器の機能
どんな電話機でも補助の対象になるわけではありません。特殊詐欺対策に有効な、特定の機能を持つ機器が対象となります。主に以下のいずれか、または両方の機能を持つ家庭用固定電話機や、それに接続する機器が対象です。
- 警告・自動録音機能:電話の呼び出し音が鳴る前に、発信者に対して「この通話は防犯のために録音されます」といった警告メッセージを自動で流し、その後の通話内容を自動で録音する機能。
- 着信拒否機能:警察や自治体から提供される迷惑電話番号のデータベースと連携し、登録された番号からの着信を自動で判別して着信を拒否したり、ランプなどで警告を表示したりする機能。
どの機器が対象になるか分からない場合は、公益財団法人全国防犯協会連合会が推奨する「優良防犯電話推奨品目録」が参考になります。多くの自治体で、この目録に掲載されている機器が補助対象として認められています。ただし、目録に記載があってもスマートフォンや携帯電話は対象外ですのでご注意ください。
補助対象経費と対象外経費
補助の対象となるのは、基本的に機器本体の購入費用(消費税込み)のみです。以下の費用は対象外となることがほとんどですので、注意が必要です。
- 設置費用、配送料、代引き手数料など
- 付属品(追加のコードなど)の購入費用
- 延長保証などのサービス加入料
- ポイントやクーポン、株主優待券などを使用した割引分
- 獲得したポイント分
申請方法・手順
申請手続きは、機器を購入した後に必要書類を揃えて提出するのが一般的です。自治体によって細部は異なりますが、おおむね以下の流れで進みます。
- STEP1: 対象機器の購入
まず、補助対象となる機能を持った電話機や機器を家電量販店やオンラインストアなどで購入します。この際、必ず領収書をもらってください。 - STEP2: 必要書類の準備
申請に必要な書類を揃えます。自治体のウェブサイトからダウンロードするか、役所の窓口で入手しましょう。 - STEP3: 申請書の提出
準備した書類を、指定された期間内に役所の担当窓口へ持参するか、郵送で提出します。 - STEP4: 審査・交付決定
提出された書類を基に自治体が審査を行います。審査に通ると「交付決定通知書」などが送られてきます。 - STEP5: 補助金の受領
指定した銀行口座に補助金が振り込まれます。鹿児島県の例のように、職員が訪問して設置状況を確認した上で現金で交付されるケースもあります。
主な必要書類リスト
自治体によって様式や名称が異なります。必ず申請する自治体の指定様式を使用してください。
- 補助金交付申請書(兼 実績報告書、請求書など)
- 領収書の原本またはコピー(申請者氏名、購入日、金額、商品名・型番、販売店名が記載されたもの)
- 購入した機器の機能がわかる書類(カタログ、取扱説明書、保証書などのコピー)
- 振込先口座が確認できる書類(通帳やキャッシュカードのコピー)
- 本人確認書類のコピー(運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証など)
採択のポイントと注意点
この補助金は、要件さえ満たしていれば比較的採択されやすい制度です。しかし、確実に補助を受けるためには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。
- 予算上限と申請期限を厳守する:多くの自治体で「予算額に達した時点で受付終了」となります。年度末が期限でも、早めに終了することがあるため、購入後は速やかに申請しましょう。
- 領収書の要件を確認する:「申請者本人の氏名(フルネーム)」「購入日」「品名・型番」などが明記されているか必ず確認しましょう。ネット通販の場合は、要件を満たす領収書が発行できるか事前に確認すると安心です。
- 書類の不備をなくす:記入漏れや添付書類の不足は、審査の遅れや不採択の原因になります。提出前に何度も見直し、記入例などを参考に正確に作成しましょう。
- 購入日と申請年度に注意:「令和7年度中に購入したものが対象」「購入日から1年以内の申請が必要」など、購入日に関する規定があります。購入前に自治体の要綱を確認することが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. どこで電話機を買えばいいですか?
A1. 家電量販店、地域の電器店、インターネット通販など、どこで購入しても基本的には対象となります。ただし、前述の通り、申請に必要な事項が記載された領収書が発行されることが絶対条件です。特にインターネットで購入する場合は、領収書の発行方法を事前に確認してください。
Q2. 家族が代理で申請することはできますか?
A2. 可能な場合が多いです。鹿児島県の例では、対象者本人だけでなく、その家族や親族による代理申請が認められています。ただし、申請者名義はあくまで対象者本人(世帯主など)とし、委任状が必要になる場合もあります。詳細は申請先の自治体にご確認ください。
Q3. 申請前に電話機を購入してしまいましたが、対象になりますか?
A3. はい、この補助金は購入後の申請が基本です。ただし、「購入した年度内に申請が必要」「購入日から1年以内のものが対象」といった期限が設けられています。購入日を確認し、期限内に申請手続きを行ってください。
Q4. 東京都の制度について教えてください。
A4. 東京都の場合、都が都民に直接補助金を交付するのではなく、都内の各区市町村が実施する個人宅向けの防犯機器購入助成事業に対して、都が補助を行うという仕組みです。そのため、都民の方は、お住まいの区や市のウェブサイトを確認し、そこが実施している補助金制度に申請することになります。対象機器に迷惑電話防止機能付き電話機が含まれているか、各区市町村にお問い合わせください。
Q5. 賃貸住宅に住んでいますが、対象になりますか?
A5. 持ち家か賃貸かは問われないことがほとんどです。その自治体に住民登録があり、実際に居住していれば対象となります。ただし、電話回線の工事が必要になる機器の場合は、事前に大家さんや管理会社の許可が必要になることがありますのでご注意ください。
まとめ:まずは自治体の情報を確認しよう
迷惑電話防止機能付き電話機の購入補助金は、高齢のご家族を特殊詐欺の脅威から守るための非常に有効な制度です。補助を受けることで、最新の防犯機能を備えた電話機を手軽に導入できます。
この記事でご紹介したように、補助内容や条件は自治体によって様々です。最初に行うべきことは、「お住まいの市区町村名+迷惑電話+補助金」などのキーワードで検索し、公式情報を確認することです。ウェブサイトに情報がなくても、役所の防犯担当課や総務課などに電話で問い合わせてみると、制度の案内をしてもらえる場合があります。
大切な家族の財産と安全な暮らしを守る第一歩として、この補助金制度の活用をぜひ検討してみてください。