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【2025年】養育費の公正証書作成費用を補助!ひとり親向け支援金の申請方法を徹底解説|最大5万円

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離婚後の子どもの養育費は、子どもの健やかな成長のために不可欠なものです。しかし、「口約束だけでは支払いが滞るかもしれない」という不安から、法的な効力を持つ公正証書を作成する方が増えています。ただ、その作成には数万円の費用がかかるのがネックでした。

この記事では、そんなひとり親家庭の負担を軽減するため、多くの自治体が実施している「養育費に関する公正証書等作成促進補助金」について、制度の概要から申請方法、採択のポイントまで、どこよりも詳しく解説します。この制度を活用すれば、費用の心配なく、確実な養育費の取り決めが可能になります。ぜひ最後までお読みいただき、お子さんの未来のために役立ててください。

この記事のポイント

  • 多くの自治体が実施する「養育費の公正証書作成費用」の補助金制度がわかる
  • 補助金の対象者、対象経費、補助金額の目安がわかる
  • 申請から受給までの具体的なステップと必要書類がわかる
  • 申請する上での注意点や、よくある質問への回答がわかる

養育費に関する公正証書等作成促進補助金とは?

制度の目的と背景

この補助金は、ひとり親家庭の経済的な安定と、子どもの健全な育成を支援することを目的としています。養育費の支払いは、離婚した親の法的な義務ですが、残念ながら支払いが滞るケースは少なくありません。口約束だけでは法的な強制力が弱いため、支払いが止まってしまうと回収が困難になります。

そこで重要になるのが「債務名義」の取得です。債務名義とは、強制執行(給与や財産の差し押さえ)を申し立てるために必要な公的な文書のことで、具体的には以下のものが該当します。

  • 強制執行認諾約款付公正証書
  • 調停調書
  • 審判書・判決書
  • 和解調書

これらの文書を作成する際にかかる費用(公証人手数料や収入印紙代など)を自治体が補助することで、ひとり親が債務名義を取得しやすくなり、養育費の継続的な支払いを確保することを目指しています。

実施組織

この制度は、国が主導するものではなく、各市区町村が独自に実施しています。そのため、制度の有無、補助額、申請条件などは自治体によって異なります。まずはお住まいの市区町村の役所(子育て支援課など)に問い合わせて、制度があるかどうかを確認することが第一歩です。

補助金額・補助率について

補助金額は、対象経費の全額を補助する自治体が多いですが、上限額が設けられています。上限額は自治体によって様々ですが、おおむね3万円から5万円程度が一般的です。

計算例:公正証書の作成に合計45,000円かかり、お住まいの自治体の補助上限額が40,000円の場合、40,000円が補助され、自己負担は5,000円となります。

自治体別の上限額の例

以下は、いくつかの自治体の補助上限額の例です。お住まいの地域の制度を調べる際の参考にしてください。

自治体名 補助内容
大阪市 対象経費の全額(予算の範囲内)
仙台市 対象経費の合計で上限5万円
さいたま市 対象経費の全額で上限4万3千円
刈谷市 対象経費で上限4万円
安城市 対象経費の全額で上限4万円

※上記は記事作成時点の情報です。最新の情報は各自治体の公式サイトでご確認ください。

対象者・条件

補助金の対象となるのは、一般的に以下のすべての要件を満たす方です。細かい部分は自治体によって異なる場合があります。

  • 申請先の市区町村に住所があるひとり親家庭の母または父(または養育者)であること。
  • 養育費の対象となる20歳未満の子どもを現に扶養していること。
  • 養育費の取り決めに関する債務名義(公正証書など)を有していること。
  • 債務名義の作成にかかる費用を自身で負担していること。
  • 過去に同じ内容の文書でこの補助金を受けていないこと。
  • 市税等の滞納がないこと(自治体による)。

注意点:事実婚状態にある方は対象外となる場合があります。また、以前は所得制限を設けている自治体もありましたが、近年は撤廃される傾向にあります(例:仙台市は令和6年4月1日から所得制限を撤廃)。

補助対象経費

補助の対象となるのは、債務名義化に直接必要となった以下の経費です。

対象となる経費の例

  • 公証人手数料:公正証書を作成する際に公証役場に支払う手数料。
  • 収入印紙代:家庭裁判所での調停や審判、裁判の申し立てに必要な印紙代。
  • 書類取得費用:手続きに必要な戸籍謄本や住民票などの発行手数料。
  • 郵便切手代:家庭裁判所との連絡用など、公的機関から求められた郵便料金。

対象とならない経費の例

  • 弁護士や行政書士への報酬:専門家への相談料や書類作成代行費用は対象外です。
  • 交通費や通信費:公証役場や裁判所へ行くための交通費や、個人的な電話代などは対象外です。
  • 養育費以外の取り決めに関する費用:財産分与や慰謝料など、養育費以外の内容のみに関する手数料は対象外となる場合があります。

申請方法・手順

申請から補助金受給までの流れは、概ね以下の通りです。自治体によって電子申請が可能な場合もあります。

  1. STEP 1: 養育費の取り決めと債務名義の作成
    相手方と養育費について話し合い、公証役場で公正証書を作成するか、家庭裁判所で調停などを行います。
  2. STEP 2: 費用の支払いと領収書の保管
    公証人手数料などを支払い、必ず宛名、日付、金額、但し書き、発行者名が明記された領収書を受け取り、大切に保管します。
  3. STEP 3: 必要書類の準備
    お住まいの自治体のホームページなどから申請書をダウンロードし、必要書類を揃えます。
  4. STEP 4: 申請窓口へ提出
    期限内に、市区町村の担当窓口(子育て支援課など)に持参または郵送で書類を提出します。
  5. STEP 5: 審査・交付決定
    自治体で書類の審査が行われ、問題がなければ交付決定通知書が届きます。
  6. STEP 6: 請求・補助金の振込
    交付決定後、請求書を提出すると、指定した口座に補助金が振り込まれます。

申請期限

申請期限は自治体によって大きく異なるため、必ず事前に確認が必要です。

  • 公正証書等を作成した日の翌日から6ヶ月以内(さいたま市、刈谷市など)
  • 公正証書等を作成した日の翌日から1年以内(仙台市など)
  • 公正証書等を作成した日の属する年度の翌年度4月30日まで(大阪市など)

必要書類リスト

一般的に以下の書類が必要となります。児童扶養手当などを受給している場合、一部省略できることがあります。

  • 補助金交付申請書(兼請求書)
  • 養育費の取り決めを交わした文書の写し(公正証書、調停調書など)
  • 補助対象経費の領収書の原本または写し
  • 申請者と子どもの戸籍謄本(または抄本)
  • 世帯全員の住民票の写し
  • 振込先口座がわかるもの(通帳の写しなど)
  • (受給している場合)児童扶養手当証書の写し など

採択のためのポイントと注意点

この補助金は、要件を満たしていれば基本的に交付されるものです。しかし、スムーズに受給するためにはいくつかのポイントがあります。

採択のコツ

  • 申請期限を厳守する:最も重要なポイントです。期限を1日でも過ぎると受け付けてもらえません。公正証書を作成したら、すぐに申請準備を始めましょう。
  • 領収書を完璧な形で保管する:「宛名」「日付」「金額」「但し書き(例:公正証書作成手数料として)」「発行者」が明記されているか確認してください。レシートでも可の場合がありますが、詳細は自治体に確認しましょう。
  • 書類の不備をなくす:提出前に、記入漏れや添付書類の不足がないか、何度もチェックしましょう。不明な点は、提出前に電話で担当課に確認するのが確実です。
  • 制度開始日を確認する:自治体によっては「令和〇年4月1日以降に作成された文書が対象」といった開始日が定められている場合があります(例:刈谷市、安城市)。それ以前に作成したものは対象外になるので注意が必要です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 離婚する前でも申請できますか?

A1. 申請時点で「ひとり親」であることが条件のため、離婚が成立してから申請する必要があります。ただし、離婚前に作成した公正証書(離婚給付等契約公正証書)でも、離婚後に申請すれば対象となる場合が多いです。

Q2. 弁護士に依頼した費用も対象になりますか?

A2. いいえ、残念ながら弁護士や行政書士への報酬はほとんどの自治体で対象外です。あくまで公証役場や裁判所に支払う法定手数料などが対象となります。

Q3. 相手と連絡が取れず、調停を申し立てましたが、これも対象ですか?

A3. はい、対象になります。家庭裁判所での「養育費請求調停」の申し立てに要した収入印紙代や郵便切手代なども補助対象経費に含まれます。

Q4. 補助金はいつ頃振り込まれますか?

A4. 自治体によりますが、申請から1〜2ヶ月程度かかるのが一般的です。申請書類に不備があるとさらに時間がかかる可能性があるため、正確な書類提出を心がけましょう。

Q5. 私が住んでいる市には制度がありませんでした。諦めるしかないのでしょうか?

A5. 制度がない場合でも、法テラスの民事法律扶助制度を利用して専門家への相談費用や手続き費用の援助を受けられる可能性があります。また、自治体によっては無料の法律相談窓口を設けている場合もありますので、一度問い合わせてみることをお勧めします。

まとめ:まずは自治体への確認から始めよう

今回は、ひとり親家庭を支える「養育費に関する公正証書等作成促進補助金」について解説しました。

  • 目的:ひとり親家庭の養育費の確保を支援するため、公正証書などの作成費用を補助する制度。
  • 補助額:上限3〜5万円程度が一般的。対象経費の全額を補助する場合が多い。
  • 対象者:制度を実施する自治体に住む、ひとり親家庭の親など。
  • 重要ポイント:申請期限の確認と、必要事項が記載された領収書の保管が不可欠。

養育費を法的な裏付けのある形で取り決めておくことは、お子さんの将来を守るために非常に重要です。この補助金制度は、そのための経済的なハードルを大きく下げてくれます。

この記事を読んで少しでも興味を持たれた方は、まずはお住まいの市区町村のホームページで制度の有無を確認するか、子育て支援の担当窓口に電話で問い合わせてみましょう。それが、確実な養育費確保への大切な第一歩となります。